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フランチャイズで「事業再構築補助金」を活用するには?メリットと申請の流れ

フランチャイズの事業再構築補助金

未だ収束が見えないコロナ禍。「ニューノーマル」ということばもすっかり定着しました。たとえコロナ禍が収束したとしても、もはやコロナ前と同じ状況には戻らないかもしれません。

一方で、社会が大きく変わるときは、新しいビジネスを始めるチャンスでもあります。とはいえ、まったくの新しいビジネスを始めるには、ノウハウもなくリスクが大きいですよね。そんなときは、フランチャイズを活用すれば、異業種からでも新規ビジネスに無理なく参入できます。

さらに、今なら「事業再構築補助金」といって、新規事業への参入など、事業の再構築に必要な設備投資などを補填してくれる国の補助金があります。予算総額が1兆円を超える大型の補助金で、最高6,000万円(中小企業、通常型)を受け取ることができます。

今回は、事業再構築補助金をフランチャイズビジネスに活用するメリット等について解説します。

事業再構築にフランチャイズを活用するメリット

「コロナ禍で事業の抜本的な見直しが必要。」そのように考えている事業者は少なくないものです。とはいえ、実際に何か新しい事業をと思っても、既存事業の延長線上以外のものを手掛けることは決して容易ではないでしょう。

そんなとき、フランチャイズを活用すれば、ノウハウやブランドなどを丸ごと手に入れることができます。もちろん、設備投資など資金も必要ですが、事業再構築補助金によって2/3まで補助してもらえます。まずは、事業再構築にフランチャイズを活用するメリットを紹介しましょう。

メリット

  • 実績ある商品・サービスの提供が受けられる
  • ノウハウが得られる
  • ブランドを活用できる

実績ある商品・サービスの提供が受けられる

自前で新規事業を手掛けるとなると、商品・サービス開発に膨大な時間とコストがかかります。それだけ手間暇かけたとしても、売れる商品になるかどうかはわかりません。むしろ、新しい事業分野でいきなりヒット商品を開発できると考える方が、無理があるかもしれません。

そんなとき、フランチャイズであれば、すでに実績のある商品・サービスの提供を受けることができます。売れることがある程度確実な商品なので、手堅く事業を始めることができます。

ノウハウが得られる

フランチャイズでは、ノウハウが得られることも大きいでしょう。

フランチャイズに加盟すれば研修を受けられますし、開業後もサポートを受けられることもあります。導入する設備・システムについてもアドバイスを受けられますし、仕入れ先が決められているケースもあります。自由度が低い面もありますが、素早く事業を軌道に乗せやすいです。

なお、サポート体制や仕入れ先、メニュー選択の自由度等は、フランチャイズによって異なるため、加盟前に十分に確認を取るようにしてください。

ブランドを活用できる

フランチャイズには、知名度の高い全国区のブランドを擁するところが多いです。自ら開業してから認知してもらうまでには時間がかかることが一般的ですが、フランチャイズであれば開業当初から認知度の高いブランドで勝負することができます。

ノウハウと同様にフランチャイズのブランドを活用することで、事業を早期に軌道に乗せることができます。

事業再構築補助金の支給要件

続いて、事業再構築補助金の支給要件について解説します。事業再構築補助金は2021年度の1年間にわたって、5回の公募が実施される予定です。

支給対象となるのは、2020年10月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等です。

補助金額は次の通りです。中小企業であれば事業に関わる経費の2/3、資本金10億円未満の中堅企業であれば1/2が補助されます。給付金とは異なり、実施した事業の必要経費の一部が補填されます。

補助率 補助額
中小企業 2/3 100万円以上6,000万円以下
中堅企業※ 1/2(4,000万円超は1/3) 100万円以上8,000万円以下

中堅企業の定義は、中小企業に該当せずかつ資本金10億円未満の企業です。資本金等の定めのない場合は、従業員2,000名以下が要件となります。

事業再構築指針

事業再構築補助金は、その名の通り「事業再構築」の取り組みに対する経費に対して補助されます。事業再構築の定義は何かとなると、以下の事業再構築指針を満たすことです。5つの分類があり、分類によって売り上げの要件があるので注意しましょう。これらの要件を満たすことを、事業計画の中でしっかり説明をする必要があります。

分類 新規性要件 事業・業種変更 売上要件
業態転換 製品等の新規性 製造方法等の新規性 新製品の売上が全体の10%以上となること
商品等の新規性または設備等撤去等要件(商品またはサービスの提供方法を変更する場合)
新分野展開 製品等の新規性 市場等の新規性 新製品の売上が全体の10%以上となること
事業転換 製品等の新規性 市場等の新規性 事業の変更 新規事業の売上が、売上高構成比の中で最も高くなること
業種転換 製品等の新規性 市場等の新規性 業種の変更 新業種の売上が、売上高構成比の中で最も高くなること変更
事業再編 合併など会社法上の組織再編を伴う。

なお、2021年6月に公開された事業再構築補助金事務局の公式動画では、「分類によって採択の可能性が変わることがない、どれも同じ」と解説されていました。したがって、もっとも自社のビジネスを説明しやすい分類を選べば良いでしょう。

第1回公募の採択率については、こちらで紹介・考察しています。

対象となる取組例

続いては、フランチャイズを活用して異業種・新事業に参入するということを想定して、事業転換・業種転換の2つの取り組み例を紹介しましょう。

事業転換、業種転換とも事業または業種そのものを変えてしまうため、本来なら大きなリスクを伴います。しかし、フランチャイズを活用すれば、少なくともノウハウ、ブランドなどはすでに確立されたものを使うことができるので、比較的短期間で効果を上げることができるでしょう。

事業転換

まずは、事業転換について解説していきます。事業転換は主たる業種は変えず、主たる事業を変更し、かつ以下の3つの要件を満たす必要があります。業種、事業は日本標準産業分類に基づきます。

  • 日本標準産業分類の業種(大分類)は変更せず事業(中分類、小分類、細分類)が異なる新規事業を実施する。
  • 製品等の新規性要件を満たしている。
  • 市場の新規性要件を満たしている。
  • 3~5年の事業計画期間終了後、新規事業の売上高構成比が最も高くなる。

製品の新規性要件や市場の新規性要件は、これまでに製造したことのない製品で、かつ新しい市場(マーケット)へ打って出ることになります。異業種への参入であれば、ほぼこの要件は満たせるでしょう。

さらに、新たに始めた事業が3~5年後にもっとも高い売上比を持つことが求められます。すなわち、現在の事業は見切りをつけて新たな事業を始め、新規事業中心でやっていく覚悟が必要になります。

事例

居酒屋からラーメン店(全国チェーンのフランチャイズ店)に転換する。

業種の変更 大分類-宿泊業,飲食サービス業 変更なし

細分類 酒場・ビヤホール⇒ラーメン店

製品等の新規性

 

・これまでラーメン店を経営した実績はない

・新たに設備を導入する。

市場の新規性 ・居酒屋とラーメン店では顧客の求めるニーズが異なる。
売上要件 ・3~5年後にラーメン店が売上の最も高い構成比を占める。

業種転換

続いて、業種転換について解説していきます。こちらは業種そのものを変えてしまうため、それなりの覚悟が必要です。新型コロナウイルスによる影響だけでなく、高齢化で客が減少傾向にあったなど、コロナ以前から抱えていた課題も見据えて慎重に検討しましょう。

業種転換は以下の要件となります。

  • 日本標準産業分類の大分類である業種が異なる新規事業を実施する。
  • 製品等の新規性要件を満たしている。
  • 市場の新規性要件を満たしている。
  • 3~5年の事業計画期間終了後、新規事業の売上高構成比が最も高い事業となる。

事例

居酒屋事業者が店舗スペースを活用してコインランドリー事業に参入する。

業種の変更 大分類-宿泊業,飲食サービス業⇒大分類 生活関連サービス業
製品等の新規性

 

・これまでコインランドリーを経営したことがない。
市場の新規性 ・居酒屋とコインランドリーでは顧客層が異なり、市場が異なる。
売上要件 ・3~5年後にコインランドリー事業が売上の最も高い構成比を占める。

なお、事業転換でも業種転換でも、3~5年の事業計画期間終了後に、新規事業の売上高構成比が最も高い事業となることが求められます。既存事業を切り捨てて新規事業をメインでやっていくということです。

一方、既存事業は残したままで新規事業に参入するということであれば、業態転換か新分野展開を選びましょう。繰り返しになりますが、分類による採択可能性の差はありません。自社のビジネスにもっとも合った分類を選択するようにしましょう。

対象となる経費

補助金の対象となる経費は以下の費目になります。

対象経費

  • 建物費(建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復)
  • 機械装置・システム構築費(設備、専用ソフトの購入やリース等)、クラウドサービス利用費、運搬費
  • 技術導入費(知的財産権導入に要する経費)、知的財産権等関連経費
  • 外注費(製品開発に要する加工、設計等)、専門家経費
  • 広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
  • 研修費(教育訓練費、講座受講等)

フランチャイズの加盟料等は対象になりませんが、店舗の改装費、機械・設備購入費用、システム構築費用等が対象になります。また、広告宣伝費も対象です。一方、PCやタブレット、車両、家具など汎用使用ができるものは対象外です。

事業再構築補助金の申請の流れ

事業再構築補助金の公募受付は5回にわたって行われる予定です。2021年7月が第2回公募の締切となっており、その後も3回の公募が行われますので、申請スケジュールを見逃さないようにしましょう。最新の公募スケジュールやその他詳細は、事業再構築補助金の公募要領から参照してください。

申請にあたっては、15枚におよぶ事業計画書(補助金額が1,500万円以下の場合は10枚以内)を認定経営革新等支援機関(※)と策定します。事業計画書は、以下の構成で作成します。

  1. 補助事業の具体的な取組
  2. 将来の展望
  3. 本事業で取得する主な資産
  4. 収益計画

自社の強みや課題、再構築指針との関連性、実現可能性、収益性、競合と比較しての優位性などをしっかり盛り込み、図表や写真なども交えて、できるだけわかるやすく記載することを心がけましょう。

事業計画書が作成できたら「Jグランツ」という補助金申請システムから申請をします。申請にはgBizIDプライムアカウントが必要で、アカウント取得には3週間以上かかります。gBizIDプライムアカウントをまだお持ちでない場合は、まずはアカウントを取得しましょう。gBizIDプライムアカウントの取得方法等の詳細はこちらを参照してください。

※認定経営革新等支援機関とは:中小企業を支援できる機関として経済産業大臣が認定した機関で、全国で3万以上の金融機関、支援団体、税理士、中小企業診断士等が認定を受けています。

まとめ

事業再構築補助金は2021年6月に第1回公募の採択発表があり、採択率が36%と予想以上に厳しいものとなりました。当該補助金は「リスクの高い思い切った大胆な事業の再構築を行う」ことを評価するものではありますが、実現可能性が不十分という理由で不採択になったという話もちらほら耳にします。思い切った大胆な事業再構築は良いけれど、実現可能性を欠いていては元も子もないということですね。

この点、フランチャイズを活用すれば、ブランドもノウハウも手にしてから開業することができるため、少なくとも実現可能性の部分では一歩先んずることができます。あとは、いかに審査員にご自身の事業計画をうまく説明し、納得させられるかです。

とはいえ、15枚の事業計画に必要な事項をすべて落とし込み、説得力を持たせることは簡単ではありません。そんなとき専門家のサポートが受けられたら嬉しいですね。当社「本補助金バンク」には、事業再構築補助金の採択実績が豊富な専門家も多数登録されています。ぜひ補助金バンクを活用して、ご自身のフランチャイズビジネスを成功させてください。まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人
野竿 健悟
この記事を書いた人
野竿 健悟
株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士
補助金に精通しており、自ら申請をご支援し、高採択率の実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を活かしたシステム開発の補助金申請の支援実績多数。

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