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【2022】キャッシュレス決済の導入に利用できる補助金は?

キャッシュレスの補助金

新型コロナウイルス感染症による影響が出る前から、日本では国を挙げてキャッシュレス化が推進されていました。それは日本の人口構造から、少子高齢化と人口減少が進行しより深刻な労働力不足が懸念されているからです。

労働人口が減少する中で、現在と同じ経済規模を維持していくためには、一人ひとりの労働生産性をいかに向上させるかが課題となっています。そのため、施策の一つとしてキャッシュレスを推進すべく補助金が充実しているのです。

キャッシュレス・消費者還元事業で得られるメリット

まずは、キャッシュレス決済を導入することによって得られるメリットについて解説しましょう。

  • 加盟店は金銭の負担なく導入できる
  • 国が決済手数料の1/3を補助してくれる
  • 集客につながる

加盟店は金銭の負担なく導入できる

キャッシュレス決済の導入に当たっては、決済端末の導入が必要となりコストが発生します。

しかし、キャッシュレス・消費者還元事業では、必要な端末等導入費用の3分の1を決済事業者が負担することを前提に、残りの3分の2を国が補助するとされています。つまり、中小・小規模事業者は登録決済事業者に依頼し、代行申請してもらうことができ、キャッシュレス決済端末の導入費用は実質無料となるということです。

代行申請を依頼することで、キャッシュレス決済に係る決済端末代とその設置費用までも無償で提供を受けられるため、導入しやすい制度と言えます。

ただし、フランチャイズチェーン、ガソリンスタンド等は除外されているため注意が必要です。

国が決済手数料の1/3を補助してくれる

キャッシュレス決済を導入する中小・小規模事業者は金銭の負担なく導入できるわけですが、キャッシュレス決済を利用する場合には、決済ごとに何度も決済手数料が発生します。

決済手数料は決済事業者によって異なりますが、スマホ決済会社の多くは3.24%〜3.74%で設定されています。したがって、決済手数料は「決済金額×手数料率」と計算できます。

例えば、1ヶ月間にキャッシュレス決済による売り上げが50万円であり、決済手数料が3.6%であれば、この月の決済手数料は50万円かける3.6%=18,000円ということです。

ここでも、本事業に登録された中小・小規模事業者がキャッシュレス決済を行う際に、B型決済事業者又は準B型決済事業者に支払う加盟店手数料(3.25%以下)の3分の1が補助されます。

ただし、フランチャイズチェーン、ガソリンスタンド等は除外されているので注意が必要です。

集客につながる

経済産業省の資料「キャッシュレス決済を取り巻く環境の変化と 本検討会で議論いただきたい点」によれば、訪日外国人の約7割が、クレジットカード等が利用できる場所が今より多かったら「もっと多くお金を使った」と回答しています。キャッシュレス決済の導入により、このような訪日外国人の需要をつかむことが可能となります。

もちろん、日本人のお客さんも同じであり、キャッシュレス決済は消費者が現金を持ち歩かなくて良くなり、決済単価も増加する傾向があると言えます。また、クーポンなどの配布もデジタルで可能になり、利便性の向上と売り上げ増加に結びつきます。

キャッシュレスに利用できるおすすめの補助金

それでは、キャッシュレス決済で利用できる補助金を紹介していきましょう。

  • キャッシュレス・ポイント還元事業
  • 面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業
  • マイナポイント事業費補助金
  • IT導入補助金

キャッシュレス・ポイント還元事業

先ほども説明したキャッシュレス・消費者還元事業です。

導入までは実績的に金銭負担がなく、代行申請や決済端末代とその設置費用までも無償で提供を受けられるので導入しやすい制度です。そのため、真っ先に検討するべき事業です。

面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業

面的なキャッシュレス化に取り組む地域の商店街振興組合や観光協会等に対する補助を通じて、地域の店舗がキャッシュレス決済を導入する取組を支援することで、感染症の蔓延しにくい環境づくりなど、新たな生活様式への第一歩を応援してくれます。この事業での支援のポイントは、キャッシュレスで衛生的な環境を整備すること、にぎわいづくりを応援することです。

注意していただきたい点はこの事業が、商店街等組織や商工会議所といった地域団体を通じて応募していただく事業となっている点です。したがって、補助に御関心がある店舗の方々は、地域団体に相談してもらう必要があります。

補助の内容は、キャッシュレス決済端末や関連ソフトウェア等の導入に係る経費です。国が最大3分の2を補助、地域団体が残りを負担するため、導入する店舗にとって初期コストの負担がないように制度設計がなされています。また、地域団体の広報費も補助されます。

  • 補助上限:5,000万円
  • 補助下限:100万円
  • 補助率:2/3(キャッシュレス決済端末等の導入に係る経費)
  • 定額(地域団体の広報費)

以上が補助の内容ですが、補助金の上限や下限は、地域団体での合計金額です。

マイナポイント事業費補助金

マイナポイント事業費補助金は、2020年9月から2021年3月までの期間、総務省において実施するマイナンバーカードを活用した消費活性化策の効果を中小・小規模事業者等にもしっかりと行き渡らせることが目的の補助金です。中小・小規模事業者のキャッシュレス決済端末等の導⼊を支援する補助金となっています。

IT導入補助金

「ITで業務効率化やデータ活用をしたい」「働き方改革・コロナ対策を進めたい」「デジタルトランスフォーメーションを進めたい」このようなときに活用できるのがIT導入補助金です。中小企業の方が、ソフトウェア費、導入関連費等に要した経費の2分の1以下が補助されます。

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、通常枠に加えて、IT導入補助金特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)が設定されました。その補助率も通常枠よりも優遇されています。

現状やポストコロナに対応したビジネスモデルへの転換に向けて、労働生産性の向上と業務上での接触機会を減らし、感染リスクの低減にするような業務の非対面化に取り組む事業者の積極的なIT導入等を優先的に支援するために創設されたものです。

この低感染リスク型ビジネス枠では、非対面ビジネスモデルへの転換を目的としたIT導入の内容として、キャッシュレス決済端末及び付属品が、補助の対象となっています。

  • 補助上限:450万円
  • 補助下限額:30万
  • 補助率:2/3以内

補助金の申請方法の手順

では、補助金を申請する際はどういった手順を踏めば良いでしょうか?申請方法を紹介しましょう。

  1. 補助金の対象条件を確認する
  2. キャッシュレス決済事業者に申し込む
  3. 加盟店登録を申請する
  4. 加盟店IDを発行する
  5. 申請手続きを行い、審査を受ける

補助金の対象条件を確認する

キャッシュレス・消費者還元事業の場合、登録対象となるのは中小・小規模事業者でした。したがって、業種分類、資本金、従業員数によって対象に該当するかが決められていました。

なお、個人事業主の場合でも対象となり、この場合は従業員数のみで判断することになります。

  • 製造業、その他:3億円以下又は300人以下
  • 卸売業:1億円以下又は100人以下
  • 小売業:5千万円以下又は50人以下
  • 旅館業:5千万円以下または200人以下
  • ソフトウェア業、情報処理サービス業:3億円以下又は300人以下
  • サービス業、その他:5千万円以下又は100人以下

その他にも、さまざまな補助金に共通する要件として次のような項目があります。

  • 日本国内で事業を営む中小・小規模事業者、個人事業主である
  • 本事業を継続的に実施する安定的な事業基盤を有している
  • 法令順守上の問題を抱えている者でない
  • 経済産業省が所管する補助金交付等の停止および契約にかかわる指名停止措置を受けていない
  • 本事業に関する内容などについて、国または補助金事務局からの調査を実施する場合協力できる
  • 暴力団員による不当な行為の防止などに関する法律に規定する暴力団などの反社会的勢力に関係する事業者でない

もちろん、この他にも要件が細かく定められているケースが多いです。これらの詳細については、各補助金の要領を確認する必要があります。

キャッシュレス決済事業者に申し込む

キャッシュレス・消費者還元事業の場合、中小・小規模事業者の方々は、登録決済事業者に対し申し込みを行う必要があります。登録決済事業者とは、キャッシュレス決済事業者の中で、この補助事業の対象として国または事務局において登録された事業者のことを言います。

加盟店登録を申請する

中小事業者の方々は、自分の店舗が対象であるか確認を行ってください。そして、登録決済事業者を選択・契約し(複数の場合もあり)、登録決済事業者経由で参加申し込みをすることになります。

なお、複数の登録決済事業者と契約している場合、それぞれの登録決済事業者経由で申し込みが必要です。

加盟店IDを発行する

決済事業者経由で申し込みが完了すると、決済事業者側での審査および加盟店登録申請が行われます。メインシステムに必要情報が登録されると、加盟店IDが発行されます。発行された加盟店IDは、加盟店に連絡されます。

連絡を受けた加盟店IDを用いて、契約・端末情報を登録し、消費者還元開始日を加盟店に連絡すれば、キャッシュレス・ポイント還元事業がスタートできます。

申請手続きを行い、審査を受ける

決済事業者の加盟店登録申請が行われると、国又は事務局においてその加盟店登録審査を実施します。これで問題がなければ登録完了となります。

中小事業者の方々は、ポスター・ステッカーなどの事業の広報物を店頭に掲示する作業を行いましょう。

補助金を申請する際の注意点

補助金は返済不要の資金ですので、中小企業にとってはありがたい存在です。しかし、補助金に採択されるためには、厳しい審査があります。

しっかりした事業計画や経営計画を提出しなければ採択されないため、多くの時間を必要とします。補助金の内容によって違いはありますが、以下の1.〜9.の項目は考えなくてはならないことが多いです。

  1. 新事業の魅力
  2. 人・モノ・金が十分である
  3. 想定される売上及び利益
  4. ターゲットとなる市場
  5. ターゲットにアプローチできること
  6. 事業の問題点やリスク
  7. 市場規模や人口動向
  8. 経営する上での自社の競争優位性
  9. 具体的な事業の立ち上げ方法と運営方法

これらを書くのは骨の折れる作業であり、とても時間がかかります。

また、自分の会社や業界のことは当たり前になりすぎており、気づきにくいことも多いです。その中で強みや競争優位性をまとめ、新しい事業の展開を書く必要があるため、想像以上に大変な作業だと言えます。

初期コストやランニングコストがかかる

初期導入費用はかなりの部分を補助してくれるケースが多いです。とはいえかなり高額なケースが多いため、その初期コストも経営には負担となります。また、補助の対象にならない費用がないかも確認しておく必要があるでしょう。

それから、ランニングコストにも目を配っておく必要があります。補助の対象期間が1年分となっていたり、期間が決まっていたりするケースが多いです。補助の対象でなくなった以降のランニングコストは、計画の段階でしっかりと確認をしなければなりません。

多様化するキャッシュレス決済への対応が難しい

キャッシュレス決済は、電子マネー、仮想通貨、電子通貨にカテゴライズすることができます。そして、電子マネーと言っても、SUICAやWAON、楽天edy、nanacoなど企業が発行体となった電子マネーを構築しており、交通系の電子マネーだけでも10種類ほどあります。そのため、いくつかのキャッシュレス決済を導入したとしても、お客さんの視点からすれば自分の利用したいキャッシュレス決済が使えないことがあります。

さらに、今後は新しい決済手段が登場してくることも考えられます。キャッシュレス決済の今後の動向や、店舗がある地域やその業態によって、どのキャッシュレス決済が最も適しているのかを確認する必要があると言えます。

まとめ

キャッシュレス 関連の補助金は、キャッシュレス決済の普及促進や業務のIT化、マイナンバーカードの普及促進などの目的に応じて設けられています。この目的を達成すべく、近年、キャッシュレス 決済の補助金は充実しています。

そして他の多くの補助金に比べると決済事業者への代行申請が可能であったり、導入がしやすい傾向にあったりします。

しかし、正式な書類としては経営計画の書類が必要ではないとしても、しっかりした事業計画や経営計画を練っておかなければならない点は同じです。

補助金を申請したい人と専門家のマッチングプラットフォームである補助金バンクなどの利用を検討してみてください。今後の業界動向を踏まえて、自社に最適な決済事業者を選択することが、長い目でみたときにベストな経営判断になると考えられます。

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この記事を書いた人
野竿 健悟
この記事を書いた人
野竿 健悟
株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士
補助金に精通しており、自ら申請をご支援し、高採択率の実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を活かしたシステム開発の補助金申請の支援実績多数。

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