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【2022】販路開拓に活用できる補助金は?中小企業が利用するメリットとは

販路開拓の補助金

補助金とは、公募要件に合致をして採択されることで、国や地方公共団体から返済不要な資金を受け取ることができる制度です。補助金にはさまざまなものがあり、中には販路開拓に活用できるものも存在します。

今回は、販路開拓に活用できる補助金を紹介するとともに、販路開拓に補助金を活用するメリットなどについて詳しく解説します。

販路開拓とは

販路開拓とは、商品やサービスを販売するルートを新たに開拓することです。たとえば、これまで自社商品を直営の小売店のみで販売していた事業者が、新たにECサイトや展示会へ出店する場合などがこれに該当します。

また、これまで雑誌広告で顧客を開拓していた事業者が、新たにダイレクトメールで顧客との接点を持つことなども販路開拓の一つです。

販路開拓に活用できる補助金には何がある?

補助金の中には、販路開拓に必要な資金の補助が受けられるものが存在します。代表的なものとして、次の3つを紹介します。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • 共同・協業販路開拓支援補助金
  • 自治体独自の助成金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等が持続的な経営に向けた経営計画にもとづいて行う地道な販路開拓などの取り組みや、併せて行う業務効率化の取り組みを支援する補助金です。

販路開拓に活用できる補助金としては、もっとも使い勝手の良い補助金であるといえるでしょう。小規模事業者持続化補助金については、後ほど詳しく解説します。

共同・協業販路開拓支援補助金

共同・協業販路開拓支援補助金とは、申請者である「地域振興等機関」が地域経済を支える中小企業・小規模事業者等を支援する際に要する経費の一部を補助する補助金です。中小企業等へ直接補助をするのではなく、中小企業等を支援する地域振興等機関へ補助をするという点で、やや特殊な補助金であるといえます。

しかし、補助を受けた地域振興等機関は中小企業等の販路開拓へ向けた取り組みなどを支援することとなりますので、最終的には中小企業等のメリットとなる補助金です。なお、地域振興等機関には、地域の商工会や協同組合などが該当するケースが多いでしょう。

自治体独自の助成金

自治体によっては、自治体独自で販路開拓に活用できる補助金を設けている場合があります。たとえば、東京都が行っている「一時支援金等受給者向け販路開拓サポート助成事業」がその一つです。

これは、コロナ禍における緊急事態宣言や外出自粛などの影響から、売り上げの減少などの課題に直面した企業を対象に展示会出展費用などの一部を助成して、販路開拓を支援する目的で設けられている補助金です。

対象者は、コロナ禍において国からの一時支援金等を受給した都内の中小企業者に限定されています。助成額の上限は150万円(助成率は5分の4)とされており、次の費用が助成対象です。

  • 展示会参加費
  • ECサイト出店初期登録料
  • 自社webサイト制作費
  • 販売促進費(チラシ・カタログ制作費、PR動画制作費、PR広告掲載費)

事業を行っている地域で独自の補助金や助成制度がないか、確認しておくと良いでしょう。

販路開拓に活用しやすい小規模事業者持続化補助金の詳細

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓にもっとも活用しやすい補助金の一つであるといえます。ここでは、小規模事業者持続化補助金の詳細を見ていきましょう。

小規模事業者持続化補助金の対象経費

小規模事業者持続化補助金の対象となる経費には、次のものが挙げられます。

  1. 機械装置等費:事業の遂行に必要な機械装置などの購入に要する経費
  2. 広報費:パンフレット・ポスター・チラシなどを作成するため、および広報媒体などを活用するために支払われる経費
  3. 展示会等出展費:新商品を展示会に出展したり商談会に参加したりするために要する経費
  4. 旅費:事業の遂行に必要な情報収集(単なる視察やセミナーなどへの参加は除く)や各種調査を行うための旅費や、展示会開錠との往復など販路開拓のための旅費
  5. 開発費:新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費
  6. 資料購入費:事業遂行に必要不可欠な図書などを購入するために支払われる経費
  7. 雑役務費:事業遂行に必要な業務・事務を補助するために補助事業期間中に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費
  8. 借料:事業遂行に直接必要な機器や設備などのリース料・レンタル料として支払われる経費
  9. 専門家謝金:事業の遂行に必要な指導・助言を受けるために依頼した専門家に謝礼として支払われる経費
  10. 専門家旅費:事業の遂行に必要な指導・助言等を依頼した専門家に支払われる旅費
  11. 設備処分費:販路開拓の取組を行うための作業スペースを拡大する等の目的で、その事業者自身が所有する死蔵の設備機器等を廃棄・処分する経費や、借りていた設備機器などを返却する際に修理・原状回復するのに必要な経費
  12. 委託費:上記以外の経費であって、事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費(市場調査等についてコンサルタント会社を活用するなど、自ら実行することが困難な業務に限る)
  13. 外注費:上記以外の経費であって、事業遂行に必要な業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費(店舗の改装など、自ら実行することが困難な業務に限る)

ただし、補助事業である次の取り組みに必要であるものに限定されます。

  • 補助金地道な販路開拓等(生産性向上)のための取り組み
  • 販路開拓等の取り組みとあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取り組み

また、各経費には項目ごとの細かな注意点が定められていますので、実際に申請をする際には公募要領をよく読み込んで対象経費を確認するようにしましょう。

小規模事業者持続化補助金の6つの枠

小規模事業者持続化補助金には、6つの枠が設けられています。それぞれの枠の概要は、次のとおりです。

通常枠

通常枠は、小規模事業者持続化補助金のもっとも基本となる枠です。単に「小規模事業者持続化補助金」とだけいった場合には、通常はこの枠のことを指します。

多くの申請者が、この枠で申請をすることになるでしょう。

卒業枠

卒業枠とは、常時使用する従業員を増やし、小規模事業者の従業員数を超えて規模を拡大する事業者を支援する特別枠です。通常枠と比べて、補助金額が高く設定されています。

賃金引上げ枠

賃金引上げ枠とは、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上(既に達成している場合は、現在支給している事業場内最低賃金より+30円以上)とした事業者を支援する特別枠です。通常枠と比べて、補助金額が高く設定されています。

なお、この枠を申請する事業者のうち業績が赤字の事業者へは、補助率が通常の3分の2から4分の3へと引き上げられるとともに、加点による優先採択が実施されます。

後継者支援枠

後継者支援枠とは、将来的に事業承継を行う予定があり、新たな取組を行う後継者候補として「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者を対象とした特別枠です。

アトツギ甲子園とは、全国各地の中小企業の後継者や後継者候補(アトツギ)が新規事業アイデアを競うイベントで、中小企業庁が主催しています。通常枠と比べて、補助金額が高く設定されています。

創業枠

創業枠とは、産業競争力強化法に基づく認定市区町村や認定連携創業支援等事業者が実施

した「特定創業支援等事業」による支援を過去3か年の間に受け、かつ、過去3か年の間に開業した事業者を対象とした特別枠です。

こちらも、通常枠と比べて補助金額が高く設定されています。

インボイス枠

インボイス枠とは、2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった事業者や免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、インボイス発行事業者に登録した事業者を支援する特別枠です。

インボイス発行事業者とは、インボイス制度の開始後にインボイス(仕入税額控除の対象とすることができる適格請求書)の発行をすることができる事業者として、国税庁の登録を受けた事業者を指します。

免税事業者であれば、これまでは消費税の納税義務が免除されていました。しかし、インボイス発行事業者の登録を受けることで、以後は消費税の申告と納税の義務が生じます。

この枠では、通常枠よりも補助金額が高く設定されています。

小規模事業者持続化補助金の補助金額

小規模事業者持続化補助金の補助金額と補助率は、申請をする枠ごとに次のとおりとなっています。

申請類型 補助上限額 補助率
通常枠 50万円 2/3(※賃金引上げ枠において、赤字事業者は3/4)
成長・分配強化枠

(賃金引上げ枠・卒業枠)

200万円
新陳代謝枠

(後継者支援枠・創業枠)

200万円
インボイス枠 100万円

 

小規模事業者持続化補助金の最新公募スケジュール

小規模事業者持続化補助金の次回公募(第8回公募)の公募受付開始は、2022年3月中になる見込みです。公募受付開始の情報は小規模事業者持続化補助金の公式ホームページで公表されますので、申請を検討している場合にはこまめにチェックすると良いでしょう。

販路開拓に補助金を活用するメリット

販路開拓に補助金を活用するメリットとしては、次のようなものが挙げられます。

返済不要な資金で販路開拓をすることができる

補助金は、融資などと異なり原則として返済をする必要がありません。そのため、融資によって資金調達をした場合には返済に充てるべき資金を、企業の成長に有効な他の投資に回すことが可能となります。

これにより、企業の成長を加速させることへつながるでしょう。

自社の販路開拓への取り組みを客観視する機会となる

補助金を申請する際には、その補助金を使って行う内容やその効果を申請書類で明確に説明しなければなりません。「うまくいくかどうかはわからないけど、とりあえず補助金をもらえたらやってみたい」という程度では、到底補助金は採択されないためです。

申請書類を作り込む過程においては、おのずと自社が行おうとする販路開拓への取り組みを客観視して、深く検討せざるを得ないでしょう。その中で、その取り組みが本当に自社にとってプラスとなるのか、他にもっとよい取り組みがあるのではないのかなど、検討が深まることとなります。これが結果的に、事業成長への近道となることでしょう。

販路開拓について専門家のアドバイスを受ける機会となる

補助金の申請においては、専門家の申請サポートを受けることが少なくありません。専門家のサポートを依頼した場合、専門家は単に申請書を書いてくれるのみならず、補助金を活用して行おうとしている販路開拓についてアドバイスをしてくれることも多いでしょう。

補助金を活用して行う取り組みについて深く考察して申請書類に落とし込むことが、補助金採択への近道となるためです。専門家のアドバイスやコンサルティングを受けて自社の取り組みを見直すことで、より事業を成長させることにつながります。

つなぎ融資などで金融機関との関係構築のきっかけとなる

補助金のほとんどは、採択されたからといってすぐに振り込まれるわけではありません。

採択後にまずは申請をした販路開拓などの補助事業を実施し、補助金事務局に対してその実施報告を行うことが必要です。この報告内容に問題がないと判断されて、ようやく補助金の交付がされます。

そのため、補助金が交付されるまでの間、販路開拓などの補助事業の実施に必要となる一時的な資金は、別の方法で用意しなければなりません。この際の資金調達方法の候補となるのが、金融機関からの「つなぎ融資」です。

補助金のつなぎ融資は返済資金が明確であるため、これまであまり金融機関から融資を受けてこなかった企業であっても比較的融資を受けやすいといえます。金融機関からつなぎ融資を借りて期日までにきちんと返済をすることで、金融機関との信頼構築の第一歩となるでしょう。

販路開拓に補助金を活用するデメリット・注意点

販路開拓に補助金を活用する際には、次のデメリットや注意点も踏まえて行うようにしましょう。

補助金は通年で募集されているわけではない

補助金の大半は、常に募集がされているわけではありません。中には応募ができる期間がかなり短いものもあり、気づいたときには既に申請ができる期間を過ぎてしまっていることもあるでしょう。

活用したい補助金がある場合には、常に最新の情報をキャッチできるようアンテナを張っておくことをおすすめします。

補助金の申請に手間や費用がかかる

補助金の申請においては、公募要領を読み込まなければなりません。また、要件に沿った内容で申請書類を作成しなければならず、非常に多くの手間と時間がかかります。

申請代行を専門家へ依頼することもできますが、その場合には報酬が必要です。補助金の申請には、相応の手間や費用がかかることを知っておきましょう。

申請をしても補助金が必ずしも受け取れるわけではない

補助金は、要件を満たして申請をしたからといって、必ずしも受け取れる性質のものではありません。申請後、多数の応募の中から採択がされて、初めて補助金の受給見込みとなります。

そのため、手間をかけて申請をしても補助金が受け取れない可能性があることは念頭に置いておきましょう。

補助金は原則として後払いのためつなぎ資金が必要となる

補助金は、上でも触れたとおり、原則として後払いです。そのため、申請をした事業を行うためには、つなぎ融資など他の方法で一時的な資金調達をしなければなりません。

補助金の採択がされたらすぐにお金が受け取れると考えていると予定が大きく崩れてしまうことになりかねません。全体の流れをよく理解したうえで申請するようにしましょう。

採択後の報告に手間がかかる

補助金は、採択がされた時点で安心してしまうことが多いかもしれません。しかし、最終的に補助金を受け取るためには、補助事業の実施報告を行い、問題がないとの判定を受けなければなりません。

実施報告には、補助事業に関連する領収証などさまざまな書類が必要となることが一般的です。この報告にもそれなりに手間がかかりますので、あらかじめ想定したうえで補助金の活用を検討するようにしましょう。

まとめ

販路開拓に補助金を活用することのメリットは、非常に大きいといえます。販路開拓をしたいと検討している事業者は、ぜひ補助金の活用にチャレンジしてみましょう。

しかし、補助金の申請にはさまざまな書類が必要となるうえ、採択されるための書き方には一定の工夫が必要です。これを、自社のみで調べて作成するには、多大な手間や時間がかかってしまいます。

そのため、販路開拓へ補助金の活用をご希望の際には、ぜひ専門家の申請サポートを検討すると良いでしょう。

補助金バンクには、販路開拓に活用できる補助金に詳しい、中小企業診断士や行政書士などの専門家が多数登録しております。補助金の申請サポートを依頼する専門家をお探しの際には、ぜひ補助金バンクをご利用ください。

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この記事を書いた人
野竿 健悟
この記事を書いた人
野竿 健悟
株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士
補助金に精通しており、自ら申請をご支援し、高採択率の実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を活かしたシステム開発の補助金申請の支援実績多数。

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