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事業再構築補助金の「加点」項目とは?第3回公募の変更点とポイント

事業再構築補助金の加点項目

事業再構築補助金の第3回公募締め切りが迫ってきました。今回は、事業再構築補助金の加点項目について、ポイントをまとめます。

助成金制度とは異なり、補助金制度は「申請したら必ずもらえる」ものではありません。まず補助金の審査に合格し採択され、その後補助事業を行った後に実施した内容の報告を行い、それが検査されやっと補助金の額が決定されます。仮に補助金の採択が決まったとしても、実施した内容が異なった場合や計画が大幅に変更された場合などは補助金額が減額されることもあります。

補助金をもらうためには、まずは最初の審査に合格しなければなりません。この審査を行う基準となるのが「審査項目」といわれるものです。「審査項目を満たす申請書」を作成することが補助金の採択につながるため、補助金のサポートを実施するコンサルタントなどは補助金の要領が公表された際はおそらく一番に目を通すはずです。「審査項目」公募要領に記載されていますので、内容をよく理解して補助金の採択を目指しましょう。

補助金の加点項目とは

補助金の審査には「審査項目」の他に「加点項目」というものがあります。

加点項目は、要件を満たしている事業者が申請すると「加点」される項目のことで、審査項目とは違い、必須ではないものの、「実施することで採択される可能性が高まる項目」です。できるだけ多くの「加点項目」を実施すれば、それだけ補助金の採択につながりやすくなることは採択率からも明らかになっています。

「加点項目」についても公募要領に記載されていますので、内容をよく理解して、補助金の採択確率を高めましょう。

事業再構築加点項目は3点

ここからは、具体的な加点項目について説明していきます。事業再構築補助金第3回公募の加点項目は次の3点があります。

  • 加点項目①:売上30%減少
  • 加点項目②:固定費が同期間に受給した協力金の額を上回ること
  • 加点項目③:経済産業省が行うEBPMの取組への協力

それぞれについて詳しく説明していきます。

加点項目①:売上30%減少

緊急事態宣言特別枠に申請しなくても、下記の要件を満たせば加点を受けられます。

令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自 粛等により影響を受けたことにより、2021年1 月~8 月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で30%以上減少していること

この加点項目は、単純に売上が30%以上減少していれば対象になるわけではありません。あくまでも緊急事態宣言の影響で売上が30%以上減少していることが要件となります。

加点を受けるには、「令和3年の国による緊急事態宣言の影響を受けた ことの宣誓書」と「売上高減少に係る証明書類」が必要です。「売上減少に係る証明書類」は法人の場合は下記の通りです。

(1)申請に用いる任意の3ヶ月の比較対象となるコロナ以前(2019年又は2020年1~3月) の同3ヶ月の売上が分かる年度の確定申告書別表一の控え(1枚)

(2)(1)の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え(両面)

(3)受信通知(1枚)(e-Taxで申告している場合のみ)

(4)申請に用いる任意の3ヶ月(2020年または2021年)の売上がわかる確定申告書別表一の控 え(1枚)

(5)(4)の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え(両面)

加点に必要な書類はそこまで複雑ではありません。手間を惜しまず、該当する事業者様は積極的に加点をぜひ狙っていきましょう。

加点項目②:固定費が同期間に受給した協力金の額を上回ること

加点項目の2つ目は、上記①の条件を満たした上で、2021年1月~8月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ることです。

この加点項目は緊急事態宣言の発令に伴う時短営業要請等に向けた「感染防止拡大協力金」が対象であり、家賃支援給付金や雇用調整助成金等の受給をもって加点対象とすることはできません。

また、固定費は定義が明示されており、家賃、人件費、光熱費等の固定契約料の合計のことです。社内の会計で使用している固定費とは異なりますので注意が必要です。

提出書類は「固定費に係る証明書」となっており、家賃の証明書類(賃貸借契約書等)や人件費の証明書類(給与支払台帳等)が必要です。すべての書類を集める必要はなく、1項目でも合計すれば協力金を上回るのであれば、その書類の提出のみで問題ありません。

加点項目③:経済産業省が行うEBPMの取組への協力

加点項目の3つ目は、経済産業省が行うEBPMの取組に対して、採否に関わらず継続的な情報提供が見込まれるものであることです。

EBPMとは、Evidence-Based Policy Making(エビデンスに基づく政策立案)のことです。経済産業省が所管する独立行政法人経済産業研究所(RIETI)のウェブサイトに詳細が掲載されています。要するに、事業再構築補助金をはじめとする国の政策がその場限りのものにならないよう、本当に効果があったか等を検証・分析し、将来の政策立案の際に役立てようという取り組みです。

事業再構築補助金は国の政策の一貫ですので、申請した企業については情報を継続的に提供してくれるなら加点しますということです。提供方法はミラサポplus「電子申請サポート」から事業財務情報を提供することになります。おそらく数年にわたり情報を入力することになるでしょう。

本項目の加点を希望するときは電子申請の際にチェックするだけですので、ほとんどの申請事業者がチェックを入れると思われます。

事業再構築補助金第3回公募のその他の変更点

上記に記載した「加点項目」の他に、今回の公募では大きな変更点があり、新たな枠が新設されたことにより申請に有利になる事業者もあると思います。以下にポイントをまとめます。

今回の変更が行われた背景ですが、最低賃金引き上げにより、すべての都道府県で過去最大の28円引き上げ、全国平均で時給930円とする目安が示されたことで、事業者にとってはコロナ禍の上にさらに負担がかかることとなりました。それを踏まえ、最低賃金引き上げに向けた支援策として「最低賃金枠」と「大規模賃金引上枠」が創設されることになったようです。

最低賃金枠・大規模賃金引上枠の創設

1つ目の変更点は、最低賃金枠と大規模賃金引上枠の創設です。

最低賃金枠は、最低賃金付近の賃金額で雇用している従業員が一定割合以上いる事業者について、補助率が通常2/3のところ、3/4に引上げられます。また、加点措置が行われ、採択率が優遇されます。

補助額は、従業員数規模に応じて最大で1,500万円となっています。

  • 従業員数5人以下 :100万円~500万円
  • 従業員数6~20人 :100万円~1,000万円
  • 従業員数21人以上:100万円~1,500万円

最低賃金枠では、「通常枠」の申請要件に加えて、次の2つを満たす必要があります。

  • 2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年または対前々年比で30%以上減少していること※売上高に代えて、付加価値額を用いることも可能
  • 2020年10月から2021年6月の間で、3ヶ月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上であること

なお、最低賃金枠に申請して不採択となっても、通常枠で再審査されます。

大規模賃金引上枠は、従業員の数が多いと最低賃金引き上げの負担も大きくなるため、比較的大規模な事業者を対象とした新設枠です。

従業員数が101人以上の場合、補助上限が最大で1億円になるもので、補助率は中小企業が2/3、中堅企業が1/2となっています。大規模賃金引上枠に申請して不採択となっても、通常枠で再審査されます。

大規模賃金引上枠では、「通常枠」の申請要件に加えて、次の2つを満たす必要があります。

  • 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
  • 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること

通常枠の補助金上限額の見直し

2つ目の変更点は、従業員数の多い事業者への配慮として、従業員数が51人以上の場合は補助上限が最大8,000万円まで引き上げられることです。これにより、中小企業、中堅企業ともに通常枠の補助金額は以下のようになります。

  • 従業員数20人以下:100万円~4,000万円
  • 従業員数21~50人:100万円~6,000万円
  • 従業員数51人以上:100万円~8,000万円

個人事業主でも今までは最大6,000万円が上限だったため、従業員の人数に応じた補助金の上限が儲けられたことにより、会社の事業規模に応じて適切な規模の事業計画が可能になったといえます。

売上高減少要件の見直し

3つめの変更点は、事業再構築補助金の申請要件の一つである「売上減少要件」の定義が変更されたことです。売上高10%減少要件の対象期間が、2020年10月以降から2020年4月以降に拡大されています。

さらに、売上高減少要を満たさない場合でも、付加価値額の減少の要件を満たすことで申請可能になっています。これにより、売上高は増加しているが利益が圧迫されていて業況が厳しい、といった事情がある事業者も補助金の対象になります。

この変更はより門戸を広げるような変更であり、決してこれらの変更によって途中まで作成していた事業計画が申請不可になるような類のものではありません。要領をよく読み、加点される事項があれば積極的に利用し、自社に適切な枠で申請を行うことが採択への近道といえます。

採択されたければ優秀なパートナーを選ぶことが重要

事業再構築補助金第3回公募についてのポイントをまとめましたが、いかがでしたでしょうか?申請を検討されている事業者の方は、自社だけで申請しようとすると数十ページもある要領を読み込もうとするだけで大変な労力となります。

当社補助金バンクは、補助金を申請したい方と中小企業診断士などの専門家のマッチングプラットフォームです。貴社の財務状況・経営状況に応じた補助金申請をおこなう専門家とマッチングすることができますので、申請をお考えの方はお気軽にお問い合わせください。

まとめ

事業再構築補助金は、あと3回公募が行われる予定となっています。申請要件は毎回微修正されていますが、そこまで要件は厳しくなく、新型コロナウイルスで経営に打撃を受けた事業者であれば、ほとんどの中小規模の事業者が申請可能です。

せっかくの機会ですので、外部の専門家のサポートを受けながら、自社の事業を抜本的に改革するきっかけとして、補助金を利用してみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人
野竿 健悟
この記事を書いた人
野竿 健悟
株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士
補助金に精通しており、自ら申請をご支援し、高採択率の実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を活かしたシステム開発の補助金申請の支援実績多数。

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