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補助金で「業態転換」に活用できるものには何がある?

業態転換の補助金

新型コロナウイルスの感染拡大によって、顧客が減少するなど、従前と同じやり方で事業を継続的に安定させることは、どの業種、業界でも多くの企業にとって困難となってしまいました。

そのような中、多くの事業者では、事業の見直しの一環として業態転換に取り組み、安定した経営への再起を図ろうとしています。

コロナ禍における中小企業等への支援として、国や地方公団体が整備しているさまざまな補助金制度がありますが、業態転換に取り組むときに活用できるものはあるのでしょうか?今回は、業態転換に活用できる補助金について詳しく探っていきます。

業態転換とは

業態転換とは、「業態を転換する」ということだということはわかるかもしれませんが、そもそも「業態」とは何なのでしょうか?事業のある一部を指すことばであることは推察できますが、事業に関連してより多く用いられるのは「業種」でしょう。

他にも「業界」「職種」などのことばもよく耳にすることと思います。これらと業態はどのように異なるのでしょうか?

「業種」とは、事業や営業の種類のことで、企業が携わっている分野のことを指します。総務省による「日本標準産業分類」では、業種を20の大分類に分けており、それぞれの大分類の中に中分類、小分類、細分類に整理し、各分類への該当性について説明が加えられています。

業種が主に企業が提供する商品やサービス分類であるのに対して、「業界」とは、企業が担う産業構造、つまりどのように製品を製造し、商品を売り、サービスを提供するかの仕組みや役割に着目した分類を示すことばです。

「職種」とは企業内での役割を意味し、たとえば、営業職やコンサルタント職、開発職など、業務上、個々が担う仕事を指します。

では、これらのことば・概念に対して「業態」とは何を意味するのでしょうか?

業態とは、主に小売業や外食産業において使われ、商品の売り方やサービスの提供方法などの営業形態の分類・区分を意味します。売場面積や取扱商品の種類等によって区分され、経済産業省の商業統計における分類関係資料の一つである「業態分類表」で定義されています。「百貨店」「ホームセンター」「コンビニエンスストア」などと「売る方法」によって分類されており、ECサイト等によるインターネット販売を含む「無店舗販売」なども目の引かれる分類です。

そこで、改めて業態転換とは何を指すのかに着目し直すと、商品の売り方やサービスの提供方法などの営業形態を変えることを意味するものといえます。後述する事業再構築補助金の事業再構築指針においても、「業態転換とは、製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいう」と定義されています。

補助金とは

補助金とは、国または地方公共団体等が、国や地方公共団体等の制作目標(目指す姿)と合致する特定の事務、事業を実施する事業者等に対して、その事務、事業を奨励し促進するために交付する給付金を指します。

補助金はさまざまな分野で募集されており、事業者の取り組みをサポートするために資金の一部が給付されるものです。それぞれの補助金の目的や趣旨を確認し、自分の事業とマッチする補助金を見つけることが大切です。

補助金は、必ずしもすべての経費がもらえるわけではありません。したがって、補助の対象となる事業に必要な経費の一部は自己資金や借入金で賄う必要があります。そのため、活用を検討している補助金については、どんな経費が補助対象となるのか、補助の割合(補助率)、補助上限額等を事前によく確認する必要があります。

また、金融機関等によって実施される融資・貸付とは異なり、補助金で支給されたお金を返済する義務は生じません。

ただし、補助金には審査があり、申請したら必ずもらえる性質のものではありません。補助の有無や金額は「事前の審査」と「事後の検査」によって決まります。

さらに、補助金は原則として後払い(精算払い)で、事業の実施後に実績報告等の必要書類を提出して確定検査等を受けた後で、補助金の請求と支払が行われます。

業態転換するに際して補助金を活用しようとする場合も、補助金一般に共通するこのような性質や仕組みを踏まえた上で、条件の合う種類の補助金を探すようにしましょう。

業態転換に活用できる補助金

事業者等が業態転換しようとする際に活用できる補助金には、地方公共団体等によって実施されているものと、国が実施しているものとがあります。どのようなものが実際にあるのかについて解説しましょう。

国以外の地方公共団体等によるもの

結論からお伝えすると、業態転換に活用できる補助金制度を実施している地方公共団体等は非常に少なく、地元の市区町村はもちろんのこと、都道府県でも該当する制度を探すことはたいへん困難でしょう。ただ、地方公共団体の一部では、独自の業態転換支援策を講じているのが散見されます。

公益財団法人東京都中小企業振興公社の事例

たとえば、東京都により設立された沿革を持つ公益財団法人東京都中小企業振興公社では、補助金ではなく、申請要件を満たせば助成対象と認められる経費の5分の4以内が原則として受給できる助成事業を実施しています。

ただ、「業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業」と銘打っているものの、募集要項によれば、助成内容は「都内中小飲食事業者が、新たにテイクアウト、宅配、移動販売を始め、売上を確保する取組に係る初期経費等の一部」に留まっており、助成限度額も100万円であることから、助成効果に多少の疑問も残ります。

2020年4月23日に申請受付が始まった第1回に始まり、2021年12月末時点では、2022年1月1日に申請受付が始まる第22回まで継続して実施されてきたことからすると、活用しやすい制度として十分に認知され、多くの事業者等に利用されてきたと考えられます。

公益財団法人三重県産業支援センターの事例

また、2021年9月24日をもって受付終了となってしまいましたが、三重県では公益財団法人三重県産業支援センターが公募を行い「第3回三重県新型コロナ克服生産性向上・業態転換支援補助金」の事業が実施されていました。

この補助金における補助対象者は特定の業種に限定されておらず、「三重県内に主たる事務所又は事業所を有する中小企業等、三重県版経営向上計画の認定申請を行うことができる者で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた者」と門戸が広く開かれています。

補助対象事業についても、業態転換として捉え得る取組の範囲を相当に網羅して設定されており、業態転換への活用の観点では大いに使いやすい制度であったといえます。

業態転換環境整備支援事業費補助金の事例

さらに、秋田県では「業態転換環境整備支援事業費補助金」が2021年4月1日から募集を開始した第1回から2021年12月15に採択発表された第3回まで実施され続けています。

事業内容は「店頭販売からECサイトを活用した提供方法への転換など、非対面型・非接触型等の新しい生活様式に対応した販売方法やサービスの提供方法に変更又は追加する取組を支援」するもので、補助率は2分の1以内で補助上限額は100万円です。

これまで3回の募集で計15事業者が採択されており、その多くは飲食業においてテイクアウト販売への転換やキッチンカーによる移動販売への転換を行う業態転換でした。

令和3年度世田谷区業態転換及びビジネス創出支援補助金の事例

こちらもすでに終了していますが、東京都世田谷区では「令和3年度世田谷区業態転換及びビジネス創出支援補助金」が募集されていました。

補助対象事業は「新型コロナウイルス感染症の地域経済への影響の中で経済活動を維持するため、業態転換や経営の多角化による売上げ向上や業務改善による経費削減に、計画的かつ将来の見通しをもって取り組む事業」となっており、業態転換をカバーする内容となっていました。補助率は補助対象経費の3分の2以内で、補助上限額は30万円でした。

中小企業診断士により事業計画書を確認する「面談」が実質的に交付決定へとつながっている独特のシステムのようですが、これまで12回にわたり約230件の募集が行われました。

その他の地方公共団体でも、事業転換に役立てられる補助金制度を実施していた例はあるようです。

国によるもの

多くの地方公共団体のウェブサイトでは、「業態転換」について言及しつつ、国の制度である「事業再構築補助金」の利用を検討するよう勧奨する広報ないしお知らせが掲載されています。では、どのように事業再構築補助金を業態転換に活用できるかに焦点を当てて解説していきましょう。

事業再構築補助金を活用した業態転換

事業再構築補助金に申請するにあたっては、どの事業類型を選択したとしても、補助対象事業の要件の一つとして「事業再構築要件」、すなわち事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当することが求められています。

そして、事業再構築指針では、「事業再構築とは、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換又は事業再編のいずれかを行う計画に基づく中小企業等の事業活動をいう」と定義されており、業態転換も事業再構築の1つとして補助対象事業に該当しています。

業態転換の例

事業再構築補助金を業態転換に活用する例として、「事業再構築補助金の概要」および「事業再構築指針の手引き」から各2例ずつ、計4例をご紹介します。なお、「事業再構築指針の手引き」からの例は、該当要件を満たすかどうかの観点が含まれています。

飲食業の場合

コロナ前には居酒屋を経営していたが、コロナの影響で売り上げが減少してしまった。そこで業態転換し、コロナ後は店舗での営業を廃止するとともに、オンライン専用の弁当の宅配事業を新たに開始した。

小売業の場合

コロナ前には紳士服販売業を営んでいたが、コロナの影響で売り上げが減少してしまった。そこで業態転換し、コロナ後は店舗での営業を縮小すると同時に、紳士服のネット販売事業やレンタル事業に業態を転換した。

サービス業の場合

ヨガ教室を経営していたが、コロナの影響で顧客が激減し、売り上げが低迷していることを受け、サービスの提供方法を変更すべく店舗での営業を縮小し、オンラインサービスを新たに開始した。オンラインサービスの売上高が3年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定している。

製造業の場合

健康器具を製造している製造業者が、コロナの感染リスクを抑えつつ、生産性を向上させることを目的として、AI・IoT技術などのデジタル技術を活用して、製造プロセスの省人化を進める。さらに、削減が見込まれるコストを投じてより付加価値の高い健康器具を製造し、新たな製造方法による売上高が、5年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定している。

補助の内容

「通常枠」「大規模賃金引上げ枠」等の申請類型によって補助金額、補助率等は異なります。補助対象経費はおおむね共通しており、次の経費が対象となります。

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築日(リース料を含む)
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費
  • 海外旅費(「卒業枠」および「グローバルV字回復枠」のみ)

補助の要件

業態転換に該当するためには、次の要件を満たす必要があります。

  • 製造方法等の新規性要件
    • 過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
    • 新たな製造方法等に用いる主要な設備を変更すること
    • 定量的に性能または効能が異なること
  • 製品の新規性要件(製造業の分野で事業再構築を行う場合に限る)
    • 過去に製造した実績がないこと
    • 製造に用いる主要な設備を変更すること
    • 定量的に性能または効能が異なること
  • 商品等の新規性要件または設備撤去等要件(製造業以外の分野で事業再構築を行い場合に限る)
    • 過去に提供した実績がないこと
    • 提供に用いる主要な設備を変更すること
    • 定量的に性能または効能が異なること
    • 既存設備の撤去や既存店舗の縮小等を伴うものであること
  • 売上高10%要件
    • 3〜5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の製造方法等による売上高が総売上高の10%以上となる計画を策定すること

申請の手続

事業再構築補助金に申請するにあたっての要件には、前述した業態転換への該当性の他にも多くあり、公募要項に詳細に説明されています。

事業再構築補助金の申請にあたっては、経済産業省が示す事業再構築指針に沿って、A4サイズ15枚以内の事業計画書を認定経営革新等支援機関と一緒に策定します(補助金額が1,500万円以下であれば、事業計画書の枚数は10枚以内になります)。事業の実現化に向けた入念な準備と計画が求められますので、事業計画書は認定経営革新支援機関と共同してしっかり時間をかけて作成するようにしましょう。

事業計画書の他にも、必要な添付書類も準備する必要があります。

事業再構築補助金は、インターネットを利用した電子申請システムでのみ申請が可能です。この電子システムにログインするためには「GビズIDプライムアカウント」が必要なので、事業再構築補助金の電子申請に間に合うよう、十分な余裕をもって登録申請を済ませておきましょう。

まとめ

業態転換に活用できる補助金について解説しました。業態を転換することは企業にとって決して小さくない挑戦であるからこそ、その方向性や、必要となる経費調達など経営上の意思決定はとても難しいことといえるでしょう。

確かに、自社のことは経営者自身が最も実感しており、経営者や従業員が書く事業計画書には熱意がこもっており、その意味で「補助金申請の事業計画書は事業者自身が書くのが最も良い」という意見もあります。ただ、補助金の採択を得るためには、よくブラッシュアップされた品質の高い事業計画や収支計画を用意し、厳しい審査を経る必要があります。

このように事業内容の練り上げられた事業計画書を書き上げるには、専門家に内容を精査してもらうと良いでしょう。自社だけでは気付かなかった視点が加わると同時に、補助金の採択にも大きく近づくことができるでしょう。

補助金を申請したい人と多数の専門家を抱えたマッチングプラットフォームである「補助金バンク」の活用を検討してみてください。当社「補助金バンク」には、補助金申請の経験が豊富なプロが多数登録しており、事業再構築補助金の申請をお手伝いしております。申請をお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人
野竿 健悟
この記事を書いた人
野竿 健悟
株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士
補助金に精通しており、自ら申請をご支援し、高採択率の実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を活かしたシステム開発の補助金申請の支援実績多数。

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