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【2022】建物の建築費が補助金の対象に!事業再構築補助金の活用方法

建物向けの補助金

建物の建築や改修には非常に高額な費用がかかることが一般的ですが、これらの費用が対象となる補助金はほとんど存在しません。しかし、事業再構築補助金では、建物の建築や改修にかかる費用も補助の対象です。

今回は、建築費なども対象となる事業再構築補助金の活用法を紹介します。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、コロナ禍で登場した新しい補助金です。はじめに、事業再構築補助金の概要を確認しておきましょう。

事業再構築補助金の目的

事業再構築補助金は、中小企業等がポストコロナやウィズコロナ時代への変化に対応できるよう、事業の再構築を支援することを目的としています。

こうした背景から、支援対象は「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」または「事業再編」という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等です。そのため、採択された場合に支給される金額も高額となっています。

主な対象者

事業再構築補助金の枠は通常枠のほか、5つの枠が存在します。それぞれの枠の主な対象者と内容は次のとおりです。

卒業枠

卒業枠とは、中小企業を卒業してもう一段階大きな中堅企業へと成長する事業者向けに設けられた特別枠です。事業計画期間内に、組織再編、新規設備投資またはグローバル展開のいずれかにより資本金または従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長することが要件となっています。

この枠の補助額は6,000万円から1億円で、補助率は3分の2です。

グローバルV字回復枠

グローバルV字回復枠とは、グローバル展開を果たす事業を通じて、付加価値額年率5.0%以上増加のV字回復を果たす事業者向けの特別枠です。売上高が15%以上減少していることが要件となっています。

この枠の補助額は8,000万円から1億円で、補助率は2分の1です。

緊急事態宣言特別枠

緊急事態宣言特別枠とは、令和3年の緊急事態宣言により深刻な影響を受け、早期の事業再構築が必要な中小企業などを対象とした特別枠です。

緊急事態宣言特別枠に該当するための主な要件は、次の2点です。

  1. 通常枠の申請要件を満たすこと
  2. 緊急事態宣言にともなう飲食店の時短営業や不要不急の外出や移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1月~8月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少していること

この枠の補助額は、従業員数ごとに次のとおりです。

  • 5人以下:100万円から500万円
  • 6人から20人:100万円から1,000万円
  • 21人以上:100万円から1,500万円

補助率は、中小企業で4分の3、中堅企業で3分の2となっています。なお、この枠で不採択となった場合であっても、通常枠で採択される可能性があります。

最低賃金枠

最低賃金枠とは、最低賃金の引き上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に状況が厳しい中小企業等を対象として設けられた枠です。

最低賃金枠に該当するための主な要件は、次の3点です。

  1. 通常枠の申請要件を満たすこと
  2. 2020年10月から2021年6月の間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
  3. 2020年4月以降のいずれかの月の売り上げが対前年または、前々年の同月比で30%以上減少していること

この枠の補助額は、従業員数ごとに次のとおりです。

  • 5人以下:100万円から500万円
  • 6人から20人:100万円から1,000万円
  • 21人以上:100万円から1,500万円

補助率は、中小企業で4分の3、中堅企業で3分の2となっています。

なお、この枠で不採択となった場合であっても、通常枠で採択される可能性があります。

大規模賃金引上枠

大規模賃金引き上げ枠とは、多くの従業員を雇用し継続的な賃金引き上げに取り組み、かつ従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等を対象とした枠です。

大規模賃金引上枠に該当するための要件は、次の4点です。

  1. 通常枠の申請要件を満たすこと
  2. 従業員数が101人以上であること
  3. 補助事業実施期間終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内の最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
  4. 補助事業実施期間終了時点を含む、事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること

この枠の補助額は、8,000万円から1億円です。補助率は、次のとおりです。

  • 中小企業:3分の2(6,000万円超は2分の1)
  • 中堅企業:2分の1(4,000万円超は3分の1)

なお、この枠で不採択となった場合であっても、通常枠で採択される可能性があります。

通常枠

上記に該当しなくとも、後ほど解説する主な要件を満たす場合には、通常枠に応募ができます。通常枠の補助額は、従業員数ごとに次のとおりです。

  • 20人以下:100万円から4,000万円
  • 21人から50人:100万円から6,000万円
  • 51人以上:100万円から8,000万円

補助率は、次のとおりです。

  • 中小企業:3分の2(6,000万円超は2分の1)
  • 中堅企業:2分の1(4,000万円超は3分の1)

主な要件

事業再構築補助金を申請するための主な要件は、次の3点です。これらをすべて満たしたうえで、上で解説する適切な枠に応募することになります。

売上が減っていること

原則として、次の2つの要件をともに満たしている必要があります。

  1. 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち任意の3ヶ月間の合計売上高が、コロナ以前の同じ3ヶ月の合計売上高よりも10%以上減少していること
  2. 2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3ヶ月間の合計売上高が、コロナ以前の同じ3ヶ月の合計売上高と比較して5%以上減少していること

新分野展開や業態転換などへ取り組むこと

事業再構築補助金は、思い切った事業再構築に意欲を有する企業を支援するための補助金です。そのため、事業再構築指針に沿って次のいずれかを行う必要があります。

  1. 新分野の展開:主な事業を変更することなく、新たな製品、商品、サービスを展開して新たな市場に進出すること
  2. 業態転換:製品、商品、サービスの製造方法や提供方法を相当程度変更すること
  3. 事業・業種転換:新たな製品、商品、サービスを提供することにより、主たる業種や主たる事業を変更すること
  4. 事業再編:会社の合併や会社分割などをおこない、新たな事業形態のもとで上の1、2、3のいずれかをおこなうこと

事業計画を策定すること

認定経営革新等支援機関と共に事業再構築に係る事業計画を策定することが必要です。

ただし、補助金の申請をする以上は、補助金を使った事業で収益をあげるなどして結果的に国へ貢献しなければなりません。そのため、次のいずれかの達成を見込む事業計画を策定する必要があります。

  1. 補助事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加
  2. 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加

事業再構築補助金の対象となる「建物費」とは

補助金としては珍しく、事業再構築補助金では「建物費」も補助の対象とされています。ここでは、建物費にどのようなものが該当するのか、確認していきましょう。

補助事業のために使用される建物の建設費や改修費

建物費の代表的なものは、補助事業のために使う建物の建築費や改修費です。もっぱら補助事業のために使用される事務所や生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設や改修に要する経費がこれに該当するとされています。

具体例としては、居酒屋の一部で惣菜のテイクアウト販売を始める場合ために行う店舗の改修工事や、美容室の事業者が新たにコワーキングスペースを開業するために物件を建築するための工事費用などです。

補助事業のために必要となる建物の撤去費

補助事業のために必要となる建物の撤去費も、建物費として補助金の対象となります。ただし、建物撤去のみを補助事業とすることはできず、補助対象事業である新たな事業を始めるための撤去であることが必要です。

補助事業のために必要となる賃貸物件等の原状回復費

賃貸物件で事業を営んでいた場合、その賃貸物件の退去に伴う原状回復費用も補助対象の経費となります。ただし、こちらも撤去費と同様に原状回復のみを補助事業とすることはできず、補助対象事業である新たな事業を始めるための一環であることが必要です。

建物費を含んだ事業再構築補助金の活用イメージ

建物費を含んだ事業再構築補助金は、すでに採択事例がいくつも存在しています。ここでは、事業再構築補助金のホームページで中小企業庁が公表している活用例のうち、建物費を含む例を3つ紹介しましょう。

衣服品販売店が新たに美容関連商品販売店を展開

新型コロナウイルスの影響により、売り上げが減少した衣服品販売店を経営する事業者が、既に実施しているフィットネス関連事業との相乗効果を念頭に、新たに健康・美容関連商品の販売店へ事業転換する事例です。

補助対象として採択されるためには、主に次の3点を示すべきとされています。

  1. 製品等の新規性要件を満たしていること
  2. 市場の新規性要件を満たしていること
  3. 3~5年の事業計画期間終了後、健康・美容品販売店を含む事業の売上高構成比が最も高い事業となること

この場合には、たとえば従来衣服品販売店として利用していた店舗の内装を健康・美容関連商品の販売店へと作り変える改修費などが補助対象の経費となり得るでしょう。

トラック輸送業者が新たに飲食店を開業

新型コロナウイルスの影響による食材等の需要の減退で、輸送量が減少したトラック輸送業を営んでいた事業者が、これまでの事業で生産者とつながりがあった食料を用いたメニューを共同で開発し、飲食店の開業へと業種転換をする事例です。

補助対象として採択されるためには、主に次の3点を示すべきとされています。

  1. 製品等の新規性要件を満たしていること
  2. 市場の新規性要件を満たしていること
  3. 3~5年の事業計画期間終了後、飲食店経営を含む業種の売上高構成比が最も高くなること

この場合には、新たに営む飲食店の店舗建築費などが補助対象の経費となり得るでしょう。

宿泊事業者が客室をコワーキングスペースに改修

新型コロナウイルスの影響により、出張や旅行の機会が減少したことで利用客が激減した宿泊業者が、在宅勤務者等をターゲットとして旅館の客室の大半をコワーキングスペースに改修し、新たに運営を行う事例です。

補助対象として採択されるためには、主に次の3点を示すべきとされています。

  1. 製品等の新規性要件を満たしていること
  2. 市場の新規性要件を満たしていること
  3. 3~5年の事業計画期間終了後、コワーキングスペースの運営を含む業種の売上高構成比が最も高くなること

この場合には、客室をコワーキングスペースへと作り変える改修費などが補助対象の経費となり得ます。

「建物費」に事業再構築補助金を受ける場合の注意点

「建物費」を対象に事業再構築補助金を受けたい場合には、次の3点に注意しましょう。

土地の取得費用や既存建物の購入費用は対象外

土地や既存建物の購入費用は、事業再構築補助金の対象とはなりません。たとえば、居抜きで物件を購入し、そこで補助対象となる事業をおこなうなどの場合であっても、物件の購入費は対象外のため注意しましょう。

賃貸用不動産や資産運用目的不動産の取得費用は対象外

不動産賃貸業も、立派な事業の一つです。しかし、不動産賃貸や資産運用を目的とする事業は事業再構築補助金の対象事業とはならないため、これらを目的とした建物の建築費や改修費は補助対象外となっています。

相見積もりが必須

建物費に対して補助金の交付を受けるには、相見積もりを取ることが要件とされています。相見積もりの提出は補助金の申請時ではなく、事業が採択され交付が決定したときです。

しかし、相見積を取るには時間がかかることもあり、採択が決まってから見積もりを依頼していては必要な時期に間に合わない懸念があります。そのため、できれば申請時から早めに準備を進めておいた方が良いでしょう。

まとめ

補助金は、返済が不要である点で、企業にとって非常に有用な資金調達方法です。中でも、事業再構築補助金は建物の建築費などが対象となるため、この機会を使わない手はありません。ぜひ、自社の事業への活用を検討してみると良いでしょう。

しかし、補助金の採択には審査があり、申請したからといって必ずしも受給できるわけではありません。また、申請には事業計画書など多くの書類が必要で、自社のみで不備なく作成することはほぼ困難だといえます。

当サイト「補助金バンク」には、補助金に詳しい中小企業診断士や行政書士などの専門家が多く登録しています。事業再構築補助金の申請をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人
野竿 健悟
この記事を書いた人
野竿 健悟
株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士
補助金に精通しており、自ら申請をご支援し、高採択率の実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を活かしたシステム開発の補助金申請の支援実績多数。

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