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【2022】歯医者・歯科医院が使える補助金・助成金は?対象・要件・手続き・採択事例

歯医者の補助金

コンビニよりも数が多いと言われる歯医者。今でも十分多いのに、歯医者はこの先さらに現在の7万件(2020年)から8万件以上(2030年)に増加すると予測されています。

激しい競争を生き残るには、他院に先駆けて最先端の治療設備を導入するなど、投資が欠かせません。今回は、そんな歯医者の設備投資等を支援してくれる補助金・助成金を紹介します。

補助金とは

国や地方公共団体からもらえるお金として、補助金や助成金があります。違いを意識している方は少ないですが、厳密にいえば補助金と助成金は異なります。具体的には、次のような特徴があります。

補助金の特徴

補助金は、経済産業省などが販路開拓や新製品開発、生産性向上などのため実施しています。代表的なものには、

  • ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)
  • IT導入補助金
  • 事業再構築補助金

などがあります。いずれも採択審査があり、採択率は3割~6割程度と申請しても必ずもらえるとは限りません。

助成金と補助金の違い

助成金は、主に厚生労働省が雇用や人材教育等のために実施しています。代表的なものには、

  • 雇用調整助成金
  • キャリアアップ助成金

などがあります。補助金と異なり、助成金は要件を満たせばほぼもらえます。要件とは、

  • 雇用調整助成金なら休業手当を社員に支払ったこと
  • キャリアアップ助成金なら社員の処遇改善をしたこと

など、すでに雇用や人材教育等で何らかの経費をかけていることです。支払った費用に対する補填という意味合いが強く、単純にお金がもらえる給付金とは異なります。

また、厚生労働省以外にも地方自治体や外郭団体なども助成金を交付しています。こちらは採択審査があっても助成金を呼称していることもあり、使い分けはあまり明確にはされていないようです。

歯医者が使える補助金①:ものづくり補助金

では、歯医者が使える補助金を紹介していきましょう。

まず、代表的なのが「ものづくり補助金」です。生産性向上を目的に中小企業の設備投資を支援する補助金ですが、歯医者でも活用できます。

対象者

対象となるのは、個人開業医です。医療法人、社会福祉法人は対象になりません。

補助金額

2021年度までは一律1,000万円が補助金の上限額でしたが、2022年度からは常勤従業員数によって上限額が異なるようになります。

また、ものづくり補助金はかかった投資経費に対して補助されるものであり、その割合(補助率)も従業員数によって異なります。

たとえば、歯科医1名、歯科衛生士3名の歯科医院であれば、5名以下になるため、受け取れる補助金の上限額は750万円、補助率は2/3です。900万円の設備投資をすれば、2/3の600万円の補助金を受け取ることができます。

応募枠 従業員人数 補助金上限額 補助率
通常枠 5人以下 750万円 原則1/2だが5名以下の小規模事業者は2/3
6人~20人 1,000万円
21人以上 1,250万円

要件

ものづくり補助金には給与総額を増やすなど要件があります。具体的には、次の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定することです。

  • 事業者全体の付加価値額(※)を年率平均3%以上増加すること
  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること
  • 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

※付加価値とは、営業利益と人件費、減価償却費の合計額です。

3~5年後に給与支給総額と事業場内最低賃金の要件を満たせなければ、補助金の返還が求められます。補助金を受け取ったからには、利益を経営者だけでなくきちんとスタッフにも還元していくことが求められます。

対象経費

革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等の投資経費が対象です。歯医者ではインプラント治療のためのCAD/CAMシステムや、歯科医用CTなどの設備導入費用等が対象となります。

申請手続き

申請は「Jグランツ」という補助金申請システムからの電子申請のみとなります。申請にはgBizIDプライムアカウントが必要で、アカウント取得には3週間以上かかります。

gBizIDプライムアカウントをまだお持ちでない場合は、まずはアカウントを取得しましょう。gBizIDプライムアカウントの取得方法等詳細は、こちらを参照してください。

なお、2022年度の公募スケジュールはまだ発表されていませんが、ものづくり補助金は年に複数回公募されます。ものづくり補助金総合サイトでスケジュールをご確認ください。

採択例

では、歯医者のものづくり補助金の採択例を紹介しましょう。

3D CAD/CAMシステム導入

従来外注に頼っていたインプラント手術用のひな形作成やジルコニア詰め物作成を、3D CAD/CAMシステム導入により院内で内製化できるようになった。詰め物は即日での提供が可能、インプラント治療も来院回数を減らすことができ、患者の負担軽減ができた。

口腔内スキャナーの導入

従来歯形はゴム状の詰め物を噛んで製作していたが、日数がかかるうえ小さな子どもは嫌がる場合が多い。そこで、口腔スキャナーを導入し、簡単に歯形データを取得できるようになった。歯形制作に要する日数を、7日から1日に短縮することができた。

CT導入

従来はレントゲン撮影で歯石の位置を確認し、手探りで除去していた。しかし、2次元画像では正確な歯石の位置がわかりにくく、取り残してしまうこともあった。

そこで、CT導入により、3次元画像で歯石の正確な位置を把握できるようになった。歯周病治療を格段に進化させた。

歯医者が使える補助金②:IT導入補助金

歯医者が使える補助金に「IT導入補助金」があります。

IT導入補助金は、その名とおりITツール、すなわちソフトウェアの導入などで補助してもらえます。電子カルテや予約管理システムなど、歯医者の業務を効率化できるITツールを低廉な負担で導入することができます。

対象者

IT導入補助金の対象はものづくり補助金よりも広く、個人開業医だけでなく医療法人、社会福祉法人も対象になります。

補助金額

補助金額は最高350万円です。対象となる経費はソフトウェアの導入費用が中心ですが、2022年度からPCなどのハード購入費用も対象になる予定です。

品目 補助金額上限 補助率
ITツール ~50万円 3/4
50万円~350万円 2/3
PC、タブレット等 10万円 1/2
レジ等 20万円 1/2

申請手続き

IT導入補助金は、ソフトウェアのベンダーであるIT導入支援事業者と二人三脚で申請する仕組みです。

通常の補助金では、自社で申請書作成などすべての手続きをしなければなりません。しかし、IT導入補助金は、IT導入支援事業者の支援を得ながら進められるため、取り組みやすいという特徴があります。

申請手続きは、ものづくり補助金と同様電子申請のみです。

2022年度のスケジュールはまだ公表されていませんが、2021年度のIT導入補助金は4月から公募が開始し、1年にわたって合計5回の募集が実施されました。2022年度についても同様のスケジュールになると見込まれます。

医療事業者のIT導入補助金採択例

では、歯医者のIT導入補助金の採択例を紹介しましょう。

電子カルテおよび予約管理ツールを導入

電子カルテツールを導入。患者情報やカルテを電子化することで、カルテの検索がスムーズになった。予約もオンラインで受け付けることで、受付の手間が削減できた。

電子カルテツールを導入

各種検査機器と電子カルテの情報を連携できるツールを導入。レントゲンをはじめとするさまざまな検査機器を電子カルテとシステム連携。

保険証の番号によって患者情報を一元管理し、検査結果とカルテを一つひとつ付き合わせながらセットしていくスタッフの負担が軽減できた。

歯医者が使える助成金

続いては、歯医者が活用できる助成金を紹介していきます。

助成金は採択審査のある補助金と違い、要件を満たせばもらうことができます。雇用や人材教育、職場環境の整備など人に関するものが中心になりますが、こちらでは歯医者で比較的利用しやすい2つの助成金を紹介します。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や賃上げなどの取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。パートスタッフとして雇用したスタッフを、のちに正職員に転換する等の際に申請することができます。

正社員化コース 要件 正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6ヶ月と転換等後の6ヶ月の賃金を比較して3%以上増額していること
助成金額 有期雇用→正規雇用 57万円(一人当たり)
有期雇用 → 無期雇用

または

無期雇用 → 正規雇用

28万5,000円(一人当たり)
賃金規定等改定コース 要件 すべてまたは一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給した場合
助成金額 すべての有期雇用労働者等の賃金規定等を増額改定した場合 ■対象労働者1人~3人

1事業所当たり95,000円

■対象労働者4人~6人

1事業所当たり19万円

■対象労働者7人~10人

1事業所当たり28万5,000円

一部の有期雇用労働者等の賃金規定等を増額改定した場合 ■対象労働者1人~3人

1事業所当たり47,500円

■対象労働者4人~6人

1事業所当たり 95,000円

■対象労働者7人~10人

1事業所当たり14万2,500円

短時間労働者労働時間延長コース 要件 短時間労働者の週所定労働時間を延長するとともに、処遇の改善を図り、新たに社会保険の被保険者とした場合に助成
助成金額 5時間以上週所定労働時間を延長し、新たに社会保険に加入させた場合 22万5,000円(一人当たり)

キャリアアップ助成金は、上記以外のコースや上乗せ措置等があります。詳細については、厚生労働省ホームページを参照してください。

両立支援等助成金

両立支援等助成金は、育児や介護との両立を支援する助成金です。技術と経験を持つスタッフが、育児や介護で離職してしまうのは痛手ですね。両立支援等助成金を活用すれば、代替要員のコストなどを補填してもらえます。

育児休業等支援コース 要件 「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに沿って労働者の連続3ヶ月以上の育児休業の取得・職場復帰に取り組み、育児休業を取得した労働者がいること
助成金額 育児休業取得時 28万5,000円(一人当たり)
職場復帰時 28万5,000円(一人当たり)
代替要員確保時 47万5,000円(一人当たり)
職場支援加算(代替要員を確保しない場合) 19万円
介護離職防止支援コース 要件 「介護支援プラン」を作成し、プランに沿って労働者の5日以上の介護休業の取得・復帰に取り組み、介護休業を取得した労働者がいること
助成金額 介護休業取得時 28万5,000円(一人当たり)
職場復帰時 28万5,000円(一人当たり)

その他、両立支援等助成金の詳細については、厚生労働省ホームページを参照してください。

まとめ

歯医者が使える補助金と助成金を紹介しました。

最新治療に対応した設備投資や優秀なスタッフの確保、どちらも激化する競争を生き残るには欠かせません。補助金・助成金をぜひ活用して整備してください。

とはいえ、補助金・助成金は簡単にもらえるものではありません。

補助金は採択審査があり、採択率は3割~6割と申請しても半数は不採択となってしまうのが現状です。助成金では、採択審査はないものの諸規定など揃える書類が非常に多く、膨大な手間がかかります。

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