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【2022】事業再構築補助金は「建設業」も活用できる?取組例と採択のポイント

事業再構築補助金は「建設業」も活用できる?

事業再構築補助金は幅広い業種が対象となっており、建設業でも活用することが可能です。今回は、2022年度における事業再構築補助金の概要や建設業での採択事例を紹介するとともに、建設業で事業再構築補助金を活用する際のポイントなどを詳しく解説します。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、新型コロナ禍で売上が一定以上減少した事業者を対象に、事業再構築に必要な経費を補助してくれる制度です。補助上限額は申請する枠や従業員数などによって異なるものの、通常枠(従業員数20人以下)であっても、最大2,000万円の補助を受けることができます。

採択がされれば非常に大きな額の補助を得られる可能性があるため、事業の再構築に取り組む場合にはぜひ活用したい補助金です。

事業再構築補助金を活用するメリット

建設業で事業再構築補助金を活用することのメリットは、主に次のとおりです。

国から返済不要な資金を得られる

事業再構築補助金が採択されれば、国から返済不要な資金を得ることができます。新型コロナ禍で資金繰りが悪化している事業者が多い中、融資とは異なり返済する必要のない資金を得られることは、大きな強みとなることでしょう。

事業計画を再検討するきっかけとなる

事業再構築補助金の申請には、事業計画の提出が必要です。後ほど解説するように、この事業計画は、認定経営革新等支援機関とともに策定しなければなりません。

事業計画の策定は面倒に感じるかもしれませんが、事業計画は、事業実施の羅針盤ともいえるものです。事業再構築補助金の申請を機に事業計画を練り直しておくことで、事業の成長へとつながりやすくなるでしょう。

採択結果が公表されるため外部へのアピールとなる

事業再構築補助金では、採択された場合、事業者名や申請をした補助事業の内容などが公式ホームページで公表されます。事業再構築補助金が採択されたということは、見方を変えれば、事業計画に対して国が期待を持っているということです。

これは、外部へのアピールポイントの一つとなるでしょう。

建設業で事業再構築補助金を活用するための要件

建設業で事業再構築補助金を活用するための主な要件は、次のとおりです。

中小企業者等に該当すること

事業再構築補助金の対象は、日本国内に本社を有する中小企業者等および中堅企業等です。建設業の場合には、資本金3億円かつ常勤従業員300人であれば、原則として事業再構築補助金の対象となる「中小企業者」に該当します。

また、中小企業者に該当しない場合であっても、資本金10億円未満の法人であれば、原則として中堅企業等に該当し、事業再構築補助金の対象となります。

事業再構築を行うこと

事業再構築補助金を申請するためには、事業再構築への取り組みを行わなければなりません。事業再構築には、次の5つが該当します。

  • 新分野展開:主たる業種と主たる事業をいずれも変更することなく、新たな製品などを製造するなどし、新たな市場に進出すること
  • 業態転換:製品の製造方法などを相当程度変更すること
  • 事業転換:新たな製品の製造などをすることにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること
  • 業種転換:新たな製品の製造などをすることにより、主たる業種を変更すること
  • 事業再編:会社法上の組織再編行為を補助事業開始後に行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換のいずれかを行うこと

たとえば、単に事業を拡大するために従業員を増員したり、新たに営業所を増やしたりする程度では事業再構築とは認められませんので、この要件には特に注意しておきましょう。自社の行おうとしている取り組みが事業再構築に該当するかどうか判断に迷う場合には、専門家または補助金事務局まで相談してください。

コロナ禍で売上が減少したこと

事業再構築補助金を申請するには、新型コロナ禍で売上が減少したことが必要です。具体的には、次の基準を満たすかどうかで判定します。

  • 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること

ただし、この要件を満たさない場合には、次の要件を満たすことでも申請することが可能です。

  • 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3ヶ月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること

事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること

事業再構築補助金を申請するには、事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関とともに策定することが必要です。

認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関を指します。税理士や公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関などが認定を受けていることが多いでしょう。

なお、補助金額が3,000万円を超える案件では、銀行などの金融機関が参加したうえで事業計画を策定しなければなりません。ただし、金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合には、その金融機関のみで構わないとされています。

付加価値額要件を満たす事業計画を策定すること

認定経営革新等支援機関とともに策定する事業計画は、補助事業終了後3~5年で次のいずれかの達成を見込むものである必要があります。

  • 付加価値額の年率平均3.0%以上増加
  • 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加

なお、ここでの「付加価値額」とは、営業利益、人件費、減価償却費を合計したものです。

建設業で使える事業再構築補助金の5つの枠と補助金額

2022年度における事業再構築補助金には、5つの枠(通常枠と4つの特別枠)が設けられています。それぞれの概要と補助金額は、次のとおりです。

通常枠

通常枠は、事業再構築補助金のもっとも基本となる申請枠です。多くの事業者は、この通常枠で申請することになるでしょう。通常枠の補助金額と補助率は、それぞれ次のとおりです。

従業員規模 補助金額 補助率
20人以下 100~2,000万円 中小企業 :2/3(6,000万円超は1/2)

中堅企業: 1/2(4,000万円超は1/3)

21人~50人 100~4,000万円
51人~100人 100~6,000万円
101人以上 100~8,000万円

なお、他の枠で申請をしてその枠で不採択となった場合には、原則としてこの通常枠で再審査されることとなっています。

大規模賃金引上枠

大規模賃金引上枠は、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援する特別枠です。

この枠は、従業員数が101人以上である企業のみが対象とされています。補助金額と補助率は、それぞれ次のとおりです。

従業員規模 補助金額 補助率
101人以上 8,000万円超~1億円 中小企業:2/3(6,000万円超は1/2)

中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3)

 

回復・再生応援枠

回復・再生応援枠は、新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援する特別枠です。補助金額は従業員数によって異なり、補助金額と補助率はそれぞれ次のようになっています。

従業員規模 補助金額 補助率
5人以下 100万円~500万円 中小企業:3/4

中堅企業:2/3

6人~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

最低賃金枠

最低賃金枠は、最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中

小企業等の事業再構築を支援する特別枠です。補助金額と補助率は回復・再生応援枠と同じであり、それぞれ次のとおりです。

従業員規模 補助金額 補助率
5人以下 100万円~500万円 中小企業:3/4

中堅企業:2/3

6人~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

グリーン成長枠

グリーン成長枠とは、研究開発や技術開発、人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取り組みを行う中小企業等の事業再構築を支援する特別枠です。補助金額と補助率は、それぞれ次のとおりです。

分類 補助金額 補助率
中小企業 100万円~1億円 1/2
中堅企業 100万円~1.5億円 1/3

建設業での事業再構築補助金採択事例

事業再構築補助金は、公式ホームページで業種ごとの採択事例が公表されています。現在公表されているうち最新の採択結果である「第4回公募採択結果」から、建設業での採択事例を抜粋して紹介します。

  • 畜産関連の土木工事業がコロナ渦によって受注減少、社員確保も困難となり事業継続が厳しくなったことから、関連会社の酪農業とのコラボレーションによるカップアイスクリーム製造事業へ業種転換する事業
  • 北海道特有の地域・季節要因に加え、新型コロナの影響により観光客の減少による売上減少を打開するために、行政及び地域住民・企業向けの除排雪サービス(除雪ドットコム)を展開し、売上を回復する事業
  • 主力事業である水道管等の管交換工事において、新技術導入により新しい管に交換せず、既存の管の耐久性を強化し対応年数を延長させる工法を導入する業態転換事業
  • 市内空き店舗・空き家のリノベーションを行い、外国人向け国際交流シェアハウスを展開して当社の収益の柱に育成するとともに、地域課題の解決(雇用のミスマッチ解消、生活拠点確保、中心市街地・商店街の活性化)に貢献して地域創生を目指す事業
  • 既存の住宅建築・不動産事業で培った強みを充分に活用しつつ、「自立型高齢者」を対象に「生活支援型」の賃貸住宅事業を新たに開始する事業
  • 新たに建設設備等のレンタル業を始める事業
  • 建築業の視点で「自然に囲まれたコワーキングスペース」×「観光目的の短期滞在用ゲストハウス」×「移住者のための不動産業」の3つの事業を統合、多様なサービスを提供できる統合施設の設置と運営をする事業
  • 従来の手作業を主体とする施工プロセスを、ICT技術でデジタル革新させて発注者ニーズに応えることで、新分野の受注を獲得することで事業再構築を目指す事業
  • ソーラーパネルから排出される全ての部材を、適正な価格で、適正にリサイクル・最終処分を受けられる新たな仕組みとして、『ソーラーパネルリサイクルプラットフォーム』を構築し、使用済みパネルの大量廃棄問題(放置・不法投棄、最終処分場のひっ迫)の回避に貢献する事業
  • 自社で移動式中間処理施設を設置し、燃料チップ及びバイオマスチップを生産するリサイクル事業を始める事業
  • 県内初の金属類と古紙回収を併設したドライブスルー型リサイクルステーション及び法人向けの資源回収BOX事業に挑戦する事業

上記は採択事例のごく一部ではあるものの、建設業でも多くの採択事例があることがわかります。また、採択事例を見ることで、自社における今後の取り組みの参考にもなるのではないでしょうか。

より多くの事例を知りたい場合には、事業再構築補助金の公式ページを確認してみてください。

事業再構築補助金の申請から受給までの流れ

事業再構築補助金の申請から、実際に補助金が受給できるまでの流れは、次のとおりです。特に、補助金の支給時期については誤解している人が少なくありません。申請の際には、全体の流れを把握したうえで行うと良いでしょう。

申請書類を作成する

はじめに、申請に必要な書類を作成します。作成は、自社のみで行うことの他、中小企業診断士など専門家のサポートを受けて作成することも可能です。

専門家へサポートを依頼した場合には手間が削減できるほか、補助金の趣旨や審査ポイントを踏まえて申請書類を作成してもらえるため、採択の可能性を高めることができます。

申請する

申請書類の準備ができたら、公募期間中に申請をします。

事業再構築補助金の申請は、電子申請でのみ認められています。事務局への持ち込みや郵送での申請はできません。

なお、電子申請には、「GビズIDプライムアカウント」が必要となります。直前になって慌ててしまわないよう、事業再構築補助金の活用を検討している段階で、あらかじめアカウントを取得しておくと良いでしょう。

GビズIDプライムアカウントとは、法人や個人事業主向けの共通認証システムです。アカウントは、最初に一つ取得するだけで、 有効期限や年度更新の必要はありません。

最近では、事業再構築補助金のほかにもGビズIDプライムアカウントを使う申請も増えていますので、これを機に取得しておくと便利です。

採択結果が通知される

公募期間の終了後、応募のなかから採択事業が決定され、採択結果が通知されます。事務局からの通知を見落とさないよう、注意しておきましょう。

また、採択がされた事業については、事業者名(法人名)や申請をした補助事業の内容などの情報が、補助金の公式サイトに掲載されます。

申請した補助事業を実施する

補助金が採択されたからといって、すぐに補助金が交付されるわけではありません。先に、申請をした補助事業を実施する必要があります。

この時点ではまだ補助金は振り込まれていない以上、補助事業の実施にかかる費用は自己資金でまかなうか、融資など他の方法で一時的に調達しなければなりません。

事業の実施報告を行う

補助事業の実施後、事務局に対して事業の実施報告を行います。実施報告には所定の様式が必要となる他、請求書や領収証、見積書など、所定の添付書類が必要です。

報告に必要な書類をあらかじめ確認したうえで、紛失したり発行を受けなかったりすることのないよう注意しましょう。

補助金が交付される

実施報告に問題がないと判断されれば、ようやく補助金の交付を受けることができます。補助事業実施のために金融機関から一時的に融資を受けていた場合などには、金融機関との取り決めに従い、すみやかに返済しましょう。

事業再構築補助金を建設業で活用する場合の注意点

事業再構築補助金を建設業で活用する際には、次の点に注意しましょう。

必ずしも採択されるとは限らない

事業再構築補助金は、要件を満たして申請をしたからといって必ず受給できる性質のものではありません。応募の中から厳選され、採択された事業のみに補助金の交付が決定されます。

そのため、仮に採択されなかった場合であっても事業が立ち行かなくならないよう、複数パターンの資金計画を立てておくと良いでしょう。

補助金は事業実施後の後払い

事業再構築補助金は、上で解説をしたとおり、事業実施後の後払いです。そのため、補助事業の実施にかかる費用は、一時的に融資を受けるなど別の方法で調達しなければなりません。

あらかじめ金融機関へも相談をしたうえで、補助金受給までの資金計画を練っておきましょう。

申請書類の作成に手間がかかる

事業再構築補助金の申請には多くの書類が必要です。また、事業計画の見通しが甘いと判断されれば採択が遠のいてしまいますので、申請前に事業計画をよく練り込まなければなりません。

この作業を、自社のみで行うことは困難です。事業再構築補助金の申請には相当な手間がかかることを知ったうえで、専門家の活用を検討すると良いでしょう。

まとめ

事業再構築補助金は、建設業であっても活用することが可能です。事業再構築に取り組みたい建設業者様は、ぜひ事業再構築補助金の活用を検討すると良いでしょう。

ただし、行おうとしている取り組みが事業再構築補助金の要件を満たすかどうかの判断が容易ではないほか、申請書類の作成にも手間がかかります。

また、せっかく良い取り組みであるにもかかわらずうまく文書でアピールできていなかったり、審査ポイントとはズレたポイントをアピールしてしまったりすれば、採択される可能性を下げてしまいかねません。

事業再構築補助金を申請する際には、ぜひ専門家のサポートを受けることをおすすめします。

専門家選びに困ったら、ぜひ当サイト「補助金バンク」をご利用ください。補助金バンクには、事業再構築補助金に詳しい中小企業診断士や行政書士などの専門家が多く登録しております。

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この記事を書いた人
野竿 健悟
この記事を書いた人
野竿 健悟
株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士
補助金に精通しており、自ら申請をご支援し、高採択率の実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を活かしたシステム開発の補助金申請の支援実績多数。

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