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助成金をもらうと経費の負担が軽くなるので、ぜひ利用したいところですが、申請方法が難しくて困っている方も大勢います。申請書を書くだけでなく、提出が必要な書類が大量にあるため、自力で申請するのを諦めてしまう方が多いのです。
そもそも、助成金を受給できる条件がややこしくて、自分の会社は対象なのかどうかすらわからないという方も多いでしょう。
助成金の申請方法は複雑なので、社会保険労務士に代行してもらうのがおすすめです。書類の不備で落とされることもなくなりますし、経営者や社員の方は本業に集中できるからです。
この記事では、助成金の申請代行は誰に依頼したら良いのか、費用の相場はいくらくらいなのかについて解説します。助成金の申請代行の流れや必要な書類も紹介するので、この記事を読むだけで助成金の申請代行の利用方法がわかります。
助成金の代理申請は誰に依頼できる?
助成金は、企業が国や自治体に申請することでもらえる原則として返済不要の支援金です。書類の作成や募集の締め切りの管理が大変なので、慣れている人に申請を代行してもらいたいと考える方も多いものです。
実際、助成金の申請は代行してもらうことが可能です。助成金と混同しやすい支援金に「補助金」があります。この補助金の申請を代行する方法とあわせて、誰に代行を依頼すれば良いのかについて解説しましょう。
助成金の場合
助成金の書類作成・代理申請は、「社会保険労務士(社会保険労務士)」に依頼することができます。
助成金は、条件を満たす事業主ならほぼ確実に支援金をもらうことができ、競争が少ないです。支給されるためのハードルが補助金よりも低いため、国や自治体からの支援金を考えている方は、まずは助成金から申請していくと良いでしょう。
補助金の場合
補助金の代理申請は、特に資格の要件はありません。一般的には、補助金の申請サポートを行っている行政書士や中小企業診断士、社会保険労務士などに依頼することが多いです。補助金の種類や企業の業態によっては、税理士や弁護士に依頼することもあります。
補助金も助成金と同様に返済する必要がない支援金なので、可能な限り活用したいところです。ただし、助成金と違って審査が厳しく、採択までのハードルが高い特徴があります。申請書類のクオリティによって採択率が大きく異なるので、補助金もプロに申請サポートを依頼すると良いでしょう。
補助金の代理申請に関しては、こちらをチェックしてください。
助成金の申請代行の料金相場
社会保険労務士に助成金の申請代行を依頼した場合、一般的には「着手金」と「成功報酬」という2種類の費用がかかります。それぞれの料金相場は、次のような金額となっています。
費用 | 着手金ありの場合 | 着手金なしの場合 |
---|---|---|
着手金 | 2万円~5万円 | なし |
成功報酬 | 助成金入金額の15%~25% | 助成金入金額の20%~30% |
申請する助成金の種類によって、着手金や成功報酬の金額は異なりますが、概ね以上の表のような料金相場となっています。
社会保険労務士に助成金の申請を代行してもらうと、以上のように費用がかかってしまうので、経営者の方はご自身で申請した方が安く済んで良いと思うかもしれませんね。
しかし、助成金の申請を行うためには、応募要件を調べて自社が該当するかを確認し、期限内に不備のない書類を作成するには非常に手間がかかります。忙しい経営者の方にとって、本業とは別の助成金の申請スケジュールまで押さえ、完璧な書類を作り上げるのは至難の業です。
書類作成に何日もかかってしまうくらいなら、数万円の着手金の支払いで確実に申請を行ってくれる社会保険労務士に代行を依頼した方が良いのではないでしょうか?契約する前の相談は無料で行っている社会保険労務士事務所も多いので、気軽に相談だけでもしてみると良いでしょう。
助成金の申請代行の選び方
続いては、助成金の申請代行を依頼する社会保険労務士の選び方を解説していきます。次の3つのポイントを押さえた社会保険労務士事務所に依頼をしましょう。
- 社会保険労務士の資格を有している
- 助成金申請代行に力を入れている
- 違法業者を避ける
社会保険労務士の資格を有している
助成金の申請代行は社会保険労務士の独占業務であるため、社会保険労務士の資格を持っている人に依頼しましょう。または、社会保険労務士登録をしている弁護士にも依頼することができます。
社会保険労務士の資格を持たない人が助成金の申請代行を請け負うと、助成金の種類によっては社会保険労務士法に抵触してしまうことになります。もし間違えて中小企業診断士や行政書士などに相談してしまった場合でも、違法な業者でない限り、「当事務所では代行できないので、社会保険労務士事務所で相談してください」と教えてくれるはずです。
なお、先ほどお伝えしたように、補助金の申請サポートについては特に資格の要件が定められていません。補助金の申請代行を依頼したい場合は、社会保険労務士だけでなく中小企業診断士や行政書士、税理士などに相談することもできます。
助成金申請代行に力を入れている
社会保険労務士によって、助成金の申請代行に力を入れている人と、そうでない人がいます。あまり力を入れていない社会保険労務士に申請代行を依頼しても、受け付けてもらえないケースが多いため、助成金の申請代行を得意にしている社会保険労務士に依頼してください。
助成金関連の業務に強くない社会保険労務士に相談してしまうと、門前払いになるならまだしも、書類のサンプルだけを渡されておしまいということがあります。申請書の作成など負担の大きい仕事をお任せするためにも、助成金の申請に強い社会保険労務士に依頼をしましょう。
助成金の申請代行を行っている社会保険労務士は、当サイト「補助金バンク」で探すことができます。多くの社会保険労務士事務所では相談は無料で行っているので、申請書の作成にどこまで関わってもらえるのかなどを確認しましょう。
違法業者を避ける
助成金の申請代行業者の中には違法な業者もいるので、避けられるように自衛しましょう。違法な業者を通じて助成金の申請を行ってしまった場合、不正受給に該当して事業主がペナルティを受ける可能性があります。
例えば、社会保険労務士の資格を持っていないのにも関わらず、助成金の対象になるかどうか無料で診断したり、支給額の無料査定を持ち掛けたりするケースが多いです。診断や査定ではそれらしいことを言って企業の担当者をその気にさせ、助成金申請を代行する名目でお金をだまし取るのです。
違法業者の中には「厚生労働省から業務委託を受けた」と装って無料診断や無料査定を申し込ませる業者もあります。厚生労働省や労働局、ハローワークといった公的機関が特定の社会保険労務士事務所などに業務委託することはないので、100%詐欺だと思っていただいて構いません。
違法な業者を通して助成金の申請や受給を行い、不正受給になってしまった場合、事業主もペナルティを受ける可能性があります。助成金の返還を求められるだけでなく、不正受給を行った事業主として事業主名が公表され、5年間は助成金を受けることができなくなってしまいます。
詐欺に遭った上に自分の会社までペナルティを受けるという最悪の結果にならないためにも、違法な業者に助成金の申請代行を依頼してはなりません。違法な業者に騙されないようにするためにも、資格を持っている社会保険労務士が多数登録している「補助金バンク」を活用し、安全な事務所に助成金の申請代行を依頼しましょう。
助成金の申請代行はどこまでやってくれる?
社会保険労務士事務所によって、助成金の申請代行をどこまでやってくれるかは異なります。一般的には、受給診断から助成金が入金されるまでの申請代行やサポートを行ってくれます。
助成金の申請代行を利用すると、申請書の作成だけでなく、必要な計画書の作成や就業規則の変更など専門的なことをすべて任せることができるため、社会保険労務士に依頼した方が労力の削減になります。
実際の申請代行の流れは次のようになります。細かくは事務所によって異なりますが、一般的な流れとして参考にしてください。
- 無料相談
- 受給診断
- 計画の立案・届出
- 就業規則の確認・変更
- 計画の実施
- 助成金の申請
- 助成金の受給
無料相談
助成金の申請代行に入る前に、まずは無料で相談を行います。社会保険労務士事務所に訪問する場合と、社会保険労務士の方に自社オフィスに来てもらう場合の2つのパターンがありましたが、最近はオンラインでの打ち合わせができる事務所も増えています。
企業の方からは、社会保険労務士に会社の状況やどのような助成金の申請を検討しているかを伝えます。それに対して、社会保険労務士の方からは助成金制度の説明や他に使えそうな助成金の提案をするためのヒアリングを行ないます。
相談のときに、自分では気づいていなかったけど使えそうな助成金についてもアドバイスをもらえるかもしれません。従業員の構成や、今後の採用や出産などの見通しをできるだけ詳しく丁寧に相談し、社会保険労務士からの親身なアドバイスを引き出しましょう。
受給診断
会社の悩みと解決のためにどのような助成金が使えるかがわかったら、社会保険労務士が助成金を受給できるか、受給したらどれくらいの金額になるのかを見積もってくれます。ここまでの査定は無料で行ってくれる事務所が多いです。
企業によっては、助成金を受けるための条件を満たしておらず、助成金の申請ができない場合もあります。条件を満たしていないことがわかったら、何を改善すれば条件を満たすことができるのか、コンサルティングを行ってもらうことができます。
計画の立案・届出
ここからは、申請する助成金によって必要な手続きが異なります。計画書が必要な助成金を申請する場合、社会保険労務士と相談しながら計画を立案していきます。
例えば、「キャリアアップ助成金」を申請する場合、「キャリアアップ計画書」の提出が必要となります。キャリアアップ計画書とは、自分の会社ではどのように非正規労働者のキャリアアップを推進していくかという計画を示した書類です。「対象者」「取組目標」「期間」を明確にキャリアアップ計画書に記載し、労働局に提出する必要があります。
助成金の申請要件を満たし、かつ職場で無理なく導入できるキャリアアップ計画を立てるためにも、社会保険労務士の力を頼ると良いでしょう。社会保険労務士は労働や社会保険の専門家で、労働関連法や就業規則の要件にも詳しいので、会社と従業員にとって最善のキャリアアップ計画書を作成することができます。
また、キャリアアップ計画書の労働局への提出も、社会保険労務士に代行してもらうことができます。事務所によって代行している範囲が異なるので、無料相談の段階で代行してもらえるかを確認しておきましょう。
就業規則の確認・変更
申請する助成金によっては、就業規則の変更が必要な場合があります。現状のままで申請要件を満たすのか、就業規則を変更する必要があるのか、社会保険労務士に確認してもらいましょう。
次の5つの助成金は、就業規則の変更を伴うケースが多いです。
- キャリアアップ助成金
- 人材開発支援助成金
- 人材確保等支援助成金
- 両立支援等助成金
- 働き方改革推進支援助成金
就業規則を変更する場合、労働基準監督署への届け出が必要です。届け出も代行してもらえるかどうかは社会保険労務士事務所によるので、無料相談の段階で確認しておきましょう。
ちなみに、就業規則を作成する義務があるのは、常時10人以上の労働者を雇用している事業場です(労働基準法第89条)。常時10人以上には正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトなど原則として非正規雇用の社員も含まれます。ただし、派遣社員は派遣元の労働者であるため、カウントしません。
就業規則の作成を怠った場合、30万円以下の罰金が課せられることがあります。社会保険労務士は就業規則の作成も専門としているので、まだ就業規則を作っていない事業主の方は早く相談しましょう。
計画の実施
計画や就業規則の届出ができたら、計画の実施を行います。計画に沿った職業訓練を行ったり、非正規雇用の社員を正社員に登用したりして、計画を実行していきましょう。
助成金の申請
助成金を申請するための書類を作成します。書類の作成と提出は社会保険労務士に任せることができるので、添付する書類の提出を求められたときに対応しましょう。
必要な書類の例としては、例えば次の書類が挙げられます。
- 就業規則または労働協約等
- 賃金台帳
- 出勤簿やタイムカードの記録
細かくは申請する助成金によって異なりますが、労務管理に関する書類の提出が必要となります。就業規則の定めとタイムカードの記録が整合しているかなどが審査されるため、必ず正しく記録しておき、提出に備えましょう。
助成金の受給
無事に申請できれば、ほぼ確実に助成金が入金されます。助成金は申請条件を満たしていればもらえる支援金で、申請者同士の競争がないからです。
助成金が入金されたら、成功報酬を社会保険労務士事務所に支払います。ここまでで助成金の申請代行は完了です。
助成金の申請代行を利用するメリット
助成金の申請代行を社会保険労務士に依頼すると、次の3つのメリットがあります。代行を依頼するための費用はかかりますが、以下のメリットを踏まえると費用対効果が大きいので、ぜひ助成金の申請代行を活用しましょう。
- 本業に集中できる
- 知らなかった助成金を教えてもらえる
- 書類の不備が起こりにくい
本業に集中できる
助成金の申請代行を行うと、経営者や社員の方は本業に集中できるメリットがあります。
先ほど紹介したように、助成金の申請には申請書の作成に加え、キャリアアップ計画を立案したり就業規則を変更したりする手間がくっついていることがあります。これらの業務をこなし、本業でも成果を上げるのがかなり大変なことは、容易に想像できるのではないでしょうか?
その上、助成金の申請には締め切りがあります。本業を優先していると、いつまで経っても助成金の書類づくりが進まず、期日までに申請できなければ助成金をもらうことはできません。
このような書類作成にかかる手間と労力を踏まえると、助成金の申請は代行してもらった方が効率的です。経営者や社員の方は本業に集中し、助成金の申請は社会保険労務士にお任せすると良いでしょう。
知らなかった助成金を教えてもらえる
ご自身が知らなかった助成金について教えてもらえることも、社会保険労務士に助成金申請の代行を依頼するメリットです。正確には、代行を依頼する前の相談の段階で教えてもらうことができます。
助成金には膨大な種類があるため、すべてを調べて自社で使えるか検討することは難しいです。そのため、多くの方は有名な「雇用調整助成金」など、有名な助成金だけ申請しようとします。
しかし、助成金に詳しいプロである社会保険労務士から見れば、「この助成金も使えそうなのに、申請しないなんてもったいないな」と思われる企業も多いのです。助成金の「もらい漏れ」と言われるように、助成金に詳しくないために使える制度を見逃してしまっています。
使える助成金を漏れなく申請するためにも、社会保険労務士に相談することをおすすめします。知らなかった助成金も教えてもらい、活用していきましょう。
書類の不備が起こりにくい
書類の不備が起こりにくいことも、社会保険労務士に助成金の申請代行を依頼する大きなメリットです。
書類の不備が起こると、再提出など余計な手間がかかってしまいます。
さらに、複数の助成金に同時に申し込もうとしている場合、より難易度が上がります。助成金Aで必要な書類を、間違えて助成金Bに添付してしまうといったミスも起こりやすくなります。
申請に必要な書類が複雑であるため、助成金申請に慣れていない人がやろうとすると、不備が出やすいです。書類に不備があれば審査に落ちてしまうため、とてももったいないですよね。
ところが、助成金の申請のプロである社会保険労務士なら、初心者にありがちなミスは起こりません。不備のない書類を作って助成金をもらうためにも、社会保険労務士に助成金の申請代行を依頼しましょう。
助成金を申請する際に自分で準備すべきこと
助成金の申請を行う際に、必要になる労務管理に関する書類があります。作成を社会保険労務士に手伝ってもらうことはできますが、実際に会社で使って勤怠を記録する必要があるので、経営者の方が率先して準備しましょう。
- 従業員の始業・終業時刻の把握
- 労働時間の記録は、5年間は保管
- 賃金台帳など書類の作成
なお、助成金の種類によっては、これらの他にも書類が必要になるケースがあります。何を準備すれば良いのかわからなくなってしまったら、助成金に詳しい社会保険労務士に相談してください。
従業員の始業・終業時刻の把握
従業員の始業・終業時刻を、使用者も把握できるようにしておきましょう。具体的には、ICカードやタイムカードの打刻やパソコンの使用時間の記録などを保管し、使用者も確認できる仕組みを作っておいてください。
ありがちな悪い例が、タイムカードを定時に打刻するものの、実際は始業前と終業後に残業が行われているケースです。タイムカードの記録上は残業がない優良企業に見えますが、実態を反映していないので意味のない記録になってしまいます。正しい始業時刻と終業時刻がわかるように記録しましょう。
なお、勤務先のオフィス以外の場所を経由する直行・直帰のため、タイムカードで記録された時間と実際の労働時間が異なる場合もあると思います。ズレが生じた日については従業員に理由を簡単に記録しておいてもらい、違法な労働をさせていないことを証明できるようにしておきましょう。
労働時間の記録は、5年間は保管
労働時間を記録した書類は、5年間は保管しておく必要があります。5年という期間は労働基準法第109条に定められている年限です。5年を上回って保管しておくぶんには問題ありません。
保管しておく書類は、例えば次のような書類です。
- タイムカードやICカード、パソコン使用時間などの記録
- 使用者が自ら記録した始業・終業時間の書類
- 残業命令書とその報告書
- 従業員が自ら労働時間を記録した報告書
これらの書類は、少なくとも3年は保管しておく必要があります。助成金の申請が終わった後すぐに破棄することのないよう、気を付けましょう。
賃金台帳など書類の作成
労働基準法第108条で定められているとおり、使用者は賃金台帳を作成する必要があります。賃金台帳とは従業員ごとに、次の情報が記録されている台帳のことです。
- 労働日数
- 労働時間数
- 残業時間数
- 休日労働時間数
- 深夜労働時間数
- 賃金の額
助成金の申請時に、対象となる従業員の賃金台帳の提出が必要なことがあります。申請する直前に慌てて作るのではなく、雇用を始めるときから日常的に記録しておきましょう。
社会保険労務士は賃金台帳の作成も行うことができます。どのように賃金台帳を作って記録したら良いのかわからない方も、一度社会保険労務士に相談してみると良いでしょう。
まとめ
助成金の申請代行について解説しました。補助金の申請代行には特に資格は必要がありませんが、厚労省管轄の助成金の申請代行は社会保険労務士の独占業務です。社会保険労務士以外が行うことはできないので、必ず社会保険労務士が在籍する事務所に代行を依頼しましょう。
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