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【2022】東京都の「働くパパママ育休取得応援事業」とは?育児休業の取得環境整備に活躍!

働くパパママ育休取得応援事業

厚生労働省が令和元年(2019年)7月に発表した「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について」によれば、女性の育児休業の取得率は80%以上を維持しています。これに対して、2018年度における男性の取得率は上昇傾向にあるとはいえ、いまでも6%程度となっています。

男性が育児休業を取得しない理由には、「会社の育休制度が整っていなかった」「職場が人手不足で休めなかった」「職場が育児休暇を取得できる雰囲気ではなかった」などが挙げられています。そのため、歯止めがかからない少子化対策として、上記の問題を見据え、女性の就業継続と男性の育児休業の取得を促す施策が打ち出されています。

働くパパママ育休取得応援事業とは

上述の問題意識から、東京しごと財団が東京都と連携して男性の育児休業取得や育児中の女性の就業継続を応援する都内企業・法人等を支援しています。それが、今回紹介する「働くパパママ育休取得応援事業」です。

働くママや働くパパ個人に直接奨励金を支給する事業ではなく、企業や法人に対して奨励金を支給する事業となっています。

概要

働くパパママ育休取得応援事業は、「働くママコース」と「働くパパコース」に別れています。

働くママコースは、1年以上の育児休業を取得させ、その雇用を継続する環境整備を行った東京都内の中小企業・法人等を支援してくれます。なお、コース名は「ママ」とされていますが、男女を問わず利用できます。

働くパパコースは、男性従業員に連続15日以上の育児休業を取得させ、男性の育児参加を促した場合に奨励金を支給してくれます。

申請は各コース一事業者につき、一事業年度に1回のみです。

令和3年(2021年)度からの変更点

令和3年(2021年)度からの「働くパパコース・働くママコース共通」での変更点は、以下①~③があります。

  • ①申請回数 ⇒ 各コース年度1回まで
  • ②申請方法 ⇒ 郵送のみ(持ち込み不可)
  • ③支給申請書の控えの返送 ⇒ 返送不可

令和3年度からの「働くママコースのみ」の変更点が1つあります。

  • ①提出書類に旧姓が使われている→公的機関で発行している旧姓を確認できる書類が必要

令和3年度からの「働くパパコースのみ」の変更点も1つあります。

  • ①従業員の数が300 名以下の中小企業等を対象とする特例措置の新設

コース別の概要

「働くママコース」の対象企業は、従業員数300名以下の都内の企業に限定されています。従業員要件は、1年以上の育児休業から原職に復帰し、復帰後3ヶ月以上継続雇用されていることです。従業員も、申請日時点で都内在勤の雇用保険被保険者に限定されます。そして、育児・介護休業法に定める取り組みを上回る取組を実施した場合に、報奨金125万円が支給されます。

「働くパパコース」の対象企業は働くママコースと異なり、企業・法人規模不問であり、男性従業員に育児休業を取得させた都内の企業であれば対象となります。奨励の対象となる従業員は、申請日時点で都内在勤の雇用保険被保険者に限定されます。

そして、子が2歳に達するまでに連続15日以上の育児休業を取得し、復帰後3ヶ月以上継続雇用されていることが育児休業取得要件です。育児休業の取得が連続15日であれば25万円の奨励金が支給されます。さらに、15日取得以降15日ごとに25万円加算される仕組みとなっており、上限は300万円となっています。

以下、「働くママコース」と「働くパパコース」に分けて詳しく解説していきます。

働くママコース

冒頭でもお伝えしたように、女性の育児休業の取得率は80%以上を維持しています。そのため、働くママコースでは、育児休業の取得よりも、育児中方々が雇用を継続しやすい環境整備に重きが置かれているといえます。

そのため、育児・介護休業法に定める取組を上回る取り組みが求められ、このことを就業規則に定めなければなりません。なお、コース名には「ママ」と付されているものの、男女問わず利用できます。

奨励金の支給要件

働くママコースでは、従業員数300名以下の都内の企業に対象が限定されています。従業員要件の一つには、都内勤務の常時雇用する従業員を2名以上、かつ申請日時点で6ヶ月以上継続して雇用していることがあります。

また、1年以上の育児休業から原職に復帰し、復帰後3ヶ月以上継続雇用されている従業員がおり、申請日時点で都内在勤の雇用保険被保険者がいる場合に限定されます。

これらの要件を満たしていれば、就業規則の整備に進みましょう。育児・介護休業法に定める取り組みを上回る取り組みを行い、このことを就業規則に定める必要があります。そのため、改定前の段階で就業規則を作成して労働基準監督署に届出が必要です。

そして、令和3年4月1日以降、育介法に定める制度を上回る取り組みについて就業規則に整備したことを証明することになります。労働基準監督署の届出印と施行日で確認しています。

奨励金の受給に向けて取り組む内容

育児中の方々が雇用を継続しやすい環境整備についてです。以下の①と②の取り組みを実施することが要件とされており、①についてはア~オの中から選択できます。

  • ①育児・介護休業法に定める取組を上回る、以下のいずれかの取組について就業規則に定めていること。
    • ア 育児休業等期間の延長
    • イ 育児休業等延長期間の延長
    • ウ 看護休暇の取得日数上乗せ
    • エ 時間単位の看護休暇導入(中抜けを認めるもの)
    • オ 育児による短時間勤務制度の利用年数の延長
  • ②育児休業中の従業員に対して、復帰支援の面談を1回以上実施及び復帰に向けた社内情報・資料提供を定期的に実施したこと。

なお、法を上回るか否かに関しては、作成した就業規則の施行日時点で施行されている法律を基準とします。

申請に必要な書類

申請に必要な書類は、奨励対象事業者であることを確認するための書類や、奨励対象事業内容を確認するための書類が中心となります。以下の17種類にのぼります。

  • ①支給申請書
  • ②誓約書
  • ③雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)従業員2名分
  • ④就業規則等一式
  • ⑤事業所一覧
  • ⑥会社案内または会社概要
  • ⑦商業・法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • ⑧印鑑登録証明書
  • ⑨法人都民税・法人事業税の納税証明書
  • ⑩育児休業取得者本人の居住地を確認できる書類
  • ⑪育児休業取得者の雇用状況が確認できる書類
  • ⑫育児休業に係る子の出生の事実を確認できる書類
  • ⑬育児休業の申し出がわかる書類
  • ⑭育児休業取得者の休業状況及び職場復帰後の勤務状況が確認できる書類
  • ⑮復帰支援の状況がわかる書類
  • ⑯法を上回る取組に関する規程
  • ⑰⑯における規定改定前の規程

この他、提出書類に旧姓が使われている場合や提出代行者が提出する場合には、所定の書類が必要です。

奨励金の金額

奨励金支給額は一律の金額とされており、その額は125万円です。

働くパパコース

日本における、男性の育児休業の取得状況は低い状況が続いています。この状況を打破するため、働くパパコースでは、男性従業員の育児休業取得実績に応じて奨励金が支給されることになっています。奨励金の額は25万円~300万円です。

また、同じ趣旨の助成金に、厚生労働省の「両立支援等助成金の出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」があります。男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、育児休業や育児目的休暇を取得した男性労働者が生じた事業主に助成金が支給されます。

中小企業の場合、1人目の育休取得では57万円<生産性要件を満たした場合の支給額は72万円>となっています。働くパパママ育休取得応援奨励金(働くパパコース)と比較して、有利な方を検討すると良いでしょう。

奨励金の支給要件

東京都内の企業・法人が対象企業で、企業規模は不問です。従業員要件の一つに、都内勤務の常時雇用する従業員を2名以上、かつ申請日時点で6ヶ月以上継続して雇用していることがあります。そして、連続15日以上の育児休業を取得した後、原職に復帰し復帰後3ヶ月以上継続雇用されている男性従業員がいることが要件です。

働くママコースと同様に、働くパパコースでも就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていることが求められます。ただし、育児・介護休業法に定める取り組みを上回る取り組みを行うことまでは求められていません。

奨励金の受給に向けて取り組む内容

取り組む内容は、養育する子が2歳になるまでの間に、男性従業員が連続する15日以上の育児休業を取得した後、原職に復帰し3ヶ月が経過することです。

会社だけで取り組むことができる内容ではないですが、男性従業員が育児休業を取得しやすいような社内の雰囲気と、人手不足に陥らず安心して休業を取得することができるように、あらかじめ準備を進めておくと良いでしょう。

申請に必要な書類

申請に必要な書類は、奨励対象事業者であることを確認するための書類や、奨励対象事業内容を確認するための書類が中心となり、働くママコースの場合とほぼ同じです。以下の14種類にのぼります。

  • ①支給申請書
  • ②誓約書
  • ③雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)従業員2名分
  • ④就業規則等一式
  • ⑤事業所一覧
  • ⑥会社案内または会社概要
  • ⑦商業・法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • ⑧印鑑登録証明書
  • ⑨法人都民税・法人事業税の納税証明書
  • ⑩育児休業取得者本人の居住地を確認できる書類
  • ⑪育児休業取得者の雇用状況が確認できる書類
  • ⑫育児休業に係る子の出生の事実を確認できる書類
  • ⑬育児休業の申し出がわかる書類
  • ⑭育児休業取得者の休業状況及び職場復帰後の勤務状況が確認できる書類

この他、提出書類に旧姓が使われている場合や提出代行者が提出する場合には、所定の書類が必要です。

奨励金の金額

働くパパコースの奨励金の金額は、連続して取得した育児休業の日数によって異なります。

先ほど、連続して15日以上取得した場合には、奨励金として25万円が支給されると説明しました。正確には、連続して15日以上30日未満の育児休業取得日数であれば25万円とされています。

そして、連続して30日以上45日未満の育児休業取得日数であれば50万円と、連続での育児休業取得日数が15日増える毎に、報奨金の額も25万円ずつ増えていきます。最大は、連続して180日以上の育児休業を取得した場合に、300万円の報奨金が支給されます。

すでに女性の労働者であれば半年以上の育児休業を取得している方は多いので、連続して180日以上といえども、決して不可能な目標ではないでしょう。

また、令和3年度より、常時雇用する従業員の数が300名以下の中小企業等を対象とする特例措置として、次の①②の措置が設けられています。

  • ① 子の出生後8週の期間に30日以上の育児休業を取得した場合は、奨励金に一律20万円を加算
  • ② 子の出生後8週の期間に初回の育児休業を取得した場合は、2回目以降の育児休業期間のうち1回分に限り、初回の育児休業期間と合算して申請が可能

働くパパママ育休取得応援事業の申請の流れ

働くパパママ育休取得応援事業の申請の流れは次のような形です。

  • ①育児休業取得(働くパパコースは連続した15日以上、働くママコースは1年以上)
  • ②現職復帰(3ヶ月)
  • ③申請(2ヶ月以内)
    • これをもとに、審査が行われ、支給決定通知が届きます
  • ④奨励金申請書兼口座振替依頼書提出
    • 奨励金の振込が行われます

働くパパママ育休取得応援事業の申請受付期間は、 原職等復帰3ヶ月経過後2ヶ月以内です。さらに、令和3年(2021年)4月1日(木)~令和4年(2022年)3月31日(木)の期間である必要があります。なお、予算の範囲を超えた場合は、申請受付期間内でも受付を終了します。

まとめ

働くパパママ育休取得応援事業は、「働くママコース」と「働くパパコース」に分かれています。

「働くママコース」は、従業員に育児休業を取得させ職場環境を整備した都内中小企業等が対象であり、奨励金の額は一律125万円です。

「働くパパコース」は、育児休業連続15日取得を満たすと25万円の奨励金となり、15日取得以降15日ごとに25万円加算され、最大180日以上取得したときの300万円です。

奨励金の額が比較的高額であるため、従業員の方と相談しつつ活用したい奨励金といえるでしょう。

もちろん、最新の育児・介護休業法を把握し、たくさんの書類を整備しなければなりません。対象となる従業員の方がいらっしゃるにもかかわらず、社内環境の整備に不安のある事業者様は、当社補助金バンクを活用して専門職に依頼してみてはいかがでしょうか?

補助金バンクには、就業規則の作成や変更、そして最新の労働関係の法律を熟知した専門家が多く在籍しています。自社にマッチした専門家と出会うお手伝いをさせて頂きますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人
安田 史朗
この記事を書いた人
安田 史朗
社会保険労務士法人イージーネット 副代表 社会保険労務士 中小企業診断士
事業者には区別しづらい「助成金」と「補助金」の両方に精通しており、多くの中小企業に助成金・補助金の提案~支援を行っている。補助金の審査員経験もあり、士業向け「補助金コンサルタント」養成講座の講師として後進の育成にも力を注ぐ。

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