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【2022】事業再構築補助金は「不動産業」でも利用可能!採択されるポイントは?

不動産業での事業再構築補助金

事業再構築補助金の第3次公募が締め切りました。当該補助金は不動産の取得が補助対象外と要領に記載されているため、申請を諦めている不動産業の人もいらっしゃるかと思いますが、不動産業でも事業再構築補助金に申請できる可能性があります。

今回は、不動産業で申請ができる場合とそうでない場合について詳しく解説していきます。

事業再構築補助金・通常枠の補助要件

まず、事業再構築補助金に申請するための基本的な要件として、次の4つを満たさなければなりません。

  • 売上減少要件
  • 認定支援機関要件
  • 付加価値額要件
  • 事業再構築の類型に該当すること

まずは、これらの要件について説明します。

売上高減少要件

事業再構築補助金に申請するためには、売り上げの減少要件を満たしている必要があります。具体的には、要項にあるとおり

『2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1月~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%または15%以上しており、2020年10月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して5%以上減少していること等。(売上高に代えて付加価値額を用いることも可能)。』(3次公募時の要件)となります。

売上高減少要件は、第3次公募から付加価値額の減少も対象となり、申請できる企業の範囲が緩和されています。今後も微調整が行われる可能性がありますが、基本的にはコロナ前とコロナ後を比較した際に、コロナウイルスの影響により、経営が相応の打撃を受けたことを証明できることが要件となります。

認定支援機関要件

事業再構築補助金の申請は、事業計画書を認定経営革新等支援機関(認定支援機関)と策定する必要があります。認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)です。

補助金額が3,000万円を超える場合は、金融機関も参加して策定することが求められます。金融機関が認定支援機関であることも多いため、金融機関が認定支援機関を兼ねることも可能です。

2021年9月現在、35,000程度の機関が認定支援機関としての認定を受けています。認定支援機関を探したい場合には、中小企業庁の認定支援機関一覧を参照してください。

付加価値額要件

事業再構築補助金の申請をするために必要な事業計画において、補助事業終了後(3~5年後)の付加価値額が、補助事業終了年度と比較して年率平均3%アップするというものでなければなりません。

年率平均は、3年計画であれば比較対象年度と比べ9%、5年計画であれば15%以上の増加が必要ということです。

付加価値額とは、営業利益+人件費+減価償却費の合計のことです。要するに、新しい事業の取り組みによって営業利益が上がり、雇用が増えて会社が支払う人件費も上がり、設備も増えたことによって減価償却費も上がるということを求められています。

なぜ単純に営業利益率を要件としないのかについて解説しましょう。通常新規事業を始める場合、3~5年で営業利益を増加させることは難易度が高く、通常最初の数年は投資が増え、赤字となることも少なくありません。事業再構築補助金は、企業の思い切った構造改革を支援するための補助金であるため、短期での営業利益の黒字化は要件にせず、投資を増やすことで事業を成長させることを要件としていると考えられます。したがって、短期の収益性改善よりも、将来において成長性が感じられる事業計画であるかどうかが重要であると考えられているのです。

事業再構築の類型に該当すること

最後の要件として、「事業再構築の類型に該当する」ことがあげられます。おそらく、こちらの要件が一番わかりづらく、要件に当てはまるのかどうか判断しづらいものではないでしょうか?

「事業再構築」の定義は、経済産業省の事業再構築指針により明らかにされています。次の5つとされており、それぞれの定義は次のとおりです。

  • 新分野展開:新たな製品等で新たな市場に進出する
  • 事業転換:主な「事業」を転換する
  • 業種転換:主な「業種」を転換する
  • 業態転換:製造方法等を転換する
  • 事業再編:事業再編を通じて新分野展開、事業転換、 業種転換または業態転換のいずれかを行う

5つの類型ごとに、製品等の新規性要件、市場等の新規性要件、製造方法の新規性要件などの細かい要件が定義されており、それらのすべてを満たす必要があるため、詳細は要領をよく読んで確認しましょう。

以上より、不動産業でも事業再構築補助金の要件を満たす場合、申請が可能となります。

申請要件を満たしていれば、次に考慮することは、申請する事業内容が「補助対象経費」に当てはまるかどうかということです。事業再構築補助金では、「補助対象経費」という決められた支出項目があり、補助対象経費に当てはまる経費だけが補助の対象となります。

補助対象経費と対象外経費

要領によると、事業再構築補助金の対象となる経費は下記の11項目です。

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費
  • 海外経費(卒業枠、グローバルV字回復枠のみ)

逆に、経費にならない項目は下記の項目があります。

  • 不動産の購入費
  • 株式の購入費
  • 自社の人件費、旅費
  • 車両
  • 汎用品
  • 商品の原材料費
  • 消耗品費
  • 光熱水費
  • 通信費

これによると、「不動産の購入」は対象外となっているため、不動産業が当該補助金を申請することが難しいと思われている原因かもしれません。

しかし、「不動産の購入」が対象外であるだけで、不動産業が申請できないわけではなく、不動産業であっても不動産の購入以外の経費を利用した補助事業で申請することは可能であるということです。逆に、不動産事業以外の事業者であっても「不動産の購入」経費で補助金を申請することはできません。

補助対象外の「専ら資産運用的性格の強い事業」とは

「不動産の購入」が経費として対象とならないことに加え、公募要領には「具体的な事業再構築の実施の大半を他社に外注または委託し、企画だけを行う事業」や「専ら資産運用的性格の強い事業」は補助対象外であると記載があります。

事業再構築補助金獲得に際しては、自社で雇用をするなどし、事業主体者として責任を持って遂行ことが前提となります。よって、自社では企画だけ行い、その後の運営は他社にすべて外注するような事業は対象外となります。

「専ら資産運用的性格の強い事業」というのは、資産を所有しているだけで運用益が出るような事業のことを指します。たとえば、金融資産の運用、運営を全て外注するオフィスビル等の不動産賃貸業やアパート経営、無人のコインランドリー経営等があげられます。

また、公募要領には、不採択または交付取消になる事例として「建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業」とあります。

この記載は、「専ら資産運用性格の強い事業」と同じことを意味していますが、当該補助金を活用して建物を改装して不動産価値を高め、賃料を高くするといった不動産事業について限定して指摘しています。この記述によると、同じ資産運用であったとしても、「短期的」な貸し出しサービスである宿泊業や空間レンタル等は対象となると考えられます。

不動産業が事業再構築補助金の採択を受けるには

不動産業でも、不動産の購入や設備を長期的に特定の第三者に賃貸するようなことをしなければ、事業再構築補助金の対象になります。実際の採択事例とともに、具体的に解説していきます。下記は、事業再構築補助金の手引きに記載されている不動産業の新分野展開の事例です。

事業再構築指針の手引きでは、不動産業の新分野展開の例として「都心部の駅前にビジネス客向けのウィークリーマンションを営んでいたけれど、テレワーク需要の増加を踏まえて、客室の一部をテレワークスペースや小会議室に改装するとともにオフィス機器を導入し、3年間の事業計画期間終了時点で、当該レンタルオフィス業の売上高が総売上高の10%以上となる計画を策定している場合」が挙げられています。

この事例からは、そもそも自社が所有もしくは賃借している不動産の内装などの改装費は補助金の対象となる、それを第三者に賃貸する事業(期間は不明)は対象となるということがいえます。

「建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業」は対象外となっているのに、なぜテレワークスペースの賃貸は良いのかという疑問が湧くかもしれませんが、テレワークスペースの契約期間は長くても1年以内と想定されるのと、貸し会議室等が不特定多数の人に貸し出されるため、対象となっていると考えられます。

また、レンタルオフィス業を営むための賃貸であって、「事業の用に供することなく、長期間賃貸させる」にも当てはまらないため、対象となります。

賃貸契約期間などの基準がないため、「長期間」がどの程度の物なのか判断が難しいですが、不動産業であっても工夫すれば補助金の対象となる可能性は充分にあるといえます。

不動産事業の採択事例

下記は、実際に当該補助金で採択された不動産業と思われる事例の一部抜粋です。「資産運用ではないか」「事業のための賃貸か」「特定の第三者への長期間にわたる賃貸ではないか」という視点でみていくと、確かにすべて当てはまらない事業ばかりですし、不動産業と一括りにしてもこれだけさまざまなバリエーションがあるということです。

  • 先進的コインパーキング事業
  • 障がい者グループホーム運営事業
  • トレーラーハウスレンタル事業
  • 非接触型一棟貸しゲストハウス事業
  • 料理スペース一棟貸し事業
  • 都市型アウトドアレンタルスペース
  • 多目的レンタルスペース業
  • レンタルキッチン等運営事業
  • 非接触型システムを設置したシェアオフィス事業
  • リモートワークに特化したコワーキングスペースの建設・運営事業
  • 自社所有のマンション空部屋を改修した飲食型のホテル事業

不動産業というと、単に所有した建物や土地を長期で貸して賃料収入を得るだけといった業務を思い描くかもしれません。しかし、単に空間を貸すのではなく、その空間に他とは違う付加価値をつけて、アフターコロナの世界にニーズを開拓できるようなビジネスモデルであれば採択される可能性は高いといえます。

不動産業は申請できないと諦めず、自社の保有する固定資産にどのような付加価値を加えることができ、それを活かすことのできる新たなビジネスモデルを考えてみましょう。

採択されたければ優秀なパートナーを選ぶことが重要

これまでお伝えしてきたように、事業再構築補助金は不動産業を含むあらゆる業種で申請可能です。応募要領をよく読み、自社の考えるビジネスモデルが該当するかどうか検討してみてください。

また、自社のみで行うのは不安という事業者様のために、 補助金申請に関わるさまざまなサポートを提供できるのが、当社「補助金バンク」のようなサイトです。

補助金バンクは、補助金を申請したい方と中小企業診断士などの専門家のマッチングプラットフォームです。貴社の経営状況に応じた補助金申請をおこなう専門家とマッチングすることができますので、申請をお考えの方はお気軽にお問い合わせください。

まとめ

補助金の申請サポートを依頼することで、貴社や貴社の考案する新たなビジネスモデル等について財務や経営の専門家の見解を取り入れることができます。そのため、1社で考えたものよりもバランスの良い事業計画書となります。

せっかく膨大な時間と労力をかけるのであれば、外部の専門家のサポートを受けながら、より蓋然性の高い事業計画書を作成し、当該補助金を貴社の成長を加速させるきっかけにしてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人
野竿 健悟
この記事を書いた人
野竿 健悟
株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士
補助金に精通しており、自ら申請をご支援し、高採択率の実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を活かしたシステム開発の補助金申請の支援実績多数。

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