補助金について、パソコンを使ってインターネット上で申請ができたら便利ですよね。一部の補助金は、「電子申請」といってインターネット上で書類を送付して交付申請などができるようになっています。
この記事では、補助金の電子申請に使うシステム「jGrants」と、jGrantsを使うために必要となる「gBizIDプライム」について解説していきます。窓口持参や郵送と違って24時間いつでもどこでも申請できる便利なシステムなので、ぜひ活用していきましょう。
補助金は電子申請で申請できる
補助金の申請には、主に以下の方法があります。
- 窓口への書類の持参
- 書類の郵送
- 電子申請
持参や郵送のみならず、インターネット上でも補助金を申請できるようになってきています。電子申請システム「jGrants」上で申請が完結する補助金もあり、時間や場所を問わず申請することができます。次の章ではjGrantsについて詳しく解説していきます。
なお、どの方法で申請を受け付けているかは、補助金によって異なります。補助金のホームページや公募要領などに申請方法が記載されているので、必ず確認してから準備をしましょう。
電子申請システム「jGrants」とは
「jGrants(Jグランツ)」は、インターネット上で補助金の申請や届出ができるシステムです。システム上で補助金の申し込み、実績報告、支払い請求を行うことができ、採択・不採択などの通知をメールで受け取れます。経済産業省が2020年3月にリリースしたシステムで、対象は経済産業省の補助金が中心となります。
インターネットを利用するため、24時間いつでも、どこからでも補助金の申請ができます。大量の印刷物が不要になるといったメリットもあるので、補助金の申請を考えている方はぜひ活用していきましょう。
この項目では、jGrantsで電子申請できる補助金の種類や、利用に際して必要となるgBizIDプライムについて解説していきます。
jGrantsで申請できる補助金
経済産業省の補助金や各省・各自治体の補助金の一部について、jGrantsで申請することができます。
例えば、2019年度補正予算の補助金でjGrantsで申請できた経済産業省の補助金は、以下の7つでした。
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- サービス等生産性向上IT導入支援事業
- 事業承継補助金
- インバウンド需要による地域消費拡大推進事業
- 大企業人材等新規事業創造推進支援事業
- アジアDX等新規事業創造支援事業
各補助金の公募準備ができると、jGrantsの補助金一覧に補助金名が掲載されます。2021年3月23日現在、585件の補助金が掲載されています。現在掲載されている補助金を知りたい方は、こちらのjGrantsのホームページの「補助金一覧」をご覧ください。
gBizIDプライムが必要
jGrantsを利用するには、事業者がgBizIDプライムを取得している必要があります。gBizIDは、1つのIDとパスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービスです。jGrantsを使うためには、gBizIDに登録してgBizIDプライムを作成する必要があります。
詳しい手続きは後述しますが、gBizIDプライムの取得には2~3週間程度かかることがあります。公募期限が迫ってきてからgBizIDプライムを取得しようとしても間に合わない可能性があるので、早めにgBizIDプライムの申し込みをしておきましょう。
jGrantsを利用するメリット
窓口への持参や郵送ではなく、jGrantsによって電子申請を行うメリットを解説していきます。これから解説するとおり、事務作業の負担が少なくなるメリットがあるので、ぜひjGrantsを活用しましょう。
- 24時間365日申請できる
- 窓口への移動時間や交通費、郵送費が節約できる
- 自動入力・自動転記で作業を減らせる
- 書類の押印が不要になる
- スマホやタブレットでも手続き状況を確認できる
24時間365日申請できる
jGrantsは24時間365日利用可能なシステムなので、申請者が好きな時間に申請できるメリットがあります。
従来の申請方法だと、窓口が開いている時間に持参したり、郵便局が開いている時間に郵送したりする必要があり、必ずしも申請者の都合が良い時間に申請できるとは限りませんでした。補助金の申請をするために、業務が中断した経験がある方もいるのではないでしょうか。
jGrantsを使えば、24時間365日いつでも補助金の申請ができます。本業に影響がない時間帯を選んで申請できるので、ぜひ活用しましょう。
窓口への移動時間や交通費、郵送費が節約できる
jGrantsを使えば、時間とコストを節約することができます。
従来であれば、窓口に持参するために交通費をかけて移動したり、郵送するために切手や封筒などのコストがかかったりしました。しかし、jGrantsを使った電子申請なら職場や自宅のパソコンで補助金の申請を行うので、時間とコストを節約することができます。
貴重な時間と資金を本業に充てるためにも、jGrantsの電子申請を利用しましょう。
自動入力・自動転記で作業を減らせる
jGrantsを使って申請すると、過去に補助金を申請したときの情報が自動で申請フォームに転記されます。また、gBizIDプライムに登録した事業者の情報も自動で入力されます。これらの仕組みにより事業者の所在地などの情報を何度も入力する必要が無くなります。
従来はコピーペーストで同じ情報を転記したり、何度も同じ情報を手書きで移したりしており、申請者にとって煩わしい作業となっていました。jGrantsでは自動入力や自動転記によって作業が簡単になったので、ぜひ活用していきましょう。
書類の押印が不要になる
紙での申請には押印が必要でしたが、jGrantsの書類は押印が不要です。gBizIDプライムと紐づいており、ログイン時に認証を行うため、押印は必要ありません。
事務作業の負担を軽減できることに加え、押印忘れによる書類の差し戻しも起こらなくなります。
スマホやタブレットでも手続き状況を確認できる
jGrantsはパソコンだけでなく、スマホやタブレットでもログインできます。補助金の手続き状況の確認など、簡単な操作ならスマホやタブレットでも気軽にできるのがメリットの一つです。
ただし、申請においては書類のアップロードが必要となるため、アップロードの操作ができるパソコンなどを使用しましょう。
jGrantsを使った補助金の申請の流れ
jGrantsで補助金の電子申請を行う流れについて解説していきます。補助金を選ぶところから、申請して審査結果を受け取るまでの流れを見ていきましょう。
なお、以下の手順は既にgBizIDプライムを取得した方に向けています。gBizIDプライムをまだ取得していない方は、後述する手順でまずはIDを取得しましょう。
- 補助金を探す
- ログインする
- 申請を行う
- 審査結果をメールで受け取る
補助金を探す
まず、申請したい補助金がjGrantsで申請できるのかを確認する必要があります。
申請したい補助金が見つかったら、公式ホームページや公募要領の申請方法の項目を読みましょう。jGrantsによる電子申請が可能か、またはその他の窓口持参や郵送のみなのかといった情報が書かれています。
ログインする
申請したい補助金がjGrantsの電子申請に対応していることを確かめたら、jGrantsにログインします。ログインにはワンタイムパスワード認証またはアプリ認証いずれかによる2要素認証が必要です。
gBizIDプライムとパスワードでログインしたら、ワンタイムパスワード認証かアプリ認証のどちらかを行います。ワンタイムパスワードを使う場合、gBizIDに登録したSMS受信用電話番号(代表者)にワンタイムパスワードが送付されるため、申請者とは別の社員が携帯電話を管理している場合、連携を取る必要があります。
ログインが完了すると、マイページが表示されます。
申請を行う
ログインしたら「補助金一覧」をクリックして申請したい補助金を探します。補助金をクリックすると、補助金の対象者や目的などが表示されます。公募要領や交付要綱、様式の添付ファイルがあるので、ファイル名をクリックしてダウンロードしましょう。
公募要領を確認しながら、公募申請のフォームを埋めていきます。申請前に中断したい場合は「保存」をクリックします。また、添付書類が必要な場合は、アップロードを行いましょう。
次の画面に進めない場合、必須項目が空欄になっているなどのミスが考えられるので、不備が無いか見直します、
基本的には、指示に従ってフォームを埋めて必要書類を添付すれば、申請することができます。
審査結果をメールで受け取る
申請内容を基に、事務局が審査を行います。採択・不採択の通知がメールで届くので、メールのリンクをクリックしてjGrantsにログインし、採択・不採択の結果を確認しましょう。
採択の場合、交付申請や状況報告も適宜行います。申請と同様にjGrants上でできるようになっています。
「gBizIDプライム」の取得方法
jGrantsを利用するには、事業者がgBizIDプライムを取得している必要があります。IDの発行には2~3週刊かかるので、補助金の申請期日に余裕を持って、事前に登録しておきましょう。
gBizIDプライムを取得する流れについて解説していきます。
- 取得に必要なものを準備する
- GビズIDのTOPページから申請書を作成する
- 書類を窓口に郵送する
- メールで通知を受領しパスワードを登録する
取得に必要なものを準備する
gBizIDプライムを取得するには、以下のものが必要となります。
- メールアドレス(アカウントIDになる)
- 操作端末(パソコン等)
- プリンター
- 印鑑証明書と登録申請書
- スマートフォンまたは携帯電話
以上を準備し、申請を始めましょう。
GビズIDのTOPページから申請書を作成する
gBizIDプライムを取得するには、GビスIDのトップページから申請書を作成します。ウェブサイト上で、「gBizIDプライム作成」をクリックし、書類を作成していきます。法人名、所在地、代表者名、代表者生年月日などを入力し、申請フォームを埋めていきましょう。
ここで登録するSMS受信用電話番号は、jGrantsなどgBizIDで使えるサービスにログインするときに、ワンタイムパスワードが送られる携帯電話です。ショートメッセージを受信できる端末の電話番号を登録しましょう。
フォームを埋めて「申請書作成」をクリックし、内容に問題がなければOKを押して申請書をダウンロードします。印刷して、法人の代表者印や個人事業主の実印を押印します。
後で間違いに気づいた場合、手書きで修正すると申請書が無効となります(作成日のみ手書き)。入力内容に誤りがあった場合、再度申請を行ってください。
書類を窓口に郵送する
申請書と必要書類(法人は印鑑証明書、個人事業主は印鑑登録証明書)を、窓口に郵送します。
郵送後、gBizIDのウェブサイト上で申請書の審査状況を確認することができます。気になる方は、トップページの「申請状況確認」を確認し、ログインして状況を確認しましょう。
メールで通知を受領しパスワードを登録する
申請に不備が無ければ、原則として2週間以内に「【GビズID】gBizIDプライム登録申請の受付のお知らせ」という件名のメールが届きます。
メールのURLをクリックするとワンタイムパスワードがSMSで携帯電話に送られるので、入力してログインしましょう。次の画面でパスワードを設定すれば、gBizプライムIDの登録は完了です。ここまで終了したら、jGrantsで補助金の電子申請ができるようになります。
まとめ
経済産業省が管轄するものなど一部の補助金は「jGrants」というシステムを使い、インターネット上で交付申請などの手続きを行うことができます。24時間いつでもどこでも申請でき、ペーパーレスかつ印鑑不要で便利なシステムなので、ぜひ活用していきましょう。
jGrantsを使うためには、「gBizIDプライム」を取得している必要があります。IDは申請から取得まで2~3週間程度かかる場合があるので、補助金の公募期限に余裕を持ってIDの申請をしておきましょう。
どの補助金を申請したら良いのか迷っている方や、jGrantsでの申請を進める中で分からないことが出てきた方は、中小企業診断士など補助金の専門家に相談してみましょう。「補助金バンク」には補助金の申請に強い専門家が多数登録しているので、適格なアドバイスをもらうことができます。「補助金バンク」を使い、身近で頼れる補助金のプロフェッショナルを探してみましょう。