助成金や補助金に興味を持っている企業の経営者の方はとても多いです。それでも、助成金や補助金を活用することができるにも関わらず、使っていないケースは少なくありません。
その理由として、「助成金の対象だから申請したほうが良い」と教えてもらえることがないからです。助成金や補助金を利用するには、ご自身で探す必要があるのです。
この記事では、東京都で利用可能な助成金・補助金を、従業員がいる企業向け、従業員がいない企業でも申請できるものに分けて紹介していきます。
東京都には独自の助成金や補助金がある
助成金や補助金には、厚生労働省や経済産業省のような国の機関が支給するものが多くありますが、その他にも各地方自治体やその地方の団体が出すものもあります。特に、日本経済の中心地である東京都には、東京都に所在する企業が使える多くの助成金や補助金があり、規模も大きなものが含まれます。
東京都で利用可能な助成金:従業員必須のもの
東京都で利用可能な助成金・補助金だけでも、たくさんの種類があります。まずは、その中でもテレワークの普及促進に関するものや、育児休業や介護休業の取得促進のように、従業員とともにより良い社会の実現を目指す企業が使える助成金や補助金を紹介します。
テレワーク・マスター企業支援事業
東京都では、感染症の拡大防止と経済活動の両立を図るため、人流の抑制に極めて有効なテレワークの定着に向け、常時雇用する従業員が1名~300名以下の都内中小企業に対し新たな支援が開始されました。
その内容は、東京都内の中小企業1万社を目標に「週3日・社員の7割以上」に対し、3ヶ月間、テレワークを実施した企業を「テレワーク・マスター企業」として認定し、最高80万円の奨励金を支給するものです。
要件には、以下の2つがあります。
要件
- ①「テレワーク東京ルール」実践企業宣言に登録(原則令和3年6月30日(水)までに登録)すること
- ②トライアル期間中に、テレワーク実施可能な社員数のうち「週3日・社員の7割以上」、3ヶ月間テレワークを実施
テレワーク定着トライアル期間は、令和3年5月12日~9月30日までと定められました。また、「テレワーク東京ルール」実践企業宣言は、令和2年9月、「テレワーク東京ルール」の普及推進に連携・協力して取り組んでいくためスタートしました。
テレワーク戦略ビジョン(5つの戦略)を踏まえ、各企業がその実情に応じて、独自のルールを策定し宣言する制度です。テレワーク・マスター企業支援事業の奨励金は、テレワーク実施人数に応じて20万円単位で設定されています。
テレワーク実施人数 | 奨励金支給額 |
70人以上 | 80万円 |
50人以上 | 60万円 |
30人以上 | 40万円 |
30人未満 | 20万円 |
※小規模企業特例:10万円
対象経費は通信費、機器リース料、ソフト利用料、テレワーク手当、サテライトオフィス利用料など、社員がテレワークを実施するために企業が負担・支出した経費などテレワークに関する経費であり、3ヶ月分です。
なお、この経費の実績が10万円未満の場合は、奨励金の支給はないことには注意が必要です。もちろん、経費の領収書や支払証明書等に基づき支給されるので、経理処理も行う必要があります。
申請の流れですが、先述したように「テレワーク東京ルール」実践企業宣言への登録を、原則として令和3年6月30日(水)までに行います。続いて、「計画エントリーシート」の提出を、5月25日(火)~6月30日(水)に行います。
事前準備は以上で、「テレワーク定着トライアル期間(5月12日(水)~9月30日(木))」中に3ヶ月以上、実際にテレワークの取り組みを行ってください。取り組みの結果「週3日・社員の7割以上」の要件を満たすことができれば、「テレワーク・マスター企業」として認定され、奨励金を申請しその支給を受けることができます。
テレワーク促進助成金
テレワーク・マスター企業支援事業と同じような趣旨の助成金に、テレワーク促進助成金があります。
「新しい日常」の働き方であるテレワークの定着・促進に向け、都内中堅・中小企業等のテレワーク機器・ソフト等のテレワーク環境整備に係る経費が助成されます。テレワーク定着トライアル期間などの条件がないので、より使いやすい助成金です。
助成対象事業者は、常時雇用する労働者が2人~999人以下で、東京都内に本社又は事業所を置く中堅・中小企業等です。
主な要件として、以下の3つがあります。
要件
- ①東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
- ②東京都が実施する「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」に登録していること(実績報告時まで)
- ③テレワーク勤務実績として、助成事業の実施期間(支給決定日から3ヶ月以内)に、テレワーク実施対象者全員にテレワーク勤務を6回以上の実施
テレワーク勤務実績が6回に満たないテレワーク実施対象者に係る経費は、助成額の確定時に減額対象となります。
なお、「2020TDM推進プロジェクト」とは、東京2020大会期間中の交通混雑緩和も見据え、交通量の抑制や分散に向けた交通需要マネジメント(TDM)やテレワーク、時差Bizなどの取組を「スムーズビズ」として一体的に推進するためスタートしました。
助成限度額・助成率は、事業の規模(常時雇用する労働者数)に応じて2つに分かれています。
事業者の規模(常時雇用する労働者数) | 助成金の上限 | 助成率 |
---|---|---|
30人以上999人以下 | 250万円 | 2分の1 |
2人以上30人未満 | 150万円 | 3分の2 |
助成内容は、テレワーク促進事業として、在宅勤務、モバイル勤務等を可能とする情報通信機器等の導入によるテレワーク環境構築費用、そしてシステム導入時運用サポート費用が助成の対象となります。そのため、テレワークに関するモバイル端末等機器整備費用、システム機器等の設置・設定費用、システム機器等の保守委託等の業務委託料、機器リース・レンタル料、テレワーク業務関連ソフト利用料は助成の対象経費に含まれます。
ソフトウェア利用に係るライセンス使用料から研修費用・研修時テキスト費用も助成の対象と幅広い上、消耗品費として、パソコン、タブレット、スマートフォン、周辺機器・アクセサリ等が含まれることが特徴です。
助成金申請の流れは次の通りです。
- ①支給申請書の作成
- ②事業計画書兼支給申請書及び他に定める書類提出:これをもとに、審査・支給決定通知が行われます。
- ③助成事業の実施・完了
- ④実績報告書作成
- ⑤実績報告書及び他に定める書類提出:これをもとに、審査、支給決定通知が行われます。
- ⑥助成金請求書兼口座振替依頼書提出:助成金の振込が行われます。
テレワーク促進助成金について詳しくはこちらをチェックしてください:
はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)
はじめてテレワークは、東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた都内の中堅・中小企業等に対して、テレワークをトライアルするための環境構築経費、制度整備費を補助してくれる補助金です。
テレワーク導入に向けたコンサルティングを実施した企業が補助の対象とされており、いままでテレワークに興味があったが何から始めたら良いかわからない事業者や、テレワークすることができないと思っていた業界や職種の方々に使ってもらいたい補助金です。
東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングでは、ワークスタイル変革コンサルティングやテレワーク・ワンストップ相談が可能です。
テレワーク・ワンストップ相談では、テレワークの導入・運用時における様々な疑問や課題について、社会保険労務士やIT等の専門家がオンラインで相談に対応してくれます。
そして、ワークスタイル変革コンサルティングでは、都内企業等のテレワーク導入・活用拡大を推進するため、専門のコンサルタントが訪問し、課題解決などの支援を行ってくれます。5回以内の訪問での支援は無料なので、テレワーク導入の入り口として使いやすい制度となっています。
補助対象事業者の主な要件は、以下の4つがあります。
要件
- ①東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けている
- ②都内に勤務している常時雇用する労働者を2人~999人以下、かつ6ヶ月以上継続して雇用している
- ③就業規則や勤怠・賃金等関連規程にテレワークに関する規定がない
- ④東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加している
補助対象費用は、2つに分類することができます。
- テレワーク環境の構築:在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務を行うための環境構築費用など
- 社内制度の整備費:テレワークに関する規定を就業規則に定めることに要する専門家への報償費または委託費など
補助金上限額は従業員数によって区分されており、いずれも制度の整備費10万円を含んでの金額です。補助率は、すべての区分で全額補助されます。
従業員の数 | 補助額 |
---|---|
従業員数300人~999人の企業 | 110万円 |
従業員数100人~299人の企業 | 70万円 |
従業員数100人未満の企業 | 40万円 |
補助金申請の流れは、次のとおりです。
- ①コンサルティング実施
- ②導入予定機器等一覧の作成
- ③支給申請書類作成
- ④事業計画書兼支給申請書及び他に定める書類提出:これをもとに、審査、支給決定通知が行われます。
- ⑤補助事業の実施・完了
- ⑥実績報告書類作成
- ⑦実績報告書及び他に定める書類提出:これをもとに、審査、補助額の確定通知が行われます。
- ⑧補助金請求書兼口座振替依頼書提出:補助金の振込が行われます。
働くパパママ育休取得応援事業
働くパパママ育休取得応援事業は、男性の育児休業取得や、育児中の女性の就業継続を応援する東京都内の企業・法人等を支援するものです。「働くママコース」と「働くパパコース」に別れています。
働くママコースは、1年以上の育児休業を取得させ、育児中の雇用を継続する環境整備を行った東京都内の中小企業・法人等を支援してくれます。コース名には「ママ」と付されていますが、男女問わず利用することができます。
働くパパコースは、男性従業員に連続15日以上の育児休業を取得させ、育児参加を促進した東京都内の企業・法人等を支援してくれます。
以下、「<A>働くママコース」と「<B>働くパパコース」に分けて説明していきます。
<A>働くママコース
対象企業は従業員数300名以下の都内中小企業 ・法人ですが、「1年以上の育児休業から原職に復帰し、復帰後3ヶ月以上継続雇用されている従業員がいること」という従業員要件があります。
そして、環境整備要件として、次の①と②の取組を実施する必要があります。
環境整備要件
①育児・介護休業法に定める取組を上回る、以下のいずれかの取組について就業規則に定めていること。
- ア 育児休業等期間の延長
- イ 育児休業等延長期間の延長
- ウ 看護休暇の取得日数上乗せ
- エ 時間単位の看護休暇導入(中抜けを認めるもの)
- オ 育児による短時間勤務制度の利用年数の延長
※育児・介護休業法に定める取組を上回るか否かは、作成した就業規則の施行日時点で判断されます。したがって法改正の状況に注意しなければなりません。
②育児休業中の従業員に対して、復帰支援の面談を1回以上実施及び復帰に向けた社内情報・資料提供を定期的に実施したこと。
働くママコースの奨励金額は、125万円となっています。
<B>働くパパコース
働くパパコースでは、東京都内の中小企業 ・法人が対象となりますが、企業規模の要件はありません。従業員要件は、「連続15日以上の育児休業を取得した後、原職に復帰し復帰後3ヶ月以上継続雇用されている男性従業員がいること」とされています。
働くパパコースで必要となる取組の要件は、申請日時点で都内在勤の男性従業員(雇用保険被保険者)が、子が2歳に達するまでに連続15日以上の育児休業を取得し、復帰後3ヶ月以上継続雇用されていることです。育児休業連続15日取得した場合の報奨金額は25万円ですが、15日取得以降15日ごとに25万円が加算されます。したがって、180日の育児休業を取得したケースでは、上限額の300万円が支給されます。
なお、働くパパコースでは、中小企業等を対象とする特例措置が設けられています。
子の出生後8週の期間に30日以上の育児休業を取得した場合は、助成額に一律20万円が加算されます。そして、子の出生後8週の期間に初回の育児休業を取得した場合は、2回目の育児休業期間を初回の育児休業期間と合算して申請が可能とされています。
申請受付期間は令和3年4月1日(木)~令和4年3月31日(木)ですが、同時に原職等復帰3ヶ月経過後2ヶ月以内でなければなりません。
予算の範囲を超えた場合は、申請受付期間内でも受付を終了しますので注意が必要です。
働くパパママ育休取得応援事業について詳しくはこちらをチェックしてください:
育児・介護からのジョブリターン制度整備奨励金
育児・介護からのジョブリターン制度整備奨励金は、結婚や出産、介護などの理由で退職を余儀なくされたり、就学・留学・転職などキャリアアップを目指して退職したりした社員を、本人の希望により再雇用する制度がジョブリターン制度です。
このうち、結婚・配偶者の転勤・妊娠・出産・育児または介護を理由に退職した方が、元の会社に戻って働ける環境の整備を後押しするための奨励金制度が設けられています。
対象事業者の主な要件は、次の3つです。
要件
- ①東京都内で事業を営んでいる中小企業等であること
- ②東京都内に勤務する常時雇用する労働者を2人以上、かつ6ヶ月以上継続して雇用していること
- ③ジョブリターン制度が労働協約または就業規則(本則)または本則に連携する規程に明文化されていないこと(結婚・配偶者の転勤・妊娠・出産・育児・介護の6ついずれの理由によるジョブリターン制度も明文化されていないこと)
まず、ジョブリターン制度の整備として、ジョブリターン制度を新たに整備し、就業規則等に明文化の上、労働基準監督署に届け出ます。次に、社内および社外への周知とて、その内容を社内掲示やホームページ等の効果的な方法により、社内及び社外への周知を行います。この制度の整備によって、1社あたり20万円の奨励金が支給されます。
手続の流れは次の通りです。
- ①事前エントリー:抽選によって当選する必要があります。
- ②事業計画書兼交付申請書提出:この書類をもとに審査が行われます
- ③奨励事業の実施
- ④実績報告書の提出:この書類をもとに審査が行われ、問題がなければ奨励金が支給されます。
育児・介護からのジョブリターン制度整備奨励金について詳しくはこちらをチェックしてください:
新型コロナウイルス感染症緊急対策に係る雇用環境整備促進奨励金
東京都では、休業手当規定の整備を始め、テレワーク制度や特別休暇制度の導入など、新型コロナウイルス感染症等の非常時における職場環境整備に取り組む中小企業に奨励金を支給しています。
都内に雇用保険適用事業所を置く中小企業事業主等であれば、奨励金を受けることができます。事業主が雇用保険適用事業主ではない場合であれば、都内にある労働者災害補償保険適用事業場の中小事業主であることで要件を満たすことができます。
ただし、東京都が実施した新型コロナウイルス感染症対策雇用環境整備促進事業において、既に奨励金の交付を受けた事業所分は申請ができません。
交付要件は、以下の2つの要件を満たす必要があります。
要件
①国から以下のいずれかの支給決定を受けていること。
- 「雇用調整助成金」
- 「緊急雇用安定助成金」
- 「産業雇用安定助成金」
- 「両立支援等助成金(新型コロナウイルス感染症小学校休業等対応コース)」
- 「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」
②非常時における雇用環境整備に関する計画を作成し取り組むこと。
上記②を実施し、当奨励金交付決定日から2ヶ月以内に実績報告を行うことで、1事業所あたり10万円(1回のみ)の奨励金が支給されます。
手続の流れは次のとおりです。
- ①交付要件で定められた、国からの助成金のいずれかの支給決定を受ける
- ②交付申請書及び非常時における雇用環境整備計画書を提出:この書類をもとに審査が行われます
- ③非常時における雇用環境整備の取組実施
- ④雇用環境整備促進奨励金実績報告書及び支払金口座振替依頼書を提出:この書類をもとに審査が行われ、問題がなければ奨励金が支給されます。
介護休業取得応援奨励金
東京都内にある中小企業等が従業員に介護休業を取得させ、職場環境を整備した場合に当奨励金を支給することで、介護休業の取得を促進し、就業継続を後押しする制度があります。それが介護休業取得応援奨励金です。
対象事業者は、東京都内に本社または事業所を置き、6ヶ月以上継続して雇用保険に加入している労働者が2名以上300名以下の中小企業等です。また、合計15日以上の介護休業を取得した後、原職に復帰し、3ヶ月以上継続雇用されている都内在勤の従業員がいることという要件も必要です。
その上で、以下の育児・介護休業法に定める制度を上回る取組について、いずれかを就業規則に令和3年4月1日以降に整備する必要があります。
整備すべき制度
- ①介護休業期間の延長
- ②介護休業取得回数の上乗せ
- ③介護休暇の取得日数の上乗せ
- ④中抜けありの時間単位の介護休暇導
なお、育児・介護休業法を上回るか否かは、作成した就業規則の施行日時点で施行されている法律を基準として判断されます。そのため、法改正状況には注意しなければなりません。
奨励金額は、介護休業取得日数によって2つに区分されています。
- 合計15日以上:25万円
- 合計31日以上:50万円
※申請は1事業者につき、今年度中1回までとします。
奨励金申請の流れは次のとおりです。
- ①介護休業取得(合計15日以上)
- ②原職復帰(3ヶ月)
- ③2ヶ月以内に申請
- ④奨励金請求書兼口座振替依頼書提出
介護休業取得応援奨励金について詳しくはこちらをチェックしてください:
東京都で利用可能な助成金:従業員必須でないもの
ここまでは、東京都で利用可能な助成金のうち、従業員が必須のものを紹介しました。従業員の育児休暇の申請や休暇からの復帰など、経営者だけで取り組むことができないものでした。
ここからは、創業助成事業やサイバーセキュリティ対策促進助成金のように、従業員が必須でない助成金を取り上げて紹介していきます。
創業助成事業
都内開業率は、アメリカやイギリスなどと比べて低い状況にあります。そこで、創業希望者への着実な支援を行う「創業助成事業」を実施し、開業率の向上を図っています。
この事業では、東京都における創業のモデルケースになり得る、都内で創業予定の個人の方または創業から間もない中小企業者の方等に対し、創業初期に必要な経費の一部を助成しています。
創業助成事業の申請要件には以下4つの要件があり、そのすべて満たす必要があります。
要件
申請要件①
- 都内で創業予定の個人の方
- 都内で事業を行う、事業を始めてから5年未満の個人事業主の方・法人の代表者の方
申請要件②
- 指定された18の創業支援事業のいずれかを利用し、所定の要件を満たしている方
申請要件③
- 所定の年数以上事業活動を実施できること
- 助成対象期間内に事業を実施できること
申請要件④
- 納税地が東京都であること
- 所定の要件に該当する助成金・補助金の重複助成・補助を受けないこと
助成対象経費は、賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導、従業員人件費です。よって、助成事業の遂行に必要な都内の不動産の賃借料や共益費、都内の事務所・店舗で使用する器具備品等のリース・レンタル料なども対象です。
助成限度額は300万円であり、下限額も100万円と設定されています。助成率は3分の2となっています。
募集期間が令和3年4月15日(木)~令和3年4月23日(金)と短いです。その後、書類審査、面接審査、総合審査を経て、交付決定日(令和3年9月1日(水))に採択結果が通知されます。この助成事業は、例年4月と10月に実施されていますので、次回の募集期間は今年の10月になるものと思われます。
BCP実践促進助成金
BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災やテロなどの緊急事態に遭遇した場合に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続および早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを決めておく計画を指します。
策定したBCPを実践するために必要となる基本的な物品・設備等の導入に要する経費の一部を助成してくれるのが、このBCP実践促進助成金です。助成対象事業者は、以下のいずれかの要件を満たし、BCPを策定した中小企業です。
要件
- ①平成29年度以降に公益財団法人東京都中小企業振興公社総合支援課が実施する「BCP策定支援講座(ステージ1)」を受講し、受講内容を踏まえたBCP
- ②中小企業庁「事業継続力強化計画」の認定を受け、その内容に基づいて作成したBCP
- ③平成28年度以前の東京都又は公社が実施したBCP策定支援事業等の活用により策定したBCP
助成対象経費は、緊急時用の自家発電装置、蓄電池、従業員等の安否確認を行うためのシステムの導入またはサブスクリプション契約によるサービスの利用、データのバックアップ専用のサーバ(NAS)、クラウドサービスによるデータのバックアップ、緊急時用の従業員用非常食、簡易トイレ、毛布、小型の簡易浄水器等の備蓄品など幅広く対象となります。
助成限度額は1,500万円であり、下限額も10万円と設定されています。助成率は中小企業者等が2分の1、小規模企業者が3分の2となっています。
BCP実践促進助成金について詳しくはこちらをチェックしてください:
サイバーセキュリティ対策促進助成金
サイバーセキュリティ対策促進助成金は、東京都内の中小企業者等がサイバーセキュリティ対策を実施するための設備等の導入を支援することにより、セキュリティの向上を図ることを目的として、中小企業者等がサイバーセキュリティ対策を実践するための設備等の導入に要する経費の一部を助成してくれるものです。
主な申請要件として、以下の3つすべて満たすことが必要です。
要件
- ①法人・個人に関する要件として、中小企業者、中小企業団体、個人事業主のいずれかに該当すること
- ②都内での事業継続に関する要件
- ③サイバーセキュリティ対策推進に関する要件として、申請日までに、SECURITY ACTION の2段階目を宣言済みで、その宣言をホームページ等で確認できること。
助成対象経費は、サイバーセキュリティ対策を実施するために必要となる下記の機器等の導入、およびクラウド利用に係る経費です。統合型アプライアンス、ネットワーク脅威対策製品、コンテンツセキュリティ対策製品、アクセス管理製品、システムセキュリティ管理製品、暗号化製品、サーバ(最新のOS塔載かつセキュリティ対策が施されたものに限る)、標的型メール訓練が対象です。
助成限度額は1,500万円であり、下限額も30万円と設定されています。助成率は2分の1となっています。
サイバーセキュリティ対策促進助成金について詳しくはこちらをチェックしてください:
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業
先端技術を活用し、持続的発展を目指す中小企業者を支援してくれるのが、この躍進的な事業推進のための設備投資支援事業です。昨年2020年まで存在していた「設備投資支援事業」と同じ趣旨の助成金だといえます。
機械設備を導入し、生産性の向上や競争力の強化に利用することができます。助成対象は、令和3年4月1日現在で東京都内に登記簿上の本店または支店があり、都内で2年以上事業を継続している中小企業者等です。設備を都外に設置する場合も対象となりますが、都内に本店があることが求められます。
以下の4つの助成対象事業に対して助成され、助成率および助成限度額は、この事業区分によって分けられます。
助成対象事業
Ⅰ. 競争力強化
- さらなる発展に向けて競争力強化を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業
Ⅱ. DX推進
- IoT、AI、ロボット等のデジタル技術の活用により、新しい製品・サービスの構築や既存ビジネスの変革を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業
Ⅲ. イノベーション
- 都市課題の解決に貢献し、国内外において市場の拡大が期待される産業分野において、新事業活動に取り組むことで、イノベーション創出を図るために必要となる機械設備を新たに導入する事業
Ⅳ. 後継者チャレンジ
- 事業承継を契機として、後継者による事業多角化や新たな経営課題の取り組みに必要となる機械設備を新たに導入する事業
申請事業区分 | 助成率 | 助成限度額 |
---|---|---|
Ⅰ競争力強化※ | 2分の1以内 | 1億円 |
ⅡDX推進 | 3分の2以内 | 1億円 |
Ⅲイノベーション | 3分の2以内 | 1億円 |
Ⅳ後継者チャレンジ | 3分の2以内 | 1億円 |
※小規模企業者に該当する場合、助成率3分の2以内、助成限度額3,000万円
助成下限額も設定されており、100万円となっています。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業について詳しくはこちらをチェックしてください:
中小企業等による感染症対策助成事業
中小企業等による感染症対策助成事業では、東京都内の中小企業者等に対し、その業界団体が作成した新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン等に基づき行う取組費用の一部が助成されます。【A】単独申請コースと、【B】グループ申請コースの2コースがあります。
申請するコースによって助成の対象となる取組、対象者、対象経費、助成限度額等に違いがありますので、2つのコースにわけて解説していきます。
【A】単独申請コース
主な申請対象者は、東京都内の中小企業者(個人事業者も含む)、一般財団法人、一般社団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、中小企業団体等です。
主な助成対象経費は、ガイドライン等に基づく感染予防対策に係る経費の一部です。サーモグラフィー、CO2濃度測定器など備品購入費(
1点あたりの単価が税抜10万円以上のもの)や、換気扇設置工事、網戸設置工事といった内装・設備工事費が対象となります。
助成限度額は1事業所につき、以下の金額とされています。申請下限額も設けられており、10万円(対象経費の合計は税抜15万円以上)が必要です。
助成限度額
- 備品購入費のみ:50万円
- 内装・設備工事費を含む場合:100万円
- 内装・設備工事のうち、換気設備の設置を含む場合:200万円
【B】グループ申請コース
主な申請対象者は、東京都内の3者以上の中小企業者等で構成されるグループ(共同申請)、中小企業団体等です。
主な助成対象経費は、消毒液やマスク、フェイスシールド、ゴーグル、使い捨て手袋、アクリル板、透明ビニールシートなどの消耗品の購入費となっています。
助成限度額はグループ構成企業数に関わらず30万円で、申請下限額の設定はありません。
中小企業等による感染症対策助成事業について詳しくはこちらをチェックしてください:
業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)
業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)では、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う都民の外出自粛要請等に伴い、大きく売上が落ち込んでいる都内の中小飲食事業者が、新たなサービスにより売上を確保する取り組みに対し、経費の一部が助成されます。
飲食店経営者の方々が、新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始めるときに利用できる支援といえます。
申請対象は、東京都内で飲食業を営む中小企業者(個人事業主含む)とされています。主な助成対象経費は以下の費用であり、助成対象経費の4/5以内で助成されます。助成限度額は100万円となっています。
主な助成対象経費
- ①販売促進費(印刷物制作費、PR映像制作費、広告掲載費 等)
- ②車両費(宅配用バイクリース料、台車 等)
- ③器具備品費(WiFi導入費、タブレット端末、梱包・包装資材 等)
- ④その他(宅配代行サービスに係る初期登録料、月額使用料、配送手数料 等
第19回の申請受付期間は、令和3年5月1日(土)~令和3年6月30日(水)で、最終の受付日となっています。助成対象期間は、交付決定日から令和3年8月31日(火)まで(ただし、着手日から最長3ヶ月間)です。
販路拡大助成事業
販路拡大助成事業では、都内中小企業者が販路拡大および経営基盤の更なる強化を図るために行う展示会への出展等に係る経費の一部を助成してくれます。ただし、展示会場での販売が趣旨ではなく、事業者との商談を開催主旨とする展示会である必要があります。
東京都内に登記があり、実質的に事業を行っている中小企業者であれば、個人事業者も含めて助成対象となりますが、都内商工会議所・商工会、東京都商工会連合会において、令和2年度又は3年度に中小企業活力向上プロジェクトネクストの経営診断を受け、当助成事業の利用が有効であると認められていなければなりません。
主な助成対象経費は、出展小間料や資材費、輸送費のような展示会参加費の一部だけでなく、オンライン展示会参加費のオンライン出展料も対象となります。その他、印刷費、動画編集費、サイト制作費、広告掲載費のような販売促進費の一部も助成対象経費です。
助成限度額は150万円であり、助成率は3分の2以内とされています。
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、東京都内の商店街で女性または若手男性が新規開業をするにあたり、店舗の新装や改装、設備導入等に要する経費の一部を助成してくれるものです。商店街における開業者の育成および支援を行い、都内商店街の活性化につながる店舗開拓を推進することが目的です。
主な申請資格要件は、以下の6つです。
要件
- ①「女性」又は「令和4年3月31日時点で39歳以下の男性」であること
- ②「創業予定の個人」、もしくは「個人事業主」であること
- ③申請予定店舗は「都内商店街」であること
- ④申請予定店舗の「開業が各回助成金交付決定日以降」であること(第1回:令和3年8月1日(日)、第2回:令和4年1月1日(土))
- ⑤申請予定業種は「公社が定める業種」であること(卸売業・小売業、不動産・物品賃貸業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、サービス業(他に分類されないもの)の一部)
- ⑥申請時点で「実店舗を持っていない」こと
助成対象となる経費は、店舗新装・改修工事や備品購入費や宣伝・広告費のような事業所整備費、実務研修受講費、店舗賃借料が対象です。
事業所整備費の助成限度額は400万円であり、助成率は4分の3以内とされています。実務研修受講費の助成限度額は6万円であり、助成率は3分の2以内とされています。
店舗賃借料の助成限度額は、1年目が180万円(1ヶ月15万円)、2年目が144万円(1ヶ月12万円)であり、助成率は4分の3以内とされています。これらをすべて合計した助成限度額は730万円であり、助成率は4分の3以内となります。
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まとめ
東京都に所在する企業が使える助成金や補助金だけでも、かなりの数と種類があります。また、同じような制度趣旨のものもあるため、助成金や補助金に強い専門家に相談してみると良いでしょう。ただ、数多くの専門家の中から、助成金や補助金に強く、かつ自社の業界や業種に詳しい専門家と出会うことは大変難しいことです。
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