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【2022】事業再構築補助金の事業計画書の書き方を解説!採択されるコツとは

事業再構築補助金の事業計画書の書き方

事業再構築補助金の申請において、中小企業様を最も悩ませているのが事業計画書の作成です。長い文章を書くだけでも大変な上に、公募要領に示された各要件を満たし、かつ、論理的にも破綻がないようにとなると一朝一夕とはいきません。

今回は、事業再構築補助金の採択を狙う中小企業様に対して、事業計画書作成のポイントと採択率を上げるためのコツを解説します。この記事をご覧いただくことで、より採択可能性の高い事業計画書の作成方法がわかるでしょう。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、ウィズコロナ・ポストコロナにおける社会の劇的な変化に対応するため、思い切った事業の転換に取り組む中小企業を支援する国の補助金です。

2022年8月末現在、過去6回の募集が行われ、毎回約2万社が応募する人気の制度です。採択率は概ね40%ほどで、初期の頃は応募者の提出する書類の不備等で計画に記載された事業内容が審査されることなく、不採択となるケースも多かったようですが、回を重ねるごとにそうしたことも減少し、徐々に採択率は上がっています。

対象者

申請可能な対象者は、次の要件に当てはまる中小企業および中堅企業です。

 

  • 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同年3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
  • 「新分野展開」「業態転換」「事業・業種転換」「事業再編」のいずれかに取り組むこと
  • 事業計画を「認定経営革新等支援機関」と策定していること

 

なお、補助金額が3,000万円を超える案件は、「認定経営革新等支援機関」に加え、金融機関との連携も必要になりますが、金融機関自体が「認定経営革新等支援機関」であれば当該金融機関のみでも足ります。

補助金額・補助率

2022年8月下旬から申請受付が開始される第7回公募では、次の6つの支援類型が募集される予定となっています。

 

通常枠

  • 補助金額:
    • 従業員数20人以下:100〜2,000万円
    • 従業員数:21人〜50人:100〜4,000万円
    • 従業員数:51人〜100人:100〜6,000万円
    • 従業員数:101人以上:100〜8,000万円
  • 補助率:
    • 中小企業等:2/3(6,000万円を超える部分は1/2)
    • 中堅企業等 1/2(4,000万円を超える部分は1/3)

 

大規模賃金引上枠

  • 補助金額:従業員数101人以上:8,000万円超〜1億円
  • 補助率:
    • 中小企業等:2/3(6,000万円を超える部分は1/2)
    • 中堅企業等 1/2(4,000万円を超える部分は1/3)

 

回復・再生応援枠

  • 補助金額:
    • 従業員数5人以下:100〜500万円
    • 従業員数6人〜20人:100〜1,000万円
    • 従業員数21人以上:100〜1,500万円
  • 補助率:
    • 中小企業等:3/4
    • 中堅企業等:2/3

 

最低賃金枠

  • 補助金額:
    • 従業員数5人以下:100〜500万円
    • 従業員数6人〜20人:100〜1,000万円
    • 従業員数21人以上:100〜1,500万円
  • 補助率:
    • 中小企業等:3/4
    • 中堅企業等:2/3

 

グリーン成長枠

  • 補助金額:
    • 中小企業等:100万円〜1億円
    • 中堅企業等:100万円〜1.5億円
  • 補助率:
    • 中小企業等:1/2
    • 中堅企業等:1/3

 

緊急対策枠

  • 補助金額:
    • 従業員数5人以下:100〜1,000万円
    • 従業員数6人〜20人:100〜2,000万円
    • 従業員数21〜50人:100〜3,000万円
    • 従業員数51人以上:100〜4,000万円
  • 補助率:
    • 中小事業者等:3/4(従業員5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6〜20人の場合1,000万円を超える部分、従業員21人以上の場合1,500万円を超える部分は2/3)
    • 中堅企業等:2/3(従業員5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6〜20人の場合1,000万円を超える部分、従業員21人以上の場合1,500万円を超える部分は1/2)

 

「通常枠」以外で申請する場合には、それぞれ支援類型に定められた要件を満たす必要があります。なお、「通常枠」以外で申請し不採択となった場合は、「通常枠」にて再審査されます。

事業計画書の要件

事業再構築補助金で作成する事業計画には「「認定経営革新等支援機関」と策定している」こと以外にも、次の要件が求められています。

 

  • 補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画策定すること

 

なお、「グリーン成長枠」においては、年率平均5.0%以上の増加を求められています。これらを事業計画書内の「収益計画」で示す必要があり、その数値の根拠を事業計画書の「補助事業の具体的取組内容」以下に記載します。

事業再構築補助金の事業計画書に書くべき内容

事業再構築補助金の事業計画書は、A4サイズで15ページまで(補助金額1,500万円以下の場合は10ページまで)となっている以外に決まったフォーマットがありません。ただし、記載する内容については、公募要領に次の4つの項目が定められています。

 

  1. 補助事業の具体的取り組み内容
  2. 将来の展望
  3. 本事業で取得する主な資産
  4. 収益計画

 

この4つの項目の中に求められていることを記述やデータで示さなくてはなりません。それぞれ何を記載するのか一つひとつ確認していきましょう。

補助事業の具体的取組内容

まず、「補助事業の具体的取組内容」について、公募要領の記載に沿って確認していきましょう。ここは計画の最もメインとなる部分になりますので、特に力を入れる必要があります。

なお、1ページに必ず会社名を入れ、各ページにはページ番号を振ってください。

 

①現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、今回の補助事業で実施する新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編またはこれらの取り組みについて具体的に記載してください。事業実施期間内に投資する建物の建設・改修等の予定、機械装置等の型番、取得時期や技術の導入や専門家の助言、研修等の時期についても、可能な限り詳細なスケジュールを記載してください。

※必要に応じて、図表や写真等を用いて、具体的に記載してください。

 

まずは、自社の分析から始まります。「強み・弱み、機会・脅威、事業環境」とあるので、「SWOT分析」などを活用して整理すると良いでしょう。

事業再構築補助金に限らず、補助金には審査がありますが、審査員が貴社の業界や地域に詳しいとは限りません。誰が読んでもわかるように分析結果を記載し、取組む事業との関連性やシナジーを示します。また、建物の建設や設備の取得などについても、事前に業者に当たりをつけておき、見積りや時期を明確にしておきましょう。

 

②応募申請する枠(通常枠、大規模賃金引上枠、回復・再生応援枠、最低賃金枠、グリーン成長枠、緊急対策枠)と事業再構築の種類(「事業再編型」「業態転換型」「新分野展開型」「事業転換型」「業種転換型」)に応じて、「事業再構築指針」に沿った事業計画を作成してください。どの種類の事業再構築の類型に応募するか、どの種類の再構築なのかについて、事業再構築指針とその手引きを確認して、具体的に記載してください。

6つの支援類型と5つの事業再構築の種類から、応募するものに応じた事業計画書を作成してください。特に、支援類型の「通常枠」以外のものについては、基本要件に加えそれぞれの要件があるため注意が必要です。「事業再構築指針のその手引き」をよく確認しましょう。

 

③補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制などについて具体的に記載してください。

事業に取り組むことによって、競合とどのように差別化ができ、優位に立てるのかということを説明します。また、いかに素晴らしい取り組みでも実現不可能なものは無意味です。ヒト・モノ・カネ・情報(ノウハウなど)の観点から、どのように実現していくかも記載ください。

 

④既存事業の縮小または廃止、省人化により、従業員の解雇を伴う場合には、再就職支援の計画等の従業員への適切な配慮の取り組みについて具体的に記載してください。

事業の再構築にあたって、従業員を解雇する必要性が出てくる場合もあるでしょう。その際の再就職支援をどのように考えているのか具体的に記載してください。

 

⑤個々の事業者が連携して遂行する事業である場合、または代表となる事業者が複数の事業者の取り組みを束ねて一つの事業計画として申請を行う場合は、事業者ごとの取り組み内容や補助事業における役割等を具体的に記載してください。

複数の事業者で連携して行う事業である場合、全体像や個々の事業者の取り組みがわかるように記載しましょう。

将来の展望

続いて、「将来の展望」の記載です。ここは、所謂、マーケティングの領域になり、記載の仕方がよくわからないとなる方が多い項目です。

 

①本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や課題やリスクとその解決方法などを記載してください。

「具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等」については、自治体や調査機関の公表しているデータを参考にすると良いでしょう。また、国が次のようなツールも提供しているので活用するのも有効です。

 

(参考)

〇経済産業省において、市場動向等を簡易に把握できる「統計分析ツール」を公開しています。鉱工業品 約1,600品目を対象として、簡易な操作で生産動向等をグラフ化することができます。必要に応じて、 自社の事業計画作成にご活用ください。 具体的な活用方法をわかりやすく解説する動画も併せてご覧ください。

 

 

〇内閣府において、知財が企業の価値創造メカニズムにおいて果たす役割を的確に評価して経営をデザインするためのツール(経営デザインシート)やその活用事例等を公表しています。事業計画の作成に際し、必要に応じて活用してください。

 

 

さらに、取り組みにあたって課題となっていることや、想定されるリスクとその解決方法を記載します。新しい事業に取り組むにあたって、障害は必ず発生します。この記述が薄いと計画が練られていないという印象を持たれる可能性があるため、よく考えて記載しましょう。

 

②本事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について簡潔に記載してください。

 

③必要に応じて図表や写真等を用い、具体的に記載してください。

 

②・③の項目については、記載のとおり事業化の見込みを記述します。

本事業で取得する主な資産

「具体的な取り組み内容」と「将来の展望」が固まれば、それらを実現するために取得する主な資産を記載します。

本事業により取得する主な資産(単価50万円以上の建物、機械装置・システム等)の名称、 分類、取得予定価格等を記載してください(補助事業実施期間中に、別途、取得財産管理台帳を整備する)。

なお、「本事業で取得する主な資産」と「収益計画」は、申請システム上のテキストボックスへの入力も必要になります。

収益計画

最後に、「収益計画」の記載です。これまで記載した内容をもとに、3〜5年の事業期間で収益がどのように推移し、付加価値額増加の要件を満たせるかを示していきます。

 

①本事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等について具体的に記載してください。

②収益計画(表)における「付加価値額」の算出については、算出根拠を記載してください。

③収益計画(表)で示された数値は、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等において伸び率の達成状況の確認を行います。

 

数字を適当に入れるのではなく、既存事業と新規事業を分けて考え、それぞれの今後の市場動向や共通経費の按分など算出根拠を明確にして記載しましょう。

既存事業が2つ以上になる場合、かなり複雑になるため、エクセル等を活用すると良いでしょう。示された数値は事業期間中、毎年度報告が必要になるので、なぜこの数値なのか説明できるようにしておきましょう。

事業再構築補助金の事業計画書のポイント

続いて、事業計画書を作成する際のポイントについて解説します。これらは事業再構築補助金以外の事業計画書を作成する際にも有効ですので、ぜひ押さえておいてください。

審査項目を押さえる

募集要綱には、審査員がどこを審査するのかを記載した「審査項目」が掲載されています。事業計画作成の前に熟読しておきましょう。6つの支援類型共通の項目は次のとおりです。

 

  1. 補助対象事業としての適格性
  2. 事業化点
  3. 再構築点
  4. 政策点
  5. グリーン成長点(グリーン成長枠に限る)

 

事業計画作成時に、これらの点が網羅されているか確認しながら進めていくことが重要です。

大きな流れを決めて書く

相当に文章を書き慣れた人でない限り、いきなり事業計画書の最初から順に文章を書き始めるのは悪手です。なんとなく頭で事業が思い浮かんでいたとしても、それを10〜15枚にまとめるというのは至難の技です。

おそらく、記述を進めていくうちに前後の矛盾が生まれたり、細部のヌケモレが出たりするでしょう。そうならないためにも、まずは貴社がこれから取り組もうと考えている事業について、最初から最後までのざっくりとした下書きを作成することをおすすめします。最初に大まかな流れとなるストーリーを作り、無理がなければ、そこで初めて肉付けをしていきましょう。

図や表などを活用する

字ばかりの事業計画書は、大変読みづらいものです。募集要項にも、たびたび「必要に応じて、図表や写真等を用いて」記載するように指摘がされています。

「百聞は一見にしかず」ということばもあるように、クドクドと記述があるよりも写真や図表の方が理解が早いということは往々にしてあります。ただし、使い過ぎには注意してください。

事業再構築補助金に採択されるコツ

最後に、事業再構築補助金に採択されるためのコツをお伝えします。

公募も回数を重ね、事業者や認定支援機関などの支援者にもノウハウが蓄積され、今後提出される他社の事業計画書も水準が上がってくることが予想されます。少しでも採択可能性を上げるため、ここに記載したことに取り組んでいただきたいと思います。

採択された事業計画書を研究

事業再構築補助金のサイトには、過去の公募回で採択を受けた事業者の事例が公開されています。その中に採択された事業計画書が丸々掲載されていますので、これを利用しない手はありません。

記載の内容や順序、市場規模や収益計画の根拠となる情報のソースや活用方法など、自社と異なる業界のものでも参考になる点があります。事業計画書の記載に取り組む前に、まず他社のものを分析してみることをおすすめします。

不採択理由を事務局に確認

不採択理由を事務局に確認するのは、一度申請して不採択となった企業様のみに使える手段です。確認することができることは、不採択となった案件内でのランクと審査員のコメントです。

審査員のコメントについては、どうやら決まったフォーマットがあるようで、完全に個社的な内容とはいえませんが、貴社の計画に足りない部分を直接教えてもらうことが可能です。ランクについてはA〜Cの段階があり、Cの場合には事業計画の抜本的な見直しが必要かもしれません。

実績のある支援者に依頼

自社で頑張ってはみたものの、どうしても難しいという場合は、実績のある支援者にサポートを依頼することも検討しましょう。手数料がかかってはしまいますが、そうした支援者は、貴社の取り組む事業がより良いものになるよう、経営コンサルタントのサービスも提供してくれる可能性もあります。

反面、手数料を目的に必要のない設備投資をすすめたり、採択後のサポートがない支援者もいますので、よく調査してから支援を依頼するようにしましょう。

まとめ

事業再構築補助金における事業計画書の記載内容について解説しました。かなりのボリュームがあり作成は大変ですが、挑む価値のあるものでもあります。ぜひチャレンジしていただき、採択を勝ち取っていただきたいと思います。

当社補助金バンクでは、事業再構築補助金を熟知したトップコンサルタントが中小企業様の事業計画作成をお手伝いしています。無料相談も対応しておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。

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この記事を書いた人
野竿 健悟
この記事を書いた人
野竿 健悟
株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士
補助金に精通しており、自ら申請をご支援し、高採択率の実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を活かしたシステム開発の補助金申請の支援実績多数。

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