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補助金は、自分で申請をすることもできますが、専門家へ申請サポートを依頼することも可能です。では、補助金の申請サポートを専門家へ依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は、補助金の申請サポートを専門家へ依頼するメリットや依頼を検討する際の注意点などについて詳しく解説します。
補助金とは
補助金は、国や地方公共団体などから返済不要な資金を得られる制度です。
その年度の予算に応じて設定されるものであるため、その年度の政策を色濃く反映したものであるといえます。そのため、今年存在する補助金が来年も存在するとは限りません。
補助金は、申請をしたからといって必ず受け取れるものではなく、要件を満たした応募のなかから厳選され、採択された場合にのみ補助金交付への切符を得られます。補助金をうまく活用することで、事業の成長スピードを一気に加速させることへとつながるでしょう。
補助金の申請サポートは誰に依頼するべき?
補助金の申請サポートは、さまざまな専門家やさまざまな機関が行っています。補助金の申請サポートを依頼する際には、それぞれの特徴を知ったうえで検討すると良いでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルタント唯一の国家資格です。
補助金の申請で必要となることの多い事業計画の立案を得意としている場合が多く、単に書類を作成するのみならず、事業内容に踏み込んだ経営全般へのアドバイスを受けやすいといえるでしょう。
行政書士
行政書士は、官公庁に提出をする書類作成を独占業務とする国家資格です。補助金の申請も官公庁に提出する書類の一つであると考えられ、補助金申請サポートは行政書士業務の一つとされています。
ただし、行政書士業務は非常に幅が広いため、補助金業務を一切行っていない行政書士も少なくありません。
顧問税理士
顧問税理士は、経営者にとってもっとも身近な専門家の一人でしょう。言わずと知れた、税務の専門家です。
ただし、税理士が専門とする税務の世界と、補助金申請に必要となる事業計画など財務の視点は、似て非なるものです。税理士の中には補助金の申請に詳しい人も存在する一方で、補助金は門外漢であるという場合も少なくありません。
そのため、依頼する際には、その税理士が補助金に詳しいかどうかを確認したうえで依頼すべきでしょう。
商工会や商工会議所
地域の商工会や商工会議所では、補助金についての相談に無料で乗っている場合が少なくありません。ただし、あくまでも相談窓口となっているのみであり、補助金の申請書類作成や申請代行までは行わないことが一般的です。
なお、これらを行ってくれる専門家の紹介を受けることはできるでしょう。
コンサルタント
補助金の申請サポートは、特に資格を持たないコンサルタントが行っている場合もあります。きちんと業務を行ってくれる信頼できるコンサルタントも数多く存在する一方で、悪質な業者が混じっている可能性もあるため注意してください。
補助金の申請サポートを依頼する主なメリット
補助金の申請サポートを専門家へ依頼することには、多くのメリットが存在します。主なメリットは次のとおりです。
手間や時間が削減できて本業に集中できる
補助金を自社のみで申請しようとすれば、多くの手間や時間がかかってしまうことでしょう。特に、事業再構築補助金やものづくり補助金などといった比較的大型の補助金では、公募要領のボリュームも大きく、これを読み込んで内容を理解するだけでもひと苦労です。
また、補助金の申請には事業計画書など経営の根幹にかかわる資料の作成が必要となることが多いため、専門の部署があるなどよほど大きな企業でない限りは、経営者など多忙な立場にある人が直接申請書類を作成せざるを得ないケースが多いでしょう。
一方、専門家へ申請サポートを依頼した場合には、自社でかけるべき手間や時間を大きく削減することへつながります。その分、経営者は本業へ集中することが可能となります。
補助金の最新情報を教えてもらえる
補助金には非常に多くの種類があるほか、企業向けの補助金がテレビコマーシャルなどで大々的に告知されることはほとんどありません。そのため、自社で申請をする場合には、原則として自ら情報をチェックしにいく必要があります。
しかし、本業で忙しい企業が、補助金の情報にまで常に目を配ることは難しいでしょう。その結果、気づいたときには申請を検討していた補助金の公募期間がすでに過ぎてしまっているなどというケースも少なくありません。
一方、補助金の申請サポートを専門としている専門家は、補助金に関する最新情報を常にチェックしています。そのため、公募開始の情報や前回の公募から変更となった点、最新の採択結果など、最新情報を教えてもらいやすいでしょう。
補助金が採択される可能性が高くなる
専門家が申請に関わったからといって、そのことが直接補助金の加点対象となるわけではありません。しかし、専門家へ申請サポートを依頼した方が、補助金が採択される可能性が高くなるといえるでしょう。
なぜなら、専門家はその補助金の趣旨や目的、審査ポイント、加点項目などを熟知したうえで申請書類を作成するためです。審査員が知りたいポイントに的を絞ったり、審査でプラスとなるアピールポイントを漏れなくアピールする申請書類を作成したりすることで、結果的に採択へとつながりやすくなります。
補助金申請後の注意点を教えてもらえる
補助金は、採択されることがゴールではありません。
ほとんどの補助金において補助金は後払いであり、採択後に事業の実施報告などが必要となります。この実施報告に問題がないと判断されて、ようやく補助金が受け取れるわけです。
自社のみで補助金を申請した場合には、採択後のことまで目を配る余裕がないことも少なくないでしょう。結果的に実施報告に手間取ってしまったり、実施報告に必要な資料が集められずせっかく採択された補助金の受給ができなかったりするケースも存在します。
専門家へ補助金の申請サポートを依頼することで、実施報告など申請後の注意点についてのアドバイスを受けることが可能となります。
事業計画についてのアドバイスが受けられる
多くの補助金で、申請にあたって事業計画書の提出が求められます。この事業計画書をいかに収益性がありかつ説得力のある内容で作成できるのかが、補助採択への大きなポイントの一つであるといえるでしょう。
そのため、専門家へ補助金の申請サポートを依頼した場合には、専門家とともにこの事業計画書を多方面から検討し、練り込むこととなります。
この事業計画書は補助金の申請のためだけに作成をするものではなく、きちんと作り込めば後の経営の羅針盤となり得るものです。補助金申請にあたって事業計画書を練り込んでおくことで、後の事業成功へつながりやすくなるといえるでしょう。
つなぎ融資先の金融機関の紹介が受けられる場合がある
後ほど改めて解説しますが、補助金は原則として事業実施後の後払いです。つまり、申請をした事業を実施する段階では、まだ補助金は手元にありません。
そのため、事業を実施するために必要な資金は、一時的に金融機関からの借り入れや自己資金などでまかなう必要があります。このような際に、一時的に受ける融資のことを「つなぎ融資」といいます。
しかし、これまで金融機関との付き合いの浅かった企業にとっては、つなぎ融資といってもどこの金融機関へ申し込めば良いか悩んでしまうことでしょう。このような際、補助金のサポートを行った専門家からつなぎ融資先の金融機関を消化してもらえる場合があります。
補助金の申請サポートを行っている専門家は資金調達全体に詳しいことも多く、金融機関とのつながりがある場合が少なくないためです。
特に専門家のサポートを受けるべき補助金
補助金の中には、比較的難易度の低いものと、難易度が高いとされるものが存在します。次の補助金は比較的難易度が高いうえ、採択された際の補助金額も大きなものですので、専門家のサポートを受けて申請をした方が良いでしょう。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、コロナ禍で誕生した比較的新しい補助金です。コロナ禍で売上が減少した中小企業者等が、思い切った事業の再構築をするにあたって必要となる経費の補助を受けることができます。
補助金額の上限額は従業員数によって異なりますが、従業員数20人以下であっても通常枠で最大2,000万円(従業員数101人以上なら最大8,000万円)とされており、非常に大型の補助金であるといえるでしょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。「ものづくり補助金」との略称から製造業などのみが対象であると思われてしまいがちですが、サービス業なども広く対象とされています。
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
補助金の上限額は補助金の上限額は従業員数によって異なりますが、従業員数5人以下であっても一般型(通常枠)で最大750万円(従業員数21人以上なら最大1,250万円)とされています。事業再構築補助金ほどではないものの、こちらも大型の補助金であるといえるでしょう。
補助金申請サポートを受けた場合の主な流れ
専門家へ補助金の申請サポートを受けた場合の主な流れは、次のとおりです。
補助金申請サポートを受ける専門家を選定する
はじめに、補助金の申請サポートを依頼する専門家を選定しましょう。専門家を選ぶ際には、過去の実績などを聞くなどして、補助金に詳しい専門家を見極めたうえで依頼することをおすすめします。
申請内容について打ち合わせを行う
専門家へ申請サポートを依頼したら、申請内容について専門家と打ち合わせを重ねます。
きちんとした専門家は、依頼者である事業者が行おうとしている事業の内容をしっかりとヒアリングしたうえで申請書類を作成します。そのため、複数回の打ち合わせを重ねながら、申請内容を練り込んでいくことが多いでしょう。
専門家にて申請書類を作成する
打ち合わせの内容を踏まえて、専門家側で申請書類を作成します。申請書類は、依頼者である事業者と何度か確認を重ねたうえでようやく完成となります。
補助金を申請する
申請書類が完成したら、補助金を申請しましょう。専門家側で申請まで行ってくれるケースと、申請自体は事業者自身で行うケースとがあります。
採択か不採択かが決定される
補助金の公募期間が満了したら、採択か不採択かが決定されます。補助金事務局から連絡が入ることが多いため、結果の連絡が入る方法を専門家へあらかじめ確認のうえ、通知を見落とさないよう注意しておきましょう。
補助対象事業を実施する
採択がされても、すぐに補助金が振り込まれるわけではありません。まずは、申請をした補助事業を実施する必要があります。資金が不足する場合には、あらかじめつなぎ融資を検討し、金融機関へ相談しておきましょう。
完了報告を行う
補助対象事業を実施したら、補助金事務局の指示に従って完了報告を行います。
専門家へ補助金の申請サポートを依頼した場合には、完了報告まで代行してもらえるのか、またその場合の報酬はどの程度かなどについて、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
補助金が交付される
完了報告に問題がないと判断されれば、その後補助金が交付されます。
補助金の申請サポートを受ける場合の注意点
最後に、専門家へ補助金の申請サポートを受ける場合に注意したいポイントを紹介します。
事業立案からすべて丸投げはできないことを知っておく
専門家へ補助金の申請サポートを依頼しても、事業立案の段階からすべてを丸投げできるわけではありません。なぜなら、補助金の採択後にその事業を実際に行うのは専門家ではなく、事業者自身であるためです。
採択のみを目指して机上の空論のみで検討をした事業では熱が入らないばかりか、長期的な成長を見込むことも難しいでしょう。
補助金は本来、「補助金を受け取るために何をしようか」と考えるのではなく、何か行いたい事業があるものの資金が不足する場合や、行おうとする事業の成長速度を早めたい場合などに利用すべきものです。この本来の目的を誤ることのないよう注意しましょう。
補助金サポートする専門家の専門性をよく確認する
補助金の申請サポートを依頼する場合には、その専門家の専門性をよく確認しておきましょう。特定の資格を持っているからといって、すべての資格者が補助金に詳しいわけではありません。
できれば、過去にサポートした補助金の種類や依頼者の業種などを確認しておくことをおすすめします。
サポート内容をあらかじめよく確認する
サポートを依頼する前に、その専門家がどこまでの内容をサポートしてくれるのかをよく確認しておきましょう。特に、採択後の事業実施報告のサポートをしてくれるかどうかは、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
補助金サポートをうたう悪質業者に注意する
補助金のサポートをうたう業者の中には、悪質な業者が混じっている場合があります。
悪質な業者へ依頼してしまうと、はじめに口頭で聞いていた内容とは異なる法外な報酬を請求される可能性がある他、コピペなどの文章で申請書類を作成されてしまい採択が遠のくリスクなどがあるでしょう。
また、場合によっては虚偽申請を持ちかけられる可能性もあります。補助金の虚偽申請や虚偽報告は、重大な違法行為です。「みんなそのくらいやっているよ」などと適当なことをいう業者がいたとしても、絶対に口車に乗ることのないよう注意してください。万が一逮捕されたとしても、業者が守ってくれることはありません。
まとめ
補助金は自社のみで申請することが禁止されているわけではありません。しかし、自社のみで申請を完了させようとすれば、非常に手間と時間を要します。また、適切な専門家のサポートを受けることで、補助金が採択される可能性を高めることもできるでしょう。
そのため、補助金を申請する際には、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
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