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補助金の申請代行は「行政書士」に依頼すれば良い?報酬の相場は?

行政書士の補助金

補助金を申請する際、自分ですべてを処理するという場合は別として、手続の支援を誰に依頼したら良いのでしょうか?

「補助金 申請」などとインターネットで検索すると、支援に関係するページが数え切れないほど多くヒットします。また、それと同時に、その支援の提供者がさまざまな業種に横断的に存在していることにも気づかされます。そして、行政書士が補助金申請に関係する手続代行を売りとしているページも少なからず散見されます。

補助金を申請する際、手続の支援は行政書士に依頼するのがベストなのでしょうか?今回は、それらの業種のうち行政書士を取り上げつつ、補助金申請について、そして受けられる支援について理解を深めていきましょう。

補助金とは

補助金とは、国や地方公共団体が、特定の事業・産業や研究の育成・促進など国や地方公共団体の行政上の政策目標(目指す姿)を達成するために、公共団体、企業、個人などに給付する金銭を指します。

補助金は、必ずしも補助の対象となる事業に必要な経費すべてが支給されるわけではありません。目的や趣旨が異なる多くのさまざまな種類の補助金がありますので、補助対象となる経費、補助の割合、上限金額などを確認する必要があります。

また、補助金は金融機関等による融資などとは異なり返済する必要はありませんが、補助金を受給するためには審査が行われ、「申請したら必ずもらえる」というものではありません。

補助金が支給されるのか、支給されるとして金額がいくらになるのかは、「事前の審査」と「事後の検査」によって決まります。原則として補助金は後払い(精算払い)なので、補助事業を実施した後に必要書類を提出して検査を受けて初めて受け取ることができる仕組みになっています。

普段からあまり意識することはありませんが、補助金の申請は「行政手続」の一つです。

行政手続とは、一般的に国や地方公共団体等の行政機関が、法令上定められた活動を行うときの事前手続のことをいいます。

助成金との違い

助成金は、補助金と同じように国や地方公共団体等から支給される金銭を指します。当然、その財源は公的な資金から支出されるものですから、誰でも受け取れるというものではなく申請や審査が必要になり、場合によっては一定の資格が必要なこともあります。

しかし、特に「助成金」と呼ばれているものは、要件さえ満たしていれば受給できる公算が高いものが多くあります。たとえば、厚生労働省が所管している「雇用調整助成金」については、要件を満たしており、所定の様式にしたがって申請を行えば、要件を満たした事業者には原則として助成金が支給されます。

もっとも、助成金にも相当な数の種類があり、大きく分類すると、主に厚生労働省が所管する雇用関係の助成金と、主に経済産業省が所管する研究開発型の助成金があります。

そして、助成金の申請もまた行政手続の一つです。しかし、助成金申請については、厚生労働省が所管するものを社会保険労務士に依頼するケースが非常に多く見られます。

これは、社会保険労務士法2条1号から2号で定められた社会保険労務士の独占業務の範囲内の手続であるためです。

補助金申請と行政書士の関係

補助金を申請しようとする場合、行政書士はその手続とどのような関係があるのでしょうか?ここでは、行政書士の役割や補助金申請の性質について解説しましょう。

行政書士の役割

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類を作成することなどを業とする職業です(行政書士法1条の2)。この規定は、行政書士の独占業務を定めたものと解されており、行政書士でない者は原則としてこれらの業務を業として行うことが禁じられており、罰則規定もあります。

その1つに、さまざまな行政機関に対して、許可、認可、確認、認証等の行為を求める申請書類や届出書を作成する業務があります。

一口に「補助金申請」と言ってしまえば単純ですが、厳密に表現すると「補助金を申請者に給付するという行政機関の行為を求める申請書類の作成」ということになります。

補助金申請の際の支援は、申請者に成り代わって申請書類を作成し、さらには申請手続を行うことに重要性があるわけではありません。むしろ、必要とされるのは、それぞれの申請者が抱える経営課題や始めようとする新事業・補助事業に対する助言や実務的な支援です。

この観点からすると、行政書士による支援は、形式上のものにとどまる傾向があり、たとえば中小企業診断士のような実践的な支援とは性質を異にするものであるといえます。

補助金申請以外の業務

行政書士は、前述の独占業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て4つの事務を業とすることができます。

補助金申請と最も関係がある業務は、行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずることです。表現上は大変地味ですが、中小企業等の支援、補助金申請への中長期的支援という観点からは、非常に多くのことを行うことができます。

たとえば、中小企業等経営強化法14条に基づく経営革新計画は、企業が新事業に取り組み、経営の相当程度の向上を図ることを目的に策定する中期的計画書で、現在における課題や目標を明確化できるなどの効果が期待できます。

そして、国や都道府県に計画が承認されると、政府系金融機関による低金利の融資や、補助金申請における優遇措置などのさまざまな政府支援策の対象となります。

行政書士は、このような中小企業支援政策に役立つ経営革新計画の策定支援も行っています。そうした中長期視点も踏まえた補助金申請支援を行政書士に依頼するのも一つの方法でしょう。

ただし、ここまで紹介した補助金申請に関係した業務は、直接の代理を行う場合を除けば、他の法令に触れない限り、誰でも手掛けることのできる業務です。

行政書士の補助金申請の代行の報酬相場

当然ながら、各事務所によって補助金申請に関する報酬体系は異なります。ただ、おおむね共通しているのは、申請までの手続を支援する業務に対する「着手金」と、補助金が採択された際の「成功報酬」とに分けた形で提示されていることです。

調べられた限りでは、「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」など比較的大規模な補助金の申請に関する報酬相場は、おおよそ次の通りです。

  • 着手金:5万円〜15万円
  • 成功報酬:補助金の10%〜20%

※ 比較的小規模の補助金事業に関する報酬についてはまた別の相場があります。

補助金申請で支援者から受けられるサポート例

特定の士業の独占業務を無資格で行うことは違法です。しかし、その範囲を避けながら、補助金の申請を行おうとしている事業者等に、支援や助言が必要となる各フェーズに応じたサポート業務を提供することは当然に合法です。

そして、行政書士以外にも、中小企業診断士その他知見を有する専門家に対して積極的に協力と支援を求めるのは非常に有効な方法です。では、専門的支援者から受けられるサポートについて紹介しましょう。

事業計画策定のコンサルティング

補助金の申請に必要となる事業計画書を実際に書き始める前に、どんな補助事業を行うのが自社にとって正しい経営判断なのかを見定める必要があります。自社の現状把握、課題や解決策、そして可能性を客観的に理解することは非常に大切です。さもなければ、なんとなくひらめいたリスキーなアイデアで走り始めてしまうかもしれません。

中小企業診断士や経営コンサルタント、とりわけ認定経営革新等支援機関は、専門家として、さまざまな経営課題を抱える中小企業に寄り添い、経営への全面的な支援を提供することが期待できるでしょう。現状を改善または向上させる有効な戦略を見出し、具体的な事業計画の策定へとつなげていくのです。

事業計画書作成支援

補助金申請において、採択と不採択とに分かれる最も大きな要素の一つが、事業計画書の良し悪しであることは明白です。それぞれの補助金の公募要領等の細かな指示に従いながら、審査項目に対する具体的な考察を提供しつつ、事業計画書の読み手である審査官に対して強く訴求していかねばなりません。

事業計画書作成に対する支援には多くの専門家たちが携わっています。丁寧かつ緻密なヒアリングに基づき、採択率を高めるための事業計画書づくりの支援が行われます。そのような中で、それまで気づけていなかった自社の強みや課題を発見し、事業計画自体をブラッシュアップし、事業計画書の質を高めることも可能です。

支援を依頼する専門家を選ぶに当たっては、もちろん費用面での検討も必要ですが、それまでに補助金採択の実績、とりわけ採択率を具体的に提示しているかどうか、担当者のスピード感や対応の様子はどうか、また採択後のサポートまで考慮されているかといった視点を持つ必要があると考えられます。

関係資料作成支援

補助金の申請手続では、事業計画書だけを提出すれば良いというケースは極めてまれです。ごく一部の小規模な補助金申請手続においては、現行事業の説明や直面している課題を指摘しつつ、これを解決・改善するために行う補助事業の内容と必要経費を記載した数ページの書類のみを提出すれば良いものもあります。

しかし、「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」といった、昨今特に注目されているものに代表される多くの補助金申請手続においては、事業計画書の他にも非常に多くの資料の添付が求められます。

決算書(貸借対照表、損益計算書等)、確定申告書、履歴事項全部証明書、開業届などの公的な書類の他、補助金の内容や加点事項に応じて特別に書類を作成または取得して提出する必要があり、これらの一部でも欠けていると、申請の要件を満たしていないものとして扱われ、事業計画書の実質的な審査にたどり着けない結果に終わってしまう可能性があります。

そこで、多くの補助金申請支援サービスでは、事業計画書だけでなく、その申請の添付資料として提出すべき資料や書類の準備に関するサポートも行っています。支援者としても、そこに不足が生じてしまえば申請そのものができなくなってしまいますので、カバーする必要性が非常に高い部分です。

その支援を活用し、書類の揃え方や作成の方法を積極的に尋ね、準備の進捗状況を共有しながら申請に備えましょう。

電子申請操作支援

前提として、代理権を付与された然るべき者以外が、電子申請そのものを代行するのは違法です。したがって、電子申請に必要となる「GビズIDプライムアカウント」に係る情報を丸ごと渡して電子申請を全部済ませることは、申請手続の支援に当たっている中小企業診断士その他のコンサルタント事業者に依頼できません。

しかし、電子申請システムを利用する中で、操作の仕方がわからなくなるのはよくあることです。そんなときでも、ほとんどの補助金事務局が提供している資料に基づいてアドバイスを提供することが可能です。

外部の支援を受ける場合には悪質な業者等に注意

申請者が十分に支援の内容と報酬について理解した上で、申請書、事業計画書その他の作成支援者を活用することは禁止および制限されておらず、むしろ有効なものとして積極的に活用する価値のあることです。

しかし、それでも申請者は事業計画の作成および実行に責任を持つ立場にあることから、外部(認定経営革新等支援機関以外)の支援を受ける場合には、悪質業者である可能性にも注意して支援者を選択する必要があります。「ものづくり補助金」および「事業再構築補助金」の公募要領には、注意すべきケースとして「不適切な行為の例」が次のように具体的に挙げられています。

  • 作業等にかかる費用、提供するサービスの内容等と乖離した高額な成功報酬等を申請者に請求する。
  • 補助金申請代行を主たるサービスとして営業活動等を行う。
  • 金額や条件が不透明な契約を締結する。
  • 中小企業等に対して強引な働きかけを行う。
  • 申請書に虚偽の内容の記載を教唆する、または、作成支援者名を記載しないように求める。

決してこのような業者に支援を依頼しないよう注意しましょう。補助金を活用して実現しようとしていた素晴らしい新事業も台無しになってしまいます。

まとめ

補助金の申請を行政書士に依頼するべきなのか、補助金申請が持っているそもそもの性質に触れながら、申請者として受けられるさまざまなサポートについて解説しました。

補助金申請の支援は、多くの場合は普段から中小企業の経営と密接な関わりを持って活動しているわけではない行政書士に依頼するよりも、中小企業診断士等のように日常的に経営者と向き合っている職種の支援者に依頼するのが望ましいケースが多いといえます。ただし、従来型の行政手続だけでなく、中小企業に対する幅広い支援業務に軸足を置いて経営相談に乗っており、補助金申請の実績の多い行政書士も多くいるので、話を聞いて見極めることが重要です。

補助金を活用する大切な新事業ですから、容易に失敗するわけにはいきません。そのためには、専門家のサポートを受けながら事業計画を策定し、事業計画書を作成して申請に臨むのが有効な手法といえます。

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この記事を書いた人
野竿 健悟
この記事を書いた人
野竿 健悟
株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士
補助金に精通しており、自ら申請をご支援し、高採択率の実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を活かしたシステム開発の補助金申請の支援実績多数。

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